堀口恭司の苦悩 /UFC世界王者に最も近づいた日本人
2015年4月25日に行われたUFC186で行われたフライ級タイトルマッチは、日本のファンにとってハラハラしっぱなしでした。堀口恭司が王者デメトリアス・ジョンソンに挑んだ試合は、ラスト1秒にクライマックスが待っていました。
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序盤は互いのスピードが冴えて互角の展開ですが、1Rの終盤からジョンソンが主導権を握り始めます。よく攻めているもののチャンスが作れない堀口に対し、ジョンソンはカウンターを的確に決めて試合を支配します。5Rに入ると王者ジョンソンの防衛が確実かと思われましたが、残り30秒となったところで堀口がマウントをとり、ジョンソンにパンチの雨を降らせます。
逆転劇に興奮する観客の声援に押されてパンチを打ちおろす堀口ですが、残り1秒というところでジョンソンの腕ひしぎ十字固めが決まり、堀口は王座奪取に失敗しました。しかしパウンド・フォー・パウンド(全ての選手が同じ階級にいると仮定した時の王者)と呼ばれるジョンソンを追い詰めた堀口の評価は、一気に上がりました。さらにジョンソンが史上最多の11度の防衛を重ねると、最も王者を追い詰めた選手として堀口の評価は高まりました。
平均して堀口は1年に2試合しか組んでもらえていません。本人は最低でも3試合はしたいと言っています。しかしUFCを運営するズッファ社は、最軽量のフライ級の人気の低さから、積極的に試合を増やすつもりは無いのです。さらに人気が低いのでファイトマネーも低いままです。フライ級では別格的な存在である王者デメトリアス・ジョンソンもファイトマネーの低さに不満をこぼしていました。堀口だけでなくフライ級の選手に共通して足りないものは人気だったのです。
UFC最大のスター、コナー・マクレガーは2016年にはファイトマネーが100万ドル(1ドル100円換算で1億円)を超え、PPVボーナスを含めると10億円を超えるファイトマネーを受け取ることもありました。一方でUFC最強と言われるデメトリアス・ジョンソンのファイトマネーは5000万円を超えたことはありません。そんな状況下で王者でもない堀口のファイトマネーは推して知るべしで、そんな試合を年に2回こなしてアメリカで生活していては、経費倒れしかねないのです。
この試合で意外だったのは、キックボクシングルールでの堀口の善戦でした。打撃でも遜色ない強さを見せた堀口は、ますます相手がいなくなるように思いました。
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スピード対決となったタイトルマッチ
王者ジョンソンは圧倒的スピードで試合を支配し、上位ランカーを次々に蹴散らして王座を防衛していました。そのためデビューから4連勝の堀口は、ランキング7位ながらも王座挑戦のチャンスを得ました。堀口の持ち味もスピードで、この試合はスピード対決になります。序盤は互いのスピードが冴えて互角の展開ですが、1Rの終盤からジョンソンが主導権を握り始めます。よく攻めているもののチャンスが作れない堀口に対し、ジョンソンはカウンターを的確に決めて試合を支配します。5Rに入ると王者ジョンソンの防衛が確実かと思われましたが、残り30秒となったところで堀口がマウントをとり、ジョンソンにパンチの雨を降らせます。
※残り時間1秒でのフィニッシュ |
逆転劇に興奮する観客の声援に押されてパンチを打ちおろす堀口ですが、残り1秒というところでジョンソンの腕ひしぎ十字固めが決まり、堀口は王座奪取に失敗しました。しかしパウンド・フォー・パウンド(全ての選手が同じ階級にいると仮定した時の王者)と呼ばれるジョンソンを追い詰めた堀口の評価は、一気に上がりました。さらにジョンソンが史上最多の11度の防衛を重ねると、最も王者を追い詰めた選手として堀口の評価は高まりました。
強さだけでは足りないもの
堀口はその後も勝ち続け、UFCで7勝1敗という日本人としては最高レベルの成績を残します。しかし2017年2月にUFCとの契約を更新せず、日本のRIZINと契約することを発表しました。理由は様々なことが言われていますが、大きな理由としてお金の問題があったようです。堀口はUFCでは食べていけなかったのです。平均して堀口は1年に2試合しか組んでもらえていません。本人は最低でも3試合はしたいと言っています。しかしUFCを運営するズッファ社は、最軽量のフライ級の人気の低さから、積極的に試合を増やすつもりは無いのです。さらに人気が低いのでファイトマネーも低いままです。フライ級では別格的な存在である王者デメトリアス・ジョンソンもファイトマネーの低さに不満をこぼしていました。堀口だけでなくフライ級の選手に共通して足りないものは人気だったのです。
ファイトマネーの低さ
デメトリアス・ジョンソンは、PPVボーナスが自分にはつかないことに不満を持っていました。アメリカではPPV(ペイ・パー・ビュー)でテレビ視聴の契約数が収益に大きな影響を与えます。そこでPPVの売上が一定数を超えた場合、選手にもその一部を配分するPPVボーナスがあります。しかしジョンソンにPPVはつきませんでした。つまりズッファ社はフライ級の選手がPPVの売上に影響を与えないと考えていたのです。※コナー・マクレガー |
UFC最大のスター、コナー・マクレガーは2016年にはファイトマネーが100万ドル(1ドル100円換算で1億円)を超え、PPVボーナスを含めると10億円を超えるファイトマネーを受け取ることもありました。一方でUFC最強と言われるデメトリアス・ジョンソンのファイトマネーは5000万円を超えたことはありません。そんな状況下で王者でもない堀口のファイトマネーは推して知るべしで、そんな試合を年に2回こなしてアメリカで生活していては、経費倒れしかねないのです。
RIZINへの参戦
2017年に堀口はUFCとの契約を更新せず、日本のRIZINに参戦することを表明しました。しかしUFCでトップクラスの実力を誇った堀口が、RIZINで互角に戦う相手に巡り会うはずもなく、連勝しつつもかつての凄みを見ることが少なくなりました。那須川天心とのキックボクシング対決も、強すぎるが故に相手がいないことの結果でしょう。この試合で意外だったのは、キックボクシングルールでの堀口の善戦でした。打撃でも遜色ない強さを見せた堀口は、ますます相手がいなくなるように思いました。
まとめ
強いが故にUFCの王座にあと一歩というところまで迫り、強いが故に日本では好敵手がいないという状況になっています。MMA(総合格闘技)はまだまだ発展途上の競技で、UFCも多くの課題を抱えています。そんな中、堀口恭司の境遇は気の毒に思えてしまいます。日本人初のUFC王者の可能性を秘めていただけに少し残念な気持ちと、今後の活躍を願ってやみません。関連記事
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ジョン・ジョーンズというダメ男 /転落が生んだ喪失感
寝技最強の男ハビブ・ヌルマゴメドフはどうなるのか?
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世界最強のオタクはナイスガイ /ジョシュ・バーネットは殴れない?
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