フリースタイルは最強なのか? /マックス・ホロウェイ

UFCフェザー級王者のマックス・ホロウェイは、そのうち負けるだろうと思われながら勝ち続け、王座にたどり着きました。型にはまらない自由なファイトスタイルで、下馬評を覆す勝利を重ね続けるホロウェイは、現在最も面白い試合をする選手だと思います。



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経歴

ハワイのオアフ島に生まれますが、ワイアナエという決して治安の良い場所ではなく、周囲から近づかないように言われるエリアだったそうです。キックボクシングを始め、日本のK-1に出ることが夢だったそうですが、総合格闘技に転向してプロデビューを果たします。2012年にUFCでプロデビューしますが、デビュー戦は一本負け、3連勝した後に判定で2連敗しています。しかしそこから連勝街道を突き進み、フェザー級王者に君臨しました。

ファイトスタイル

180cmとフェザー級にしてはかなり背が高いですが、リーチが175cmと短いので恵まれた体型かというと微妙なところだと思います。グレイシーテクニクスに所属しブラジリアン柔術を得意としていますが、試合では打撃で圧倒する場面が多く見られます。しかしパンチ力はさほど強くありません。回転の速さとハンドスピードで相手を圧倒していきます。



時にノーガードで打ち合うなど基本から逸脱した打撃が特徴で、バランスを崩した状態からでも相手をグラつかせるパンチを放ちます。目が良いのでディフェンスも上手く、これもバランスを崩しながらでもパンチを避けていきます。打撃に関してはフリースタイルと言える自由さで、打撃戦で押し込まれる場面もありますが、最後には殴り勝って勝利します。

フェザー級暫定王者に

勝っても勝ってもタイトルマッチに縁がなかったホロウェイに、ようやくチャンスが訪れたのは2016年12月で、暫定王者決定戦に出場しました。アンソニー・ペティスとの対戦で、多彩な蹴り技が注目さらる元ライト級の王者です。ホロウェイにとって難しい相手と言われていました。



ところが計量でペティスが失格になり、ペティスが勝っても王者になれずホロウェイが勝った時のみ暫定王者になる変則的な試合になりました。パンチの打撃戦で優位に立ったホロウェイは、3Rに金網を背にしたペティスを滅多打ちにして勝利しました。これで暫定王者になったホロウェイはもう一人の暫定王者のジョゼ・アルドとの対戦を迎えます。

衝撃のフェザー級タイトルマッチ

王者ジョゼ・アルドは、柔術黒帯でありながらキックボクサー並みの打撃の技術を持ちあわせ、元フェザー級王者でした。コナー・マクレガーに不運な負け方でタイトルを奪われたものの、フェザー級最強の一人といわれており、ホロウェイは一蹴されると思われていました。ところがホロウェイは変幻自在のフリースタイルで打撃戦を制すると、バックマウントからパンチの連打を繰り返してレフリーが試合をストップしました。一方的な展開に観客は衝撃を受け、ホロウェイがフェザー級王者に君臨しました。



初の防衛線はダイレクト・リターンマッチが組まれ、再びアルドとの対戦になります。本来はフランク・エドガーが挑戦するはずでしたが、負傷欠場によって急遽アルドが挑戦者になったため、準備が十分ではないと言われていました。しかし今度こそアルドの勝利と多くのファンが思っていましたが、ホロウェイがパウンドで勝利しました。これで名実ともにホロウェイはフェザー級の王者としてファンに認められました。

ブライアン・オルテガ戦の衝撃

ブライアン・オルテガは14勝1ノーコンテストという破竹の勢いでタイトルマッチにたどり着いた選手で、柔術をベースにしながら打撃で圧倒的な強さを見せてきました。その打撃は攻撃と防御の間隔がタイトで、守って誘い込んでは攻撃に転じ、反撃に会うとすぐに防御に徹する相手を休ませないスタイルです。相手にとってやりづらく、打撃そのものの質が高いためにペースを奪うと一気に勝利をもぎ取っていきます。グランドでの攻防に圧倒的な強さを見せながら、打撃でKOできるオルテガの強さは誰もが認めており、ホロウェイにとって厳しい試合になるのは間違いありませんでした。



しかし序盤はオルテガがペースを握りますが、途中からはホロウェイの一方的な展開になります。ノーガードで誘ってパンチをかわすとワンツースリーと連打を打ち込み、フラフラとオクタゴンを動き回るホロウェイにオルテガは完全にペースを乱されてしまいました。3Rから一方的な展開になり、オルテガのパンチはほとんどあたらずホロウェイのパンチが面白いようにヒットします。4Rが終了した時点で試合が止められ、ホロウェイの勝利が決まりました。強豪のオルテガを一方的に倒したことで、ホロウェイは最も注目される選手になりました。

この試合後にホロウェイはドナルド・トランプ大統領から激励の電話を受けています。大統領はいかに素晴らしい試合だったかを15分以上にわたって一方的に話すと電話を切ったそうです。

ライト級への挑戦

以前からライト級王者のハビブ・ヌルマゴメドフへの挑戦を希望していましたが、乱闘事件によってヌルマゴメドフが長期欠場をしているため暫定王者決定戦が行われました。ライト級暫定王者決定戦の相手はダスティン・ポイエーで、フルラウンドを戦って判定で負けました。負けたものの1階級上の選手と互角に打ち合えるポテンシャルを示したことで、ホロウェイの評価が下がることはありませんでした。



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来日時には

ハワイ出身らしくハワイ出身の武蔵川親方(元武蔵丸)を表敬訪問し、相撲部屋を見学した後に小錦や桜庭和志などと食事をしています。さらに秋葉原に行くことをツイッターで予告したため、秋葉原にはUFCファンが押し寄せてツイッターには「♯ホロウェイを探せ」というハッシュタグまで作られて、ホロウェイの目撃情報が寄せられました。



マリオカートに乗ったりコスプレを楽しんだホロウェイは、日本を満喫して帰国したようです。

まとめ

打撃のスタイルが自由で、穴も多いために強く見えない選手です。しかし抜群の動体視力で攻撃をかわすと、バランスを崩したままでもパンチを出すことができ、さらにチャンスに畳みかける勢いと集中力が突出した選手です。ライト級王座も狙っていて、ヘビー級王者のダニエル・コーミエとも対戦を希望する発言をしています。波が激しいこともあり、どこまで勝ち続けるかは未知数ですが、現在最も試合が面白い選手だと思います。

次回は防衛線になるのか再びライト級挑戦になるのかはわかりませんが、試合が楽しみです。


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