テーブルマナーの謎 /ご飯はフォークの背に乗せる?
テーブルマナーというのは面倒で肩がこるイメージがあると思います。食事をするだけなのに、なぜこれほど堅苦しいイメージが付きまとっているかというと、そこには日本特有の事情があります。食事は楽しく、美味しくいただく方が良いと思いますので、この堅苦しさの正体を追いかけてみたいと思います。
関連記事:子供のための歴史講座18:黒船来航
箸を使わない食文化に触れた日本人は、右往左往しながらナイフとフォークの使い方を習得しています。実際にペリーが出す料理は美味しかったらしく、江戸幕府の役人は何かと用事を作っては黒船を訪問して料理を頂いていたいたそうです。
裸で外に出るなとか、立小便をするなとか、ゴミを道端に捨てるなとか、そういったことが取り締まられるようになります。「役人の仕事は国民を啓蒙すること」という上から目線の言葉がありますが、この頃の役人はまさに国民の啓蒙が仕事でした。ちなみにこの頃に純愛という概念もヨーロッパから持ち込まれ、犬猫みたいにあちこちでセッ〇スをするな、結婚したら伴侶以外に手を出すなという考えが出てきました。
この時、テーブルマナーも持ち込まれます。イギリス式とフランス式が持ち込まれるのですが、これはテーブルマナーに限らず多くのものがイギリス式とフランス式が持ち込まれています。警察機構や自衛隊などは、今もその遺恨が残っていると言われています。
日本のテーブルマナーの悲劇は、欧米の家庭料理ではなく社交界のような一部の特殊な人々に相対するために、「欧米のテーブルマナーはこれだ」と決め打ちで作られてしまったことです。当たり前ですが、フランス人は毎日コース料理を食べるわけではありません。しかしコース料理のマナー(しかも複数の国のマナーが混じる)を軸にして「これが唯一無二のテーブルマナー」としたため、今日ではファミレスでハンバーグを食べるときにも、それらのマナーが適用されることになりました。
それからイギリスではこういう食べ方をしていた、フランスではこうだったという意見をネットでよく見かけますが、イギリスもフランスも階級社会の名残があり、労働者階級の食事マナーとアッパークラス(金持ちという意味ではなく、むしろ血筋の方)の人達ではマナーも異なります。イギリス人がこうしていたからと言って、それが唯一無二のマナーでないことにも注意が必要です。
外国で「フォークの持ち方はこうよ」と指摘されると顔から火が出るほど恥ずかしい気持ちになる人がいますが、日本に来ている外国人が箸の使い方が変でも気にならないように、彼らも特に気にしているわけではありません。女王陛下と食事をするならまだしも、そこまで神経質になる必要はないと思っています。むしろ食事しながらマナーを教えてもらうぐらいの感じでよいでしょう。
こういう時は、素直に教えを乞うと楽しく食事が進みますし、フォークの背にご飯を乗せて日本人の器用さをアピールするのも人によってはウケます。テーブルマナーに気を取られて緊張しながら食べるよりも、リラックスして会話を楽しみながら食べる方が何倍もおいしいはずです。
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ナイフとフォークに戸惑った江戸の役人
以前書きましたが、ペリー来航の際にペリーは黒船に日本の役人を招き入れてフランス料理をふるまいました。その時にナイフとフォークで食事をしなくてはならず、江戸幕府の役人たちは十手をナイフ、孫の手をフォークに置き換えて練習したそうです。関連記事:子供のための歴史講座18:黒船来航
箸を使わない食文化に触れた日本人は、右往左往しながらナイフとフォークの使い方を習得しています。実際にペリーが出す料理は美味しかったらしく、江戸幕府の役人は何かと用事を作っては黒船を訪問して料理を頂いていたいたそうです。
文明開化
欧米列強に学ぶ必要があると感じた明治新政府は、使節団を次々と欧米に派遣します。日本の使節団は現地でその文化レベルの高さに驚かされました。早速日本に帰ると、日本を文化的に洗練させるためにさまざまな法律や条例を作り、国民を指導します。※岩倉使節団 |
裸で外に出るなとか、立小便をするなとか、ゴミを道端に捨てるなとか、そういったことが取り締まられるようになります。「役人の仕事は国民を啓蒙すること」という上から目線の言葉がありますが、この頃の役人はまさに国民の啓蒙が仕事でした。ちなみにこの頃に純愛という概念もヨーロッパから持ち込まれ、犬猫みたいにあちこちでセッ〇スをするな、結婚したら伴侶以外に手を出すなという考えが出てきました。
この時、テーブルマナーも持ち込まれます。イギリス式とフランス式が持ち込まれるのですが、これはテーブルマナーに限らず多くのものがイギリス式とフランス式が持ち込まれています。警察機構や自衛隊などは、今もその遺恨が残っていると言われています。
社交界もどきの必要性
欧米の要人を日本に招くには、社交界というものが必要だということになります。鹿鳴館時代と呼ばれる、混沌とした欧米文化の模倣の時代です。外国のお客が来た時に隣席の日本人の食事のマナーが変だと日本の文化レベルが疑われるため、ホテルやレストランではテーブルマナーの制定が必要になりました。そこでフランス式やイギリス式をひっくるめて考え出されたのが、現在のテーブルマナーの基本です。※鹿鳴館 |
日本のテーブルマナーの悲劇は、欧米の家庭料理ではなく社交界のような一部の特殊な人々に相対するために、「欧米のテーブルマナーはこれだ」と決め打ちで作られてしまったことです。当たり前ですが、フランス人は毎日コース料理を食べるわけではありません。しかしコース料理のマナー(しかも複数の国のマナーが混じる)を軸にして「これが唯一無二のテーブルマナー」としたため、今日ではファミレスでハンバーグを食べるときにも、それらのマナーが適用されることになりました。
ご飯はフォークの背に乗せるべきか?
そもそもイギリスにもフランスにもアメリカにも、ご飯を食べる習慣がほとんどありません。しかし日本人はご飯がなければ食事した気分にならないので、ご飯はどんなレストランでも必要でした。そこでイギリスにはマッシュポテトや豆を食べるときにフォークの背に乗せる食べ方があるので、これがご飯に転用されました。ご飯はフォークの背に乗せるのか腹に乗せるのか?という議論がありますが、そもそもフランスでもイギリスでもご飯を食べないので正解はありません。日本人が作り出したルールなのです。それからイギリスではこういう食べ方をしていた、フランスではこうだったという意見をネットでよく見かけますが、イギリスもフランスも階級社会の名残があり、労働者階級の食事マナーとアッパークラス(金持ちという意味ではなく、むしろ血筋の方)の人達ではマナーも異なります。イギリス人がこうしていたからと言って、それが唯一無二のマナーでないことにも注意が必要です。
では私はどうしているのか?
私の場合、外国で外国人と食事をする時は、相手と同じようにしていました。横須賀基地で米海軍将校と食事をする機会があった際も、相手が肉を切れば同じように切って食べ、野菜を突けば同じように突いていました。しかしこれも神経質になる必要はありません。外国で「フォークの持ち方はこうよ」と指摘されると顔から火が出るほど恥ずかしい気持ちになる人がいますが、日本に来ている外国人が箸の使い方が変でも気にならないように、彼らも特に気にしているわけではありません。女王陛下と食事をするならまだしも、そこまで神経質になる必要はないと思っています。むしろ食事しながらマナーを教えてもらうぐらいの感じでよいでしょう。
まとめ
ナイフとフォークのテーブルマナーは、諸外国のものをごちゃ混ぜにした日本独自のルールが多いので、その時その時に柔軟に対応した方が良いと思います。私は子供のころにナイフとフォークの使い方を母親に仕込まれました。しかし中流階級のアメリカ人からは「ナイフを持ち続けるのは子供っぽい」「ずっと右手にナイフを持ち続けるのは頭が悪い」「フォークの背にご飯を乗せる曲芸みたいな食べ方」などと笑われたことがありますし、ポーランドだったか東欧圏の人から「ナイフは左手、フォークは右手に持つのが普通」と指摘されたこともあります。こういう時は、素直に教えを乞うと楽しく食事が進みますし、フォークの背にご飯を乗せて日本人の器用さをアピールするのも人によってはウケます。テーブルマナーに気を取られて緊張しながら食べるよりも、リラックスして会話を楽しみながら食べる方が何倍もおいしいはずです。
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