マンションって価値があるんですか?
※こちらは以前の「はねもねの独り言」に書いていた記事です。
ここに書いているように、私はマンションを販売している不動産屋に勤めているのですが、友人から戸建 を買うかマンションを買うかで相談を受けました。相談してきたA君が「戸建は土地が残るけど、マンションは共同ですよね。マンションって価値があるんですかね?」と言ってきたのです。これって80年代のバブル時代の土地神話をそのまま引きずっている思考だと思います。私は資産価値を考えるのに、マンションか戸建かで考えるのはナンセンスだと思っています。
理想は夢の一戸建。マンションは戸建が買えない人が買うものか、どうしても都心部に住みたいけど高額なので仕方なく買うものという時代が長くありました。さらに戸建なら建物がボロボロになっても土地が残るのに対し、マンションは建物がボロボロになったら土地の持分はわずかしかないので、資産価値が低いというイメージがあるようです。そのため、多少不便な場所でも戸建にした方がいいと考える人がいるのも事実です。
話が少し飛びますが、日本にはどれくらいの住宅があるかご存知でしょうか。統計局の土地統計調 査を見ると、2008年10月1日時点で総住宅数は5759万戸あります。そのうち居住世帯がある住宅は4861万戸です。このうち一戸建ては約55%、マンションが42%ぐらいですね。戸建とマンションの数は、割と接近しています。ちなみに5759万戸中、空き家は756万戸で、全体の13%にものぼります。そして空家率は、上昇傾向にあるのです。
そしてマンションの普及率を都道府県に見てみると、一番多いのは東京の69.6%、神奈川 の56.1%と都心部が続きます。少ないのは秋田県の15.4%を筆頭に、福井県(17.8%)、和歌山県(19.2%)と続きます。これは納得の結果ですよね。都心部にマンションが多くて、地方に行けば行くほどマンションが少なくなります。土地が安いので、マンションを建てる必要性がありませんから、当然と言えば当然です。
そして空家率を都道府県別に見ると、面白い傾向が浮かび上がります。空家率が最も多いのは山梨県の20.2%で、続 いて長野県(19.0%)、和歌山県(17.9%)となります。マンション普及率と空家率を重ねてみると、マンションが普及していないところの方が空家率が高いという傾向が出ているのです。山梨県はマンション普及率が20%台前半ですし、長野県は20%以下です。和歌山県はマンション普及していないランキ ング3位の19.2%ですね。
マンションが普及していない都道府県の方が、空家率が高いという事実をどのように考えたらいいでしょうか。 空き家になるということは、住んでいた人が引っ越したり死亡したりした後に、買い手がつかないということです。高齢者が多い県の方が空き家になりやすいようなイメージがありますが、市場が小さくとも資産性があれば売却も可能ですから、資産性がないから空家になっているケースが多いと思われます。
まずマンションは事業性を考慮して企業が建設するので、そもそも土地に価値がないと建てません。つまり、その県に高い事業性が見込める土地が少ないというの が考えられます。また、別の調査から空き家の多くが戸建というデータも出ています。繰り返しますが、マンションは事業性が高い土地、つまり資産価値が高い土地に建てられることが多いのに対し、戸建は個人が古くからその土地に住んでいるなどの理由で資産性を無視して建てられることが案外多いものです。そのた め資産性のない戸建が、空き家になったという可能性も考えられます。
またこうも考えられます。最初に書いたように、とにかく戸建にこだ わって都市部から遠く離れた駅で、その駅からもバス利用というように距離がある場所に戸建を買うという人はかなりいました。現在は人口がどんどん減っているので、そのような場所の土地の資産性はどんどん目減りしています。そういう土地の住宅が、買い手がつかずに空家となっているとも考えられます。
空家は戸建が多いので、このような書き方をしましたが、私は戸建の方が資産価値がなくなりやすいと書きたいわけではありません。戸建であれマンションであれ 長屋であれ、価値がない土地に建ったものは等しく資産性がなくなるということが重要なのです。従って都心部から電車で2時間かかり、その駅からバスで30 分もかかって周囲にはコンビニもないようなマンションは、同じく資産性がありません。住宅形態に関係なく、その土地に価値があるかが最も重要なのです。
最 初に書いたA君のような土地が残るから価値があるという考え方は、土地は必ず値上がりするというバブル景気までの土地神話の名残でしかなく、今は土地に よって大きく資産性が変わることが重要なのです。「いやいや、これから人口は減るので土地が余るでしょう」という声もあるでしょうが、人口が減っても利便性が良い場所、環境が優れている場所は、やはり人気を保ち続けるでしょう。しかし利便性が悪い場所は、どんどん価値が目減りしていきます。
住宅の形態は、使い勝手や住み心地の好み大きく左右されますが、資産性を考えるならば立地条件を吟味した方がいいと思います。しかしここで誤解して欲しくな いのですが、私は資産性だけで住宅を選ぶべきだと考えているわけではありません。個人の幸福度は資産性だけでは計れませんから、引退して田舎でノンビリ暮らしたいという考えを否定する気は毛頭ありません。どうしてもそこに住みたいというモチベーションがあれば、そこに住むというのはアリだと思うわけです。私が言いたいのは、資産性を考えるのに住宅の形態を真っ先に考えるのはナンセンスだということです。これから住宅を買おうという人の参考になればと思います。
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COMMENT:
AUTHOR: maple
DATE: 06/05/2010 00:26:21
マンションの資産価値にもうひとつ付け足すなら、
まともな管理会社に管理されてきたってのを
つけたしたいですねぇ(T.T)
バブルのころはひどかったですね。
みんな不動産なら何でもって飛びついて、
自分にあっているかもぜんぜん吟味して
ないみたいで。
今頃後悔してる人多いんじゃないでしょうか。
はねもねさんがおっしゃるように、下手に
儲けようとせずに、住んで満足ってところなら、
いくら値下がりしようが関係なく幸せになれる
と思います。
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COMMENT:
AUTHOR: 女王様
DATE: 06/05/2010 04:14:00
おはようございます。
同居人は千葉の農村部、私は横浜の住宅街でそれぞれ1戸建ての実家で育ちました。
結婚・就職(同居人は転職)を経て、東京のマンション(33㎡、2DK)→千葉のマンション(66㎡、2LDK)と転居しましたが...。
私は原則としてマンションが好きです。1戸建ては「寒い」のです。2人の実家はもちろん、贅を尽くして建てた生徒さんのお家(3つの会社のオーナー)でさえ(←自宅に招待された)、冬は寒くて辛いものがあります。戸建てだと庭の手入れ・町内会のつきあい等々もあります。600坪の豪邸に住んでいたのに、息子さん夫婦に譲ってマンションに転居した生徒さんもいます。「草むしりと落ち葉掃きにうんざり。鍵一つで外出できるマンションの方がはるかに快適。年寄りはマンションの方がいい」そうです。
生徒さん達の何人かは。一戸建てを子供世帯(濃さ育て中)に譲り、マンションやアパートに住み替えています。
資産価値も大事ですが、基本的には「居住性」が第一だと思います。子育て中で遠慮なく子供たちを遊ばせたい、ガーデニングが趣味、留守勝ちなのでセキュリティのしっかりとした住まいが必要、近所つきあいに煩わせられるのはイヤ、都心の通勤至便な住まいがいい...等々。
戸建て・マンション・自己保有・賃貸の種類を問わず。最も重要なのは「隣人のタイプ」かも知れません。億単位の豪邸を構えても。隣人がサイコな性格ならアウト、ですよね。
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COMMENT:
AUTHOR: はねもね
★mapleさん
おっしゃるとおり、管理会社は大きいですね。築10年ぐらいのマンションを見に行くと、その違いがハッキリしますね。
バブルの頃は投機としてマンションを買っていましたし、しかも何でも値上がりすると思われていたのでマンションと名の付くものなら何でも売れていました。現在の目で見ると、狂気の沙汰としか思えない価格で売買されていたんですからね。
ライフスタイルを左右する買い物ですから、住宅は資産価値以外の面にも目を向けて欲しいものです。
★女王様さん
現在、私は戸建てに住んでいますが、夏は暑くて冬は寒いですね。マンションは管理費を払えば共用部の掃除をしてもらえますが、町内会費は払っても掃除をさせられますからね(^_^;)
最近はリタイアした人がマンションを買うケースが増えています。マンションは面倒なことが少ないので人気ですが、戸建ては下階への音を気にする必要はないので小さなお子さんを持っている人にはいいですね。
おっしゃるように、隣人というのは住みやすさが大きく左右します。マンションはある程度の価格帯なら、それ以下の収入層がいないという理由で購入する人もいますね。
ここに書いているように、私はマンションを販売している不動産屋に勤めているのですが、友人から戸建 を買うかマンションを買うかで相談を受けました。相談してきたA君が「戸建は土地が残るけど、マンションは共同ですよね。マンションって価値があるんですかね?」と言ってきたのです。これって80年代のバブル時代の土地神話をそのまま引きずっている思考だと思います。私は資産価値を考えるのに、マンションか戸建かで考えるのはナンセンスだと思っています。
理想は夢の一戸建。マンションは戸建が買えない人が買うものか、どうしても都心部に住みたいけど高額なので仕方なく買うものという時代が長くありました。さらに戸建なら建物がボロボロになっても土地が残るのに対し、マンションは建物がボロボロになったら土地の持分はわずかしかないので、資産価値が低いというイメージがあるようです。そのため、多少不便な場所でも戸建にした方がいいと考える人がいるのも事実です。
話が少し飛びますが、日本にはどれくらいの住宅があるかご存知でしょうか。統計局の土地統計調 査を見ると、2008年10月1日時点で総住宅数は5759万戸あります。そのうち居住世帯がある住宅は4861万戸です。このうち一戸建ては約55%、マンションが42%ぐらいですね。戸建とマンションの数は、割と接近しています。ちなみに5759万戸中、空き家は756万戸で、全体の13%にものぼります。そして空家率は、上昇傾向にあるのです。
そしてマンションの普及率を都道府県に見てみると、一番多いのは東京の69.6%、神奈川 の56.1%と都心部が続きます。少ないのは秋田県の15.4%を筆頭に、福井県(17.8%)、和歌山県(19.2%)と続きます。これは納得の結果ですよね。都心部にマンションが多くて、地方に行けば行くほどマンションが少なくなります。土地が安いので、マンションを建てる必要性がありませんから、当然と言えば当然です。
そして空家率を都道府県別に見ると、面白い傾向が浮かび上がります。空家率が最も多いのは山梨県の20.2%で、続 いて長野県(19.0%)、和歌山県(17.9%)となります。マンション普及率と空家率を重ねてみると、マンションが普及していないところの方が空家率が高いという傾向が出ているのです。山梨県はマンション普及率が20%台前半ですし、長野県は20%以下です。和歌山県はマンション普及していないランキ ング3位の19.2%ですね。
マンションが普及していない都道府県の方が、空家率が高いという事実をどのように考えたらいいでしょうか。 空き家になるということは、住んでいた人が引っ越したり死亡したりした後に、買い手がつかないということです。高齢者が多い県の方が空き家になりやすいようなイメージがありますが、市場が小さくとも資産性があれば売却も可能ですから、資産性がないから空家になっているケースが多いと思われます。
まずマンションは事業性を考慮して企業が建設するので、そもそも土地に価値がないと建てません。つまり、その県に高い事業性が見込める土地が少ないというの が考えられます。また、別の調査から空き家の多くが戸建というデータも出ています。繰り返しますが、マンションは事業性が高い土地、つまり資産価値が高い土地に建てられることが多いのに対し、戸建は個人が古くからその土地に住んでいるなどの理由で資産性を無視して建てられることが案外多いものです。そのた め資産性のない戸建が、空き家になったという可能性も考えられます。
またこうも考えられます。最初に書いたように、とにかく戸建にこだ わって都市部から遠く離れた駅で、その駅からもバス利用というように距離がある場所に戸建を買うという人はかなりいました。現在は人口がどんどん減っているので、そのような場所の土地の資産性はどんどん目減りしています。そういう土地の住宅が、買い手がつかずに空家となっているとも考えられます。
空家は戸建が多いので、このような書き方をしましたが、私は戸建の方が資産価値がなくなりやすいと書きたいわけではありません。戸建であれマンションであれ 長屋であれ、価値がない土地に建ったものは等しく資産性がなくなるということが重要なのです。従って都心部から電車で2時間かかり、その駅からバスで30 分もかかって周囲にはコンビニもないようなマンションは、同じく資産性がありません。住宅形態に関係なく、その土地に価値があるかが最も重要なのです。
最 初に書いたA君のような土地が残るから価値があるという考え方は、土地は必ず値上がりするというバブル景気までの土地神話の名残でしかなく、今は土地に よって大きく資産性が変わることが重要なのです。「いやいや、これから人口は減るので土地が余るでしょう」という声もあるでしょうが、人口が減っても利便性が良い場所、環境が優れている場所は、やはり人気を保ち続けるでしょう。しかし利便性が悪い場所は、どんどん価値が目減りしていきます。
住宅の形態は、使い勝手や住み心地の好み大きく左右されますが、資産性を考えるならば立地条件を吟味した方がいいと思います。しかしここで誤解して欲しくな いのですが、私は資産性だけで住宅を選ぶべきだと考えているわけではありません。個人の幸福度は資産性だけでは計れませんから、引退して田舎でノンビリ暮らしたいという考えを否定する気は毛頭ありません。どうしてもそこに住みたいというモチベーションがあれば、そこに住むというのはアリだと思うわけです。私が言いたいのは、資産性を考えるのに住宅の形態を真っ先に考えるのはナンセンスだということです。これから住宅を買おうという人の参考になればと思います。
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AUTHOR: maple
DATE: 06/05/2010 00:26:21
マンションの資産価値にもうひとつ付け足すなら、
まともな管理会社に管理されてきたってのを
つけたしたいですねぇ(T.T)
バブルのころはひどかったですね。
みんな不動産なら何でもって飛びついて、
自分にあっているかもぜんぜん吟味して
ないみたいで。
今頃後悔してる人多いんじゃないでしょうか。
はねもねさんがおっしゃるように、下手に
儲けようとせずに、住んで満足ってところなら、
いくら値下がりしようが関係なく幸せになれる
と思います。
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AUTHOR: 女王様
DATE: 06/05/2010 04:14:00
おはようございます。
同居人は千葉の農村部、私は横浜の住宅街でそれぞれ1戸建ての実家で育ちました。
結婚・就職(同居人は転職)を経て、東京のマンション(33㎡、2DK)→千葉のマンション(66㎡、2LDK)と転居しましたが...。
私は原則としてマンションが好きです。1戸建ては「寒い」のです。2人の実家はもちろん、贅を尽くして建てた生徒さんのお家(3つの会社のオーナー)でさえ(←自宅に招待された)、冬は寒くて辛いものがあります。戸建てだと庭の手入れ・町内会のつきあい等々もあります。600坪の豪邸に住んでいたのに、息子さん夫婦に譲ってマンションに転居した生徒さんもいます。「草むしりと落ち葉掃きにうんざり。鍵一つで外出できるマンションの方がはるかに快適。年寄りはマンションの方がいい」そうです。
生徒さん達の何人かは。一戸建てを子供世帯(濃さ育て中)に譲り、マンションやアパートに住み替えています。
資産価値も大事ですが、基本的には「居住性」が第一だと思います。子育て中で遠慮なく子供たちを遊ばせたい、ガーデニングが趣味、留守勝ちなのでセキュリティのしっかりとした住まいが必要、近所つきあいに煩わせられるのはイヤ、都心の通勤至便な住まいがいい...等々。
戸建て・マンション・自己保有・賃貸の種類を問わず。最も重要なのは「隣人のタイプ」かも知れません。億単位の豪邸を構えても。隣人がサイコな性格ならアウト、ですよね。
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AUTHOR: はねもね
★mapleさん
おっしゃるとおり、管理会社は大きいですね。築10年ぐらいのマンションを見に行くと、その違いがハッキリしますね。
バブルの頃は投機としてマンションを買っていましたし、しかも何でも値上がりすると思われていたのでマンションと名の付くものなら何でも売れていました。現在の目で見ると、狂気の沙汰としか思えない価格で売買されていたんですからね。
ライフスタイルを左右する買い物ですから、住宅は資産価値以外の面にも目を向けて欲しいものです。
★女王様さん
現在、私は戸建てに住んでいますが、夏は暑くて冬は寒いですね。マンションは管理費を払えば共用部の掃除をしてもらえますが、町内会費は払っても掃除をさせられますからね(^_^;)
最近はリタイアした人がマンションを買うケースが増えています。マンションは面倒なことが少ないので人気ですが、戸建ては下階への音を気にする必要はないので小さなお子さんを持っている人にはいいですね。
おっしゃるように、隣人というのは住みやすさが大きく左右します。マンションはある程度の価格帯なら、それ以下の収入層がいないという理由で購入する人もいますね。
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