アリスター・オーフレイム /薬物疑惑を超えて

日本で成功したキックボクサーのアリスター・オーフレイムは、現在アメリカを中心に活動しています。ジャマイカの血を継ぐイギリス生まれのオランダ人アリスターは、2011年のUFCデビュー以来、勝ったり負けたりを繰り返しながら王座に届くことなく、中堅選手の地位にいます。しかし負けが続くと簡単にリリースされるUFCで、無冠のまま8年間も契約が続いていること事態が脅威でもあります。



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日本でブレイク

99年に前田日明率いるリングスでデビューし、2002年からPRIDEに出場します。またK-1にも合わせて出場するようになり、キックボクシングと総合格闘技(MMA)の二足の草鞋を履く活躍を見せました。



圧倒的な筋肉のボリュームで、相手をパワーでねじ伏せるファイトスタイルが人気を集めましたが、わずか数年で見違えるほどの筋肉量になったため薬物使用が疑われていました。本人は減量をしなくて良くなったため、減量の反動に加えて食事を自由にできるようになったからだと釈明していました。当時、アリスターは1日に6度の食事をとっていました。

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UFCデビュー

デビュー戦はブロック・レスナーで、王座挑戦権をかけた試合でした。破格の待遇で、ズッファ社の期待が伺えます。アリスターは膝蹴りを何度も浴びせ、さらにミドルキックでダウンを奪うと、圧勝しました。衝撃的なデビューで、王座奪還の期待が急上昇しますが、その後の抜き打ちのドーピング検査でテストステロンが通常の2倍も検出されたため、挑戦権が剥奪されました。

※ブロック・レスナーを圧倒するアリスター

出場停止処分が解け、アントニオ・シウバと王座挑戦権をかけて対決します。この時に、アリスターの筋肉がしぼんだことが注目されました。やはり薬物によって作られた筋肉だったのか?そんな疑惑が渦巻く中、アリスターはシウバにKO負けします。さらにトラヴィス・ブラウンにKO負けすると、アリスターのUFCは終わったと思われました。



復活の快進撃も王座に届かず

リリースがかかった試合で、ランキング10位のフランク・ミアに判定で勝利すると、首の皮一枚で繋がりリリースをまぬがれますが、次戦のベン・ロズウェルにはKOされてしまいます。しかしそこから怒涛の4連勝を続けました。4連勝の中にはロイ・ネルソンや元王者のドス・サントスが含まれ、一気にランキングを駆け上がると王座挑戦が決まりました。

※ミオシッチには届きませんでした。

5年かけてたどり着いたタイトルマッチの相手は、王者スティーペ・ミオシッチでした。序盤にダウンを奪い、一気に王座奪取かと思われましたが、ミオシッチに逆転を許しパウンドでKO負けになりました。アリスターの善戦よりミオシッチの強さを引き立てた試合になり、失意の敗戦になりました。

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ブーイングを浴びながら

王座挑戦失敗のアリスターに、マーク・ハントとの試合が組まれました。K-1で活躍した両雄の激突は日本でも話題になりましたが、入場時から試合の途中でも、アリスターにブーイングが起こりました。観客はハントを味方し、アリスターの敗北を願っているようでした。ブーイングの理由は主に3つあったように思います。

1.一発で試合をひっくり返すハントの人気
2.時折、背中を見せて逃げるアリスターへの不満
3.薬物使用が疑われるアリスターと、常に薬物使用の卑怯さを訴えるハントの対戦



試合はアリスターが圧倒して膝蹴りでハントをKOしました。ハントは負けを認めつつも「なぜあいつが静脈注射を認められているのか理解できない」「俺はいつだってあいつのことをドーピング違反者だと思っている」と、アリスターの薬物使用を批判しました。

再び王座を目指して

ケチがついたとはいえ復帰戦の勝利は大きく、すぐに試合が組まれます。ランキング1位のファブリシオ・ヴェウドゥムと対戦します。アリスターにとって最後のチャンスとも言われましたが、なんとかアリスターが判定で勝利して終わりました。首の皮が繋がったアリスターですが、ここに新鋭の強豪が現れます。

UFCデビューから5連勝し、全てKOで勝ってきたフランシス・ガヌーです。アリスターと同程度の巨体で、アリスター同様にストライカーです。ヘビー級の新星ガヌーは次期町村者として注目株で、アリスターと対戦することになりました。新星ガヌーに勝てば王座再挑戦が近づきます。ガヌーもアリスターに勝てば挑戦権に近づきます。その2人の対決は、100秒ちょっとで決着がつきました。

※ガヌーの強烈なアッパーを受けるアリスター

ガヌーのアッパーにアリスターは倒れ、さらに追撃のパウンドをもらって失神してしまいました。アリスターは挑戦権争いから後退し、衝撃的なKOで勝利したガヌーが王者ミオシッチ に挑戦します。しかしガヌーはほとんど何もさせてもらえず、ミオシッチの戦術に空回りして敗北しました。これでアリスターの再挑戦の道は、さらに遠のきました。しかし2018年から今年にかけ、2連勝で巻き返しを狙っています。

まとめ

薬物疑惑がつきまとうアリスター・オーフレイムは、その疑惑を抱えたまま最前線で8年間も戦い続けています。王座への道のりは険しいですが、ランキングに長期間入り続けていることが驚異的です。薬物疑惑以降は人気の陰りを見せながらも、試合に勝つことで跳ね返してきました。現在の王者はミオシッチですが、果たして再度王者挑戦はあるのでしょうか。このまま勝ち続ければ、チャンスが巡ってくるかもしれません。

2021年3月追記

2021年3月3日、UFCはアリスター・オーフレイムをリリース(契約解除)したことを発表しました。アレキサンダー・ヴォルコフにKO負けしてから約1ヶ月後の発表で、恐らくですがこの間に本人との話し合いが持たれたのだと思います。2016年にミオシッチのタイトルにシュッパイしてから10戦して6勝4敗と勝ち越していますが、ランキング上位の選手には勝てないことや、年齢も40歳を超えたため無理のない判断だと思います。


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