普段、何気なく来ているポロシャツですが、100年以上も歴史がある服です。伝統を重んじながらもプリンシプルを重視するイギリス、なにより合理性を大事にするアメリカ、そしてフランスの洒落た感覚が融合して今日のポロシャツが出来あがりました。今回はポロシャツの歴史と、各ブランドを紹介したいと思います。
ポロから始まったポロシャツ
馬を使った球技は古くからありますが、近代ポロはイギリス軍が駐留したインドのマニプールで発見され、独自の改良が行われました。19世期の中頃にはイギリス軍将校の間で盛んに行われるようになりました。
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※19世紀のインドのポロ |
当時の選手は綿の生地で作られた長袖シャツでプレイしていましたが、襟が風ではためいて顔に当たるのが不快でした。そこで彼らは襟をボタンで固定するようになります。こうして現在のボタンダウンシャツが生まれました。ポロシャツの元祖はボタンダウンシャツということになります。
ブルックス・ブラザーズでの発売
ブルックス・ブラザーズの創始者であるブルックス兄弟の孫、ジョン・E・ブルックスはイギリスを訪問しました。ポロの試合を見たジョン・E・ブルックスは、ほとんどの選手が襟をボタンで留めていることに気がつきます。この工夫に感動したジョンは、帰国するとブルックス兄弟にボタン付きの襟を進言しました。
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※当時のブルックス・ブラザーズのロゴ |
1896年にブルックス・ブラザーズからボタンダウンシャツが発売されると、瞬く間に大ヒットしました。後に「ファッション史上、最も多く模倣されたアイテムの1つ」と呼ばれることになるボタンダウンシャツの誕生です。
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※1896年に発売されたボタンダウンポロシャツ |
ルネ・ラコステの登場
ラコステの登場の前に、ルイス・レーシーというポロ選手が1920年にブエノスアイレスに開いたメンズショップで、大きな革新がありました。ボタンダウンシャツにワンポイントの刺繍を入れて販売したのです。これが後にポロシャツのアイコンとなる、ワンポイントの始まりです。
テニスの王者だったフランス人のジャン・ルネ・ラコステは、テニスウェアに不満を持っていました。当時のテニス選手は、ボタンダウンシャツの袖をまくってプレイしていました。ズボンはフランネルで、表彰式にはそのままネクタイを着用する正装に近いものだったのです。
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※ボタンダウンシャツを着用するラコステ |
ラコステは長袖をまくるのを嫌い、半袖シャツにすると、背中の部分がズボンから出にくいように後身頃を長くしたテニステールにしました。さらに襟はボタンを省く代わりに、柔らかい襟に置き換えられました。そしてさっと着られるようにプルオーバーにしてしまい、胸にはワンポイントの刺繍を入れました。なぜワニの刺繍を入れたのかは定かではありませんが、テニスの優勝商品のワニ皮のスーツケースに因んでいるという説があります。
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※現在のデザインに近いポロシャツ |
1926年の全米オープンテニスで、ラコステはこの新しいスタイルで登場すると、そのスタイリッシュな服装がセンセーションを巻き起こしました。次々にテニス選手はラコステのスタイルを模倣し、ポロ選手までもラコステを模倣しました。
1933年、ラコステは友人でニットウェアメーカーを営むアンドレ・ギリエと会社を共同設立しました。後のザ・ラコステ・シャツ・カンパニーです。ラコステはテニスホワイトに限らず、さまざまなカラー展開を始め、幅広く支持されるようになります。1953年にドワイト・アイゼンハワー大統領がゴルフの際にラコステのポロシャツを着用して、その人気は不動のものになりました。
フレッド・ペリーとラルフ・ローレン
イギリスのテニス界のスーパースターであるフレッド・ペリーは、自分用のテニスウェアを作ることにし、ウィンブルドンのシンボルである月桂樹をマークにしたウェアをつくります。1954年のことでした。フレッド・ペリーの選手としての人気は、彼のブランド人気に大きく貢献して、ラコステの挑戦者となりました。両者の人気はポロシャツをスポーツウェアというだけでなく、普段着としてポロシャツを定着させました。アメリカでは学生の間でも人気が爆発し、その影響ほ日本にも及びました。
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※フレッド・ペリー |
1967年にラルフ・ローレンがポロ・ラルフ・ローレンを立ち上げてポロシャツに参戦すると、ポロシャツはこの3つのブランドが人気を分けることになりました。今日でもポロシャツを代表するブランドは、この3つになります。
ラコステの定番L1212
ポロシャツの原点とも言えるのか、このL1212です。機能的でありながら、紳士のスポーツであるテニスの品位を守るデザインとしてルネ・ラコステが考案したデザインを、時代ごとにマイナーチェンジを繰り返して今日に至ります。カラーバリエーションも多いのが魅力で、何色も揃えている人が多くいます。L1212はフランス企画と日本企画の2種類があり、フランス企画はやや大ぶりなつくりになっています。
現在は、このL1212を元にスリムフィットなどいくつものバリエーションが派生しています。
フレッドペリーのM12
イギリスでモッズ文化が花開いた際に、モッズに愛用されたのがフレッド・ペリーでした。その中でもM12は定番モデルとして長い間愛されています。日本人の体型にもフィットしやすいことから、国内でも長いあいだ高い人気を誇っています。
ラルフ・ローレンのボーイズライン
つくりが大ぶりなラルフ・ローレンは、日本ではボーイズラインが人気です。日本の女性ならボーイズラインのMサイズぐらいの方が多いですし、180cmぐらいある男性でもLかXLでジャストサイズになることが多いと思います。
まとめ
ポロシャツはポロの歴史と共に生まれ、テニスによって現在の姿になりました。日本では70年代から80年代に人気が高まり、2000年以降にリバイバルで再び人気が高まりました。もはやポロシャツは流行で着るものというより、普段着の1つとして定着しているようにも思います。そしてポロシャツを選ぶなら、上記の3ブランドが間違いないと言えるでしょう。フランスのラコステ、イギリスのフレッドペリー、アメリカのラルフローレンは、どれを選んでも間違いのないポロシャツです。迷っている方は、まずこの3ブランドを検討してみて下さい。
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