羨ましい親子関係
※こちらは以前の「はねもねの独り言」に書いていた記事です。
知り合いのKさんは、既婚で小学校5年生の男の子の母です。今時の子供は小学校4年生になると塾に通うのが当たり前のようで、夏休みもほとんどの時間を塾 に費やすのだそうです。子供は遊ぶのが仕事だと思うのですが、それを抜きにして中学校受験のテクニックを学ぶために貴重な時間を費やすというのは不健康ですよね。しかしやはり子供なので、漫画やアニメも大好きなのだそうです。そんなKさんの家での漫画の話です。
この方の息子さんが大好きな漫画が「名探偵コナン」で、私も好きなのでKさんとその話で盛り上がりました。息子さんがアニメを見ていたのでKさんもなんとなく見ていて、息子さんが漫画本を買ってくるのでそれもなんとなく読んでみて面白くなったのだそうです。この漫画は謎と伏線があちこちに散りばめられているのですが、原作者がこの物語に出てくる黒の組織のボスは既に物語に登場している人物だと語ったことをKさん親子は知ります。
この物語では通称「黒の組織」という犯罪組織が登場し、そのボスは「あの方」と呼ばれる正体不明の人物です。その正体が実は既に登場している人物の中にあるということで、Kさんも息子さんも興味を持ちました。息子さんは1巻から再度読み返しては、あれこれ考えるようになったそうです。そこでKさんは「当てずっぽうじゃなくて、どうしてその人が『あの方』なのか証拠を探してみよう。作者の言うとおりなら、答えは漫画の中にあるはずよ」と息子さんに提案したの だそうです。
そこで二人はコナン用のノートを作り、ダイニングテーブルのそばに置いて何か気づいたらそれに書き込むことにしたそうです。そして二人は宿題が終わった後、家事の合間にコナンを読んではあれこれメモをしていったそうです。息子さんの書き込みは
ジンが「あの方」の話をしたら、あがさ博士がクシャミした。うわさをされるとクシャミするからあがさ博士はあやしい。○○巻○○ページ
みたいな感じで、どんどんノートを埋めていったそうです。そしてKさんは息子さんにいくつかルールを決めて守らせるのですが、その一つはネットを使わないということでした。ネットを見ればこの手の議論が沢山あり、あっという間に答えらしいものが出てくるので自分で調べさせることにしたのだそうです。
さらにKさんは、黒の組織のメンバーのコードネームがお酒の名前ということに意味があるのではないかと考えました。そこで休日に図書館に行ってカクテルやお酒が紹介されている本を借りてきて、息子さんに登場人物の名前になっているお酒の名前を調べるように言いました。息子さんは次々に調べて、それをノートに書いていきます。
シェリー:スペインのアンダルシア地方で作られるワイン。酒精強化ワインのひとつ。
ベルモット:白ワインにスパイスを入れた酒精強化ワイン。
「へぇ。シェリーもベルモットも酒精強化ワインの仲間なんだ。だけど酒精強化ワインってなんだ?」なんて言いながら書き続け、一通り調べ終わると二人で仮説を立ててみました。お酒の産地に共通するものはないか?カクテル名になっている人は、そのカクテルの材料のお酒の名前の人となにか関係がないか?といった具合に仮説を立て、それをコツコツと二人で調べていったのだそうです。そしてその結果は、ノートに記されていきます。
ここまで熱心に二人でやっていると、旦那さんも興味を示しました。コナンは読んでいないのですが、二人で作ったノート読んで「クリス・ヴィンヤードって人のコードネームがベルモットなの?ヴィンヤードのスペルはきっとvineyardだから調べてみな」とヒントをくれたそうです。息子さんは英和辞典を調べ、vineyardの意味が「ぶどう園」だと知った時にKさんと歓喜の声をあげたそうです。
「もしかしたら他にもブドウが原料のお酒の名前がつく人がいるかも!」と二人は再度ノートを読み「もしかしてシェリーはぶどう園で生まれたの?ベルモットとシェリーは親子なの?」と新しい仮説が生まれ、その仮説が正しいか再びコナンを1巻から読み返す作業が 始まったのだそうです。他にもヒントがあるかもと物語によく出てくるシャーロック・ホームズの原作を読み、その中で「あの方」という表現が出てきた時は二人で興奮したそうです。
私はこの話を聞いていて、Kさんの息子を心の底から羨ましく思いました。調査対象の資料を何度も読み返し、重要だと思うところをメモして仮説を立て、その仮説を証明するために新たな資料を読み込むという作業をKさんの息子さんは楽しみながらやっているわけです。小学生の時にそんなトレーニングができる人はそんなにいませんし、夢中になって楽しめる教材なんてめったにありません。Kさんの息子さんは興味のある教材があったというだけでなく、Kさん夫婦という 優れたコーチがそばにいて指導してくれるのです。
嬉しかったのは、Kさんがノート作りのヒントにしたのは私がいつも持ち歩いている雑記帳だったそうで、見出しの作り方などは真似したのだそうです。すでに ノートは5冊目に入っているそうですが、これからも二人でノートを作って調査を続けるのだそうです。Kさんが話してくれたKさん親子の推理が正しいかどうかはわかりませんが、息子さんが今やっていることは将来いつか役に立つと思います。そして付箋だらけになったコナンの漫画と二人で作ったノートは貴重な思い出になるでしょう。きっとKさんのように論理的にビシっとものを言う子になるだろうな。ちょっと息子さんに会ってみたくなりました。
にほんブログ村
COMMENT:
AUTHOR: maple
DATE: 02/19/2011 00:49:30
すごいですね、小さいころから論理的な思考の訓練をしてると、将来絶対に役に立ちますよね。
どんな知識も、それをまとめる思考力あってこそ生きてきますから。
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COMMENT:
AUTHOR: つるひめ
DATE: 02/19/2011 02:09:41
最近、もうひとつのブログ『過激なるギャツビー』更新されませんね。こちらを立ち上げた時のエナジーはもう過ぎてしまったのかな。
私はブレードランナーのこのシーンを見るたびに、全てが戻ります。
in time like tears in rain
http://www.youtube.com/watch?v=a_saUN4j7Gw&feature=related
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COMMENT:
AUTHOR: はねもね
DATE: 02/21/2011 19:22:16
★mapleさん
論理的な思考ってトレーニングしてきた人としていない人ではずいぶんと違いますよね。小さい頃からこういうトレーニングをしたことは、きっと財産になると思います。
私もこういう体験をしたかったです。。
★つるひめさん
あああ…。実は数年前にパソコンがおかしくなった時に、ローカル側に書きためていたファイルが全て消えてモチベーションが下がってしまいました。
さらに今回のパソコンの故障と買い替えによって、ソフトすらない状態です。前に使っていたソフトはPPC用なんで、今のiMacじゃ使えないんですよね。そのうちリニューアルしようと思っています。
私もブレードランナーは好きな映画で、何度も見ました。あの映画を初めて見た時は子ども心にも衝撃的でしたからね。
知り合いのKさんは、既婚で小学校5年生の男の子の母です。今時の子供は小学校4年生になると塾に通うのが当たり前のようで、夏休みもほとんどの時間を塾 に費やすのだそうです。子供は遊ぶのが仕事だと思うのですが、それを抜きにして中学校受験のテクニックを学ぶために貴重な時間を費やすというのは不健康ですよね。しかしやはり子供なので、漫画やアニメも大好きなのだそうです。そんなKさんの家での漫画の話です。
この方の息子さんが大好きな漫画が「名探偵コナン」で、私も好きなのでKさんとその話で盛り上がりました。息子さんがアニメを見ていたのでKさんもなんとなく見ていて、息子さんが漫画本を買ってくるのでそれもなんとなく読んでみて面白くなったのだそうです。この漫画は謎と伏線があちこちに散りばめられているのですが、原作者がこの物語に出てくる黒の組織のボスは既に物語に登場している人物だと語ったことをKさん親子は知ります。
この物語では通称「黒の組織」という犯罪組織が登場し、そのボスは「あの方」と呼ばれる正体不明の人物です。その正体が実は既に登場している人物の中にあるということで、Kさんも息子さんも興味を持ちました。息子さんは1巻から再度読み返しては、あれこれ考えるようになったそうです。そこでKさんは「当てずっぽうじゃなくて、どうしてその人が『あの方』なのか証拠を探してみよう。作者の言うとおりなら、答えは漫画の中にあるはずよ」と息子さんに提案したの だそうです。
そこで二人はコナン用のノートを作り、ダイニングテーブルのそばに置いて何か気づいたらそれに書き込むことにしたそうです。そして二人は宿題が終わった後、家事の合間にコナンを読んではあれこれメモをしていったそうです。息子さんの書き込みは
ジンが「あの方」の話をしたら、あがさ博士がクシャミした。うわさをされるとクシャミするからあがさ博士はあやしい。○○巻○○ページ
みたいな感じで、どんどんノートを埋めていったそうです。そしてKさんは息子さんにいくつかルールを決めて守らせるのですが、その一つはネットを使わないということでした。ネットを見ればこの手の議論が沢山あり、あっという間に答えらしいものが出てくるので自分で調べさせることにしたのだそうです。
さらにKさんは、黒の組織のメンバーのコードネームがお酒の名前ということに意味があるのではないかと考えました。そこで休日に図書館に行ってカクテルやお酒が紹介されている本を借りてきて、息子さんに登場人物の名前になっているお酒の名前を調べるように言いました。息子さんは次々に調べて、それをノートに書いていきます。
シェリー:スペインのアンダルシア地方で作られるワイン。酒精強化ワインのひとつ。
ベルモット:白ワインにスパイスを入れた酒精強化ワイン。
「へぇ。シェリーもベルモットも酒精強化ワインの仲間なんだ。だけど酒精強化ワインってなんだ?」なんて言いながら書き続け、一通り調べ終わると二人で仮説を立ててみました。お酒の産地に共通するものはないか?カクテル名になっている人は、そのカクテルの材料のお酒の名前の人となにか関係がないか?といった具合に仮説を立て、それをコツコツと二人で調べていったのだそうです。そしてその結果は、ノートに記されていきます。
ここまで熱心に二人でやっていると、旦那さんも興味を示しました。コナンは読んでいないのですが、二人で作ったノート読んで「クリス・ヴィンヤードって人のコードネームがベルモットなの?ヴィンヤードのスペルはきっとvineyardだから調べてみな」とヒントをくれたそうです。息子さんは英和辞典を調べ、vineyardの意味が「ぶどう園」だと知った時にKさんと歓喜の声をあげたそうです。
「もしかしたら他にもブドウが原料のお酒の名前がつく人がいるかも!」と二人は再度ノートを読み「もしかしてシェリーはぶどう園で生まれたの?ベルモットとシェリーは親子なの?」と新しい仮説が生まれ、その仮説が正しいか再びコナンを1巻から読み返す作業が 始まったのだそうです。他にもヒントがあるかもと物語によく出てくるシャーロック・ホームズの原作を読み、その中で「あの方」という表現が出てきた時は二人で興奮したそうです。
私はこの話を聞いていて、Kさんの息子を心の底から羨ましく思いました。調査対象の資料を何度も読み返し、重要だと思うところをメモして仮説を立て、その仮説を証明するために新たな資料を読み込むという作業をKさんの息子さんは楽しみながらやっているわけです。小学生の時にそんなトレーニングができる人はそんなにいませんし、夢中になって楽しめる教材なんてめったにありません。Kさんの息子さんは興味のある教材があったというだけでなく、Kさん夫婦という 優れたコーチがそばにいて指導してくれるのです。
嬉しかったのは、Kさんがノート作りのヒントにしたのは私がいつも持ち歩いている雑記帳だったそうで、見出しの作り方などは真似したのだそうです。すでに ノートは5冊目に入っているそうですが、これからも二人でノートを作って調査を続けるのだそうです。Kさんが話してくれたKさん親子の推理が正しいかどうかはわかりませんが、息子さんが今やっていることは将来いつか役に立つと思います。そして付箋だらけになったコナンの漫画と二人で作ったノートは貴重な思い出になるでしょう。きっとKさんのように論理的にビシっとものを言う子になるだろうな。ちょっと息子さんに会ってみたくなりました。
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AUTHOR: maple
DATE: 02/19/2011 00:49:30
すごいですね、小さいころから論理的な思考の訓練をしてると、将来絶対に役に立ちますよね。
どんな知識も、それをまとめる思考力あってこそ生きてきますから。
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AUTHOR: つるひめ
DATE: 02/19/2011 02:09:41
最近、もうひとつのブログ『過激なるギャツビー』更新されませんね。こちらを立ち上げた時のエナジーはもう過ぎてしまったのかな。
私はブレードランナーのこのシーンを見るたびに、全てが戻ります。
in time like tears in rain
http://www.youtube.com/watch?v=a_saUN4j7Gw&feature=related
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AUTHOR: はねもね
DATE: 02/21/2011 19:22:16
★mapleさん
論理的な思考ってトレーニングしてきた人としていない人ではずいぶんと違いますよね。小さい頃からこういうトレーニングをしたことは、きっと財産になると思います。
私もこういう体験をしたかったです。。
★つるひめさん
あああ…。実は数年前にパソコンがおかしくなった時に、ローカル側に書きためていたファイルが全て消えてモチベーションが下がってしまいました。
さらに今回のパソコンの故障と買い替えによって、ソフトすらない状態です。前に使っていたソフトはPPC用なんで、今のiMacじゃ使えないんですよね。そのうちリニューアルしようと思っています。
私もブレードランナーは好きな映画で、何度も見ました。あの映画を初めて見た時は子ども心にも衝撃的でしたからね。
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