教師は武装するべきか? /フロリダ高校銃乱射事件

フロリダ州の高校での銃乱射事件をうけて、トランプ大統領が教師が銃で防戦すれば、乱射事件はたちまち終わるかもしれないと述べました。これにはさまざまな声が出ていて、大統領を批判する声も多く聞かれます。警察が来るまでに多くの死傷者が出たのですから、大統領が言いたい気持ちもわかります。しかし私がアメリカの教師だったら猛反対していると思います。



フロリダ高校銃乱射事件

2月14日、マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校にアサルトライフルで武装した男が押し入り、17人が犠牲になりました。犯人は学校を退学処分になった学生だと言われています。火災報知機を鳴らして生徒を戸外に出させ、そこで銃を乱射する計画的な犯罪で、そのまま校舎内に銃を撃ちながら侵入し、混乱に乗じて生徒のふりをして出てきたところを逮捕されています。



逃げ回る生徒達はスマートフォンを取り出し、親や知人に「911に電話して」と連絡し、あまりのことに信じられない親に写真や動画を送ったため、メディアにも衝撃的な映像が流れました。教室に横たわる死体や、SWATが突入してくる様子などが生々しく伝えられています。

トランプ大統領の提案

警察が来るまでに、すでに多くの人が殺されています。さらに警察は到着してから突入に時間がかかりました。安易な突入は犠牲者を増やしパニックを増加させるので慎重になったのかもしれませんが、保安官が責任をとって辞任するなど波紋が広がっています。こうした中で、トランプ大統領の発言が飛び出しました。銃を携行する教師にボーナスを出すというのです。


私が自分が教師だったら反対なのは、銃を持っていると犯人に真っ先に狙われるからです。銃撃戦であれ戦争であれ、先制攻撃は圧倒的に有利です。映画のように、撃たれそうになったらかわして反撃するなんてほとんど不可能です。学校に銃器を持ち込んで大量殺戮を計画している学生がいたら、真っ先に武器を持っている教師を狙うでしょう。さらに最近の犯行はアサルトライフルが主流になっています。そんな犯人に拳銃で立ち向かうなんてできません。「日本刀を持って暴れる人がいるから、君たちに果物ナイフを支給しよう」と言われれば、冗談じゃないと言いたくなります。

護憲派と改憲派の対立

アメリカから銃をなくせない理由の一つは、合衆国憲法に銃を持つ権利が記載されているからです。この解釈にはさまざまな異論があり、あくまでも州兵などを認める内容で、一般市民ではないという意見もあります。しかし憲法が市民の銃所持を認めているというのが一般的な解釈で、これが強力に働いていてなかなか変更ができないのです。もちろんこの合衆国憲法修正第2条を改正しようという意見もあります。



銃規制の問題を日本でわかりやすく解説するなら、この修正第2条を日本国憲法第9条に置き換えるのがいいと思います。憲法を変えるべきだという人たちと、憲法を変えてはならないという人たちの対立は簡単に解決することはなく、いつも話は平行線に終わってしまいます。もちろんアメリカの銃規制の問題は憲法だけではありませんが、修正第2条が大きく作用しているのも事実なのです。

まとめ

全米ライフル協会は「銃は人を殺さない。人が人を殺す」と言います。この意見は納得できますが、では現実の銃による犠牲者の増加にどう対処するかという問題も残ります。一方で銃と一括りに扱うことが問題を増加させているという声もあります。銃といっても狩猟用もあれば競技用もあります。その中で人を殺すためだけに進化している武器が問題であり、平和なところに武器を持ち込めば争いが始まるという意見もあります。

これはアメリカ国内の問題であり、私たち外国人があれこれ言う問題ではないと思います。かつて日本人留学生が凶弾に倒れた痛ましい事件がありましたが、アメリカの国内問題だというのが基本です。そして銃規制は遅々として進まないでしょう。長い歴史の中で日本が武器を持たないようにしたように、アメリカは武器を持つことで歴史を重ねてきました。これは簡単に変えられないと思います。


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