世界最強のオタクはナイスガイ /ジョシュ・バーネットは殴れない?

身長197cm 体重110kg。第7UFCヘビー級王者、第10代無差別級キング・オブ・パンクラシストの称号を持つジョシュ・バーネットは、日本のアニメをこよなく愛する世界最強のオタクとして有名です。彼のオタクとしての名が日本に響き渡ったのは、20028月のことでした。 




日本のオタクとネットで交流 

ジョシュのアニメ好きは、それより前から知られていました。UFCの試合では対戦相手に「オマエハ モウ シンデイル(お前はもう死んでいる)」と「北斗の拳」セリフで対戦相手を挑発し、インタビューではアニメフィギュアのコレクションなども披露していました。

そんなジョシュは、日本のオタクとネットの掲示板で交流を始めました。「いつか秋葉原に行きたい」「中野ブロードウェイに行けたら最高だ」と語るジョシュに、日本のオタク達は「日本に来る機会があれば、いつでも案内するよ」と、暖かい交流が続いていました。そしてジョシュの来日は、案外早く決定しました。 

「アントニオ・ホドリコ・ノゲイラと対戦するボブ・サップのセコンドをすることになった。日本に行くよ」 


※ボブ・サップ

20028月、ジョシュは念願の日本にやってきました。 

ノゲイラ対サップの死闘の後で 

試合は壮絶な展開になり、ノゲイラが勝利します。ジョシュはリングに上がると「オマエハ モウ シンデイル」とノゲイラを挑発し、観客を大いに沸かせました。これ以降、ジョシュは「蒼い目のケンシロウ」と呼ばれることになります。 

そして試合の翌日、ジョシュ・バーネット東京オタクツアーが有志によって行われました。このツアーを通じて、ジョシュは単なる日本のアニメ好きではなく完璧なオタクであることがわかります。 


※まんだらけでご満悦のジョシュ

新宿まんだらけで、機動戦士ガンダムの「ブライトのセル画を持ってるよ」と言い出し、デビルマンのフィギュアを購入し、電車の中でゲーム「デビル・メイ・クライ」の話題を持ち出して「やってないの?面白いのに」と語り、秋葉原に着くや「08小隊でシロー・アマダが乗ってた陸戦型ガンダムガ欲しい」と言い出して、日本のオタクを仰天させます。 その他、オタク趣味全開のジョシュの発言とこの日の行動は、ネットにまとめてアップされて大きな反響を生みました。単なるファンでもマニアでもなく、ディープすぎるアニメの知識は、間違いなく本物のオタクでした。 


※声優の田村ゆかりの法被を着て秋原を歩いたことも。

日本のオタク達が驚いたのは、ジョシュがアニメの細かい設定にまで気を配っているだけでなく、興味がないものでも「一応、抑えている」というオタク特有の感覚を持っていたことです。ジョシュは声優にも詳しく、並みのオタクではありませんでした。

本職の総合格闘技は強いの? 

間違いなく最高峰の選手でした。強いだけでなくイマジネーション豊かで、クレバーさが目立つ面白い試合を展開していました。アメリカでは最高峰のUFCで最年少の王者になり、日本のPRIDEでは無差別級トーナメントで準優勝を果たしました。 





寝技に関してはトップクラスで、柔術マジシャンと呼ばれ最高峰の寝業師と思われていたノゲイラが、寝技での勝負を徹底的に避けたのがジョシュでした。2人の最初の対戦は2006年の9月、PRIDE無差別級トーナメントで実現します。 

得意の寝技を仕掛けるノゲイラに対し寝技で真っ向勝負を挑み、ノゲイラの技を完封してしまいました。逆にジョシュはノゲイラに膝十字固めを仕掛け、あとゴングが10秒遅ければジョシュの一本勝ちだったと言われるほど追い詰めての判定勝ちでした。 


※アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ

すぐにリターンマッチが組まれますが、ノゲイラは徹底的に寝技を避けてボクシングに終始し、判定で勝利します。ノゲイラが寝技を避ける試合展開は衝撃的で、誰もがジョシュの寝技のレベルの高さに感嘆しました。 

ミルコ・クロコップとの対戦は脱臼や偶然のサミングなどが重なって負け越していますが、KO勝利を続けるミルコのカラクリを最初に見破り、激戦を展開しました。ミルコがUFCで勝てなかったのは、怪我の影響もありますが、ジョシュによってミルコのカラクリが明かされていたからだと個人的には思っています。 

稀に見るナイスガイ 

試合外でも確執が表面化することの多い総合格闘技で、ジョシュは誰にでも話しかけて友人を次々に作っています。ナイスガイすぎて、試合でジョシュを殴るのは申し訳ないと語る選手もいるほどで(実際には試合でガンガン殴っていますが)、友人の輪を広げています。試合では敵になる相手でも気さくに話しかけ、細やかな気配りができるジョシュは多くの選手に好かれています。


まとめ

アニメの情報をツイッターですぐにフォローしたり、日本の格闘技専門誌「ゴング格闘技」のインタビューで延々とアニメの感想を語ったりと、オタク気質を発揮しています。現在も現役のUFCファイターですが、2016年9月の試合でドーピング検査で陽性となり試合から遠ざかっています。ジョシュは長い時間をかけて無実を証明し、汚染されたサプリメントにより陽性反応が出たことを認めさせました。今後も試合を続けるのかは不明ですが、まだまだジョシュの動向をウォッチしていきたいと思います。



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