2018年6月11日月曜日

時給1500円の世界王者 /スティーペ・ミオシッチが愛される理由

UFCヘビー級のスティーペ・ミオシッチが初めてタイトルに挑んだのは2016年5月でした。王者ヴェウドムをカウンターの右ストレート一発で仕留め、念願の世界王者になりました。全米がミオシッチの試合に酔いしれ、歓喜と羨望のまなざしを向ける中、ミオシッチは喧騒から抜け出して職場に戻りました。



俺はブルーカラーだ

アメリカの新聞USA TODAYによると、王座を獲得したミオシッチが職場のバレービュー消防署に顔を出すと、職員たちは拍手で迎えてくれたそうです。そしてモップと吸引器を手渡し、ミオシッチは詰まったトイレと格闘することになりました。彼は非正規社員として時給1500円で働いており、雑用も彼の仕事なのです。UFC世界王者は、黙々とトイレ掃除に励みます。

※消防署のミオシッチ

防衛を重ねるミオシッチのファイトマネーは、今や1億円を超えます。しかし消防署の仕事を辞める気はないようです。なぜ消防署を辞めることを考えたことはないのか?と問われると

「一度もないよ。辞める理由がない。人助けが好きだし、ファイターとしてのキャリアがどうなるかわからないし。仕事が大好きで忙しいのが好きなんだ」

と答えています。さらに自身のことを「俺たちはタフで鼻っ柱の強いブルーカラーだ」と語ります。

UFCヘビー級最強と呼ばれて

相手の持ち味を殺すことが得意で、常に無駄のない動きをします。典型的なストライカーで、コンパクトで強烈なパンチを武器にしていますが、グランドでの展開も強いので穴と呼べる部分が見当たりません。


ボクシングでゴールデングローブを獲得し、レスリングでもナショナルランキングに入るほどの実力者で、技術的には高いものを持ち合わせています。そして勇敢に打ち合うことを望み、真っ向から相手を潰しにかかります。ハイレベルで男らしい戦い方は、多くのファンを獲得しました。

普通の生活が大事

ミオシッチはファンに囲まれてパーティ三昧といった生活が苦手で、普通の生活を強く望んでいます。消防署の仕事を辞めないのもそれが理由の一つで、消防署の中では普通でいられるからだそうです。メディアに囲まれ、ファンのサイン攻めに会い、注目を集めるのが苦手なのだそうです。



トラッシュトーク(対戦相手との罵り合い)も苦手で、「あれは疲れる」と言ってやりません。言葉少なく記者会見を終えますが、オクタゴンの中で試合を通じて多くを語るタイプです。これまでUFCにはあまりいなかった、物静かなヒーローなのです。その性格は王座防衛記録を更新した2018年1月のフランシス・ガヌーの試合後のコメントにもよく表れています。王座防衛記録更新を祝福するアナウンサーに対し、このように発言しました。

「そんなことには何の意味もない。それより、俺はもうすぐ父親になる。子供が生まれるんだ。ヘル・イエーィ!!」

しかし署長は困惑気味

今やミオシッチは、スーパースターの仲間入りを果たしています。テレビで華々しく紹介され、有名人がミオシッチに会いたがり、1試合で1億円以上のファイトマネーを稼ぎ出します。しかし相変わらず消防署に出勤し、雑用仕事を命じられて奔走し、冷蔵庫の中の腐ったチーズを片付けて、救急出動があれば他の隊員たちと一緒に出動します。

※食事も庶民的です。

「時々、お前、こんなところで何やってるんだよ、と思うことがある。試合に向かうフライトの直前まで、署にいることもあるからね。意味がわからないよ。恐ろしい大男にノックアウトされるかもしれないんだから、試合前くらい好きな場所でのんびり過ごせばいいのにと思うんだけど、彼はここにいて、同僚とがむしゃらに働いているんだ」

まとめ

ミオシッチは威張ることもなく、どんな快挙を成し遂げても普段通りの生活を送ることを大事にしています。生活は素朴、試合は豪快、言葉で説明するより行動で気持ちを示す姿に、多くのファンがついていきます。ヘビー級は選手層が厚く、長期王座防衛が困難な階級です。その中でもミオシッチは抜群の安定感を誇っています。

※奥様と過ごす時間がなにより大事だそうです。

UFCにしては異色の王者で、UFCファンもミオシッチに戸惑いがありました。多くのUFCファイターはビッグマウスで、公言したことを実現することで人気を獲得しています。対戦相手を挑発したり、自らを鼓舞するような自画自賛が多い中で、あまりにもミオシッチの言動は地味でした。そしてファイトスタイルも相手の良さを消すことに長けているため、ミオシッチが強いというより相手が弱く見えることが多かったのです。

しかし徐々にミオシッチの素朴な人柄に人気が集まりだし、試合も注目が集まるようになりました。地位や強さを自慢することなく、称賛されるより感謝されることを喜び、大金を手にしてもブルーカラーを自負するミオシッチの人気は、これからも上昇しそうです。




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