N-3Bを米兵から買った話 /暖かさ抜群のコートでした
また90年代の前半だったと思います。オートバイでフラフラしていた私と友人は、食事を取ることにしました。なんとなくアメリカンな雰囲気の食堂に入ると、数名の米兵が食事をとっていました。彼らは軽く酔っていて、私たちにオートバイを見せろとか言って、話しかけてきました。
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1人だけ女性兵士がいて、彼女は飛行機の整備士だと言っていました。他はヘリのパイロットで、無駄に陽気なノリにくたくたになりながら、呂律の怪しい彼らの話を聞いていました。とりあえず悪い人たちではなさそうで、とにかく面白かったですね。
私「それ、暖かい?」
女「最高よ」
私「俺も欲しい」
女「その革ジャンと交換して」
試しに交換して着てみると、お互いにほとんどピッタリでした。女性兵士は、みんなにヒューヒュー言われて、ストリッパーのような怪しげなセクシーダンスを踊ります。寒空の駐車場でも、この人達のノリは変わりません。ちなみに彼女はセクシー系というより、いかにも軍隊にいそうなドスコイ系でした。
女「どう?交換する?」
と再度言われて私は悩みました。借りて着てみたN-3Bは、本当に暖かいのです。さすがマイナス30度での活動を前提にしているだけあります。そして軽さも驚きでした。これは巷で売られているレプリカとは別物で、さすが米軍支給品は違うと思わされました。
茫然とする私をよそに一緒にいた友人が激怒して詰め寄り、泥酔していた黒ギャルも一気に酔いが覚めて泣きながら謝罪をしました。「必ずきれいにして返しますから」と、黒ギャルの友人達も泣きながら謝り、土下座までしそうな勢いだったので革ジャンを渡して連絡先を交換して別れました。
翌日、黒ギャルから泣きながら電話があり、友人と彼女の家に行くと、昨日のギャル仲間が集合して待っていました。そしてその前に、昆布のようにカチカチに干からびた革ジャンがありました。なんと黒ギャルは洗濯機に洗剤とともに入れて洗っていたのでした。昆布のような革ジャンを前に正座した黒ギャル達、目に涙を浮かべて「弁償します」と言う姿、もう全てがバカバカしくて友人と大笑いし、なんとなくそれから彼女たちと仲良しになっていました。以降、事あるごとに「この子がゲロをぶっかけて、革ジャンが昆布になった」とネタになっていたので、この革ジャンはなんとなく渡し難いものがあったのです。それに昆布状態から数週間かけて、元のコンディションに戻した苦労もありますからね。
そこで私は女性兵士に「友人の思い出があるから交換できない」と伝えました。すると彼女はハッとした表情で「余計なことを言ってごめんね」と謝りました。何か盛大な勘違いをしている気がしましたが、説明が面倒なので省きました。そして彼女は「欲しいなら売ってあげよう。100ドルでどうだ!」と言います。1万円なら安いと思い、買うことを決めました。しかし後になって思ったのですが、彼女は軍からの支給品をお小遣いに変えて良かったのでしょうか?
5年ほど着ていたと思いますが、ボロボロになってきたので捨ててしまいました。かなり劣悪なコンディションでも使っていたので元はとったと思いますが、米軍に納入された本物は今では入手が難しいですし、もう少し丁寧に扱って長持ちさせればよかったと後悔しています。なにより本当に暖かかったので、ちょっと出かけるくらいなら真冬でもTシャツの上にN3-Bを着れば寒さを感じないほどでした。
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なぜか宴会に
どうやら米兵の1人が帰国することになったそうで、みんなで飲んでいたようです。私たちが「オートバイに乗ってきたから」とアルコールを断ると「俺が爆撃機で家まで送ってやる」というメチャクチャなことを言い出し、さらに店のオーナーが端っこに駐めているなら明日取りに来ればいいと言い出して、なぜか私たちも加わって酒盛りになっていきました。1人だけ女性兵士がいて、彼女は飛行機の整備士だと言っていました。他はヘリのパイロットで、無駄に陽気なノリにくたくたになりながら、呂律の怪しい彼らの話を聞いていました。とりあえず悪い人たちではなさそうで、とにかく面白かったですね。
バイクを見たい
私たちは古いハーレーダビッドソン(私のは76年製、友人のは65年製だったと思います)に乗っていたので、それをじっくり見たいと言い出し、私たちは駐車場に出ました。あまりの寒さに全員が店に戻り、アウターを着て震えながらバイクの前であーだこーだと話が続きます。その時に、女性兵士がN-3Bを着ているのに気がつきました。私「それ、暖かい?」
女「最高よ」
私「俺も欲しい」
女「その革ジャンと交換して」
試しに交換して着てみると、お互いにほとんどピッタリでした。女性兵士は、みんなにヒューヒュー言われて、ストリッパーのような怪しげなセクシーダンスを踊ります。寒空の駐車場でも、この人達のノリは変わりません。ちなみに彼女はセクシー系というより、いかにも軍隊にいそうなドスコイ系でした。
女「どう?交換する?」
と再度言われて私は悩みました。借りて着てみたN-3Bは、本当に暖かいのです。さすがマイナス30度での活動を前提にしているだけあります。そして軽さも驚きでした。これは巷で売られているレプリカとは別物で、さすが米軍支給品は違うと思わされました。
交換を諦める
私はこの革ジャンにも若干の思い入れがあり、ためらいました。特に高価でも珍しいものでもないのですが、遡ること1年前に私のバイクがエンジントラブルを起こして道に停めて修理していたところ、通りかかった厚底ブーツにミニスカ金髪の黒ギャルが、いきなり嘔吐して私の背中をゲロまみれにしたのです。茫然とする私をよそに一緒にいた友人が激怒して詰め寄り、泥酔していた黒ギャルも一気に酔いが覚めて泣きながら謝罪をしました。「必ずきれいにして返しますから」と、黒ギャルの友人達も泣きながら謝り、土下座までしそうな勢いだったので革ジャンを渡して連絡先を交換して別れました。
翌日、黒ギャルから泣きながら電話があり、友人と彼女の家に行くと、昨日のギャル仲間が集合して待っていました。そしてその前に、昆布のようにカチカチに干からびた革ジャンがありました。なんと黒ギャルは洗濯機に洗剤とともに入れて洗っていたのでした。昆布のような革ジャンを前に正座した黒ギャル達、目に涙を浮かべて「弁償します」と言う姿、もう全てがバカバカしくて友人と大笑いし、なんとなくそれから彼女たちと仲良しになっていました。以降、事あるごとに「この子がゲロをぶっかけて、革ジャンが昆布になった」とネタになっていたので、この革ジャンはなんとなく渡し難いものがあったのです。それに昆布状態から数週間かけて、元のコンディションに戻した苦労もありますからね。
そこで私は女性兵士に「友人の思い出があるから交換できない」と伝えました。すると彼女はハッとした表情で「余計なことを言ってごめんね」と謝りました。何か盛大な勘違いをしている気がしましたが、説明が面倒なので省きました。そして彼女は「欲しいなら売ってあげよう。100ドルでどうだ!」と言います。1万円なら安いと思い、買うことを決めました。しかし後になって思ったのですが、彼女は軍からの支給品をお小遣いに変えて良かったのでしょうか?
その後のN-3B
とにかく暖かいので、真冬にオートバイに乗るには最高のアウターでした。しかし普段着るには暑いと感じることも多く、もっぱらバイク用になっていきます。元からジェットエンジンのススがついてうっすら黒くなっていたのですが、今度は排気ガスによって真っ黒になるまで着ていました。雨に濡れると黒いしずくが垂れるようになり、一度クリーニングに出したらあちこち傷んでしまいました。5年ほど着ていたと思いますが、ボロボロになってきたので捨ててしまいました。かなり劣悪なコンディションでも使っていたので元はとったと思いますが、米軍に納入された本物は今では入手が難しいですし、もう少し丁寧に扱って長持ちさせればよかったと後悔しています。なにより本当に暖かかったので、ちょっと出かけるくらいなら真冬でもTシャツの上にN3-Bを着れば寒さを感じないほどでした。
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