劇場版名探偵コナンを振り返ってみた
中2の娘と名探偵コナンの劇場版の中で、最高傑作は何かという話になりました。全22作とルパンとのコラボ1作を加えた23作の中で、あれこれ議論したのですが、最高傑作はどれか1本には絞れませんでした。そんなことがあったので、印象的だった劇場版を紹介していきたいと思います。全部は書ききれないので、印象深いものだけを抜粋して書いてみました。
映画「ジャガーノート」以来の定番である、時限爆弾を止めるために切る線は赤か青かというのが出てきます。子供向けに作られてはいますが、ミステリーも含めて大人の映画の要素をふんだんに詰め込んだコナンらしい作品です。
相変わらず余計なことをする少年探偵団に、お約束のボケをかます毛利小五郎など、作品として安定したクオリティです。
一方で凝ったミステリーになっており、ファンの間では最高傑作とも言われています。個人的にはキザったらしい、歯の浮くような新一のセリフがなんとかならんのかと思いますが、良質な一本だと思います。
ジンが灰原と間違えて園子を狙撃するという信じられないミスを犯し、さらにその狙撃も失敗するという黒の組織にとっては悲惨な物語です。一方でコナンを守るために消火ロープを体に巻いて高層階から飛び降りる蘭姉ちゃんはダイハードばりの活躍で、女子高生の域を完全に超えてしまいました。
子供達を人質にとった人工知能のノアズアーク、仮想世界の中の殺人鬼である切り裂きジャック、現実世界の殺人者の3人の犯人が登場し、謎が解けるにつれて3人の関係性が明らかになる複雑なミステリーになっています。
東都タワー(東京タワーを模したもの)に、ヘリからチェーンガンを乱射する黒の組織の無茶っぷりと、そんなことまでして小学生1人を殺せない黒の組織のヘタレっぷりが冴え渡りますが、後半はアクション映画としての迫力を堪能できます。前半のミステリーはおまけのようなもので、危機を脱しては絶体絶命に陥るコナンのノンストップアクションです。
爆発したドイツの飛行船ヒンディンブルグの資料を取り寄せ、それを緻密に再現した内装は、これまで写真で見ていたヒンディンブルグを立体的に見せてくれました。これだけでも価値がある映画だと思います。
本編でも存在感が薄れていた灰原哀ファンのための映画で、とにかく灰原を見たい人にオススメの映画になっています。
三浦知良と並びセリフが多かった遠藤保仁は長台詞がある大抜擢で、あまりにも棒読みのために最初は失笑が起こっていた映画館内も、大丈夫なのかと不安が漂いました。崩壊が始まるスタジアムで「なんかわかんないけどボールがあるぞ」とヘラヘラ笑う精神状態が崩壊したとしか思えない少年探偵団に、遠藤保仁の棒読みセリフがリフレインで回想されるクライマックスは、コナン映画史上、最上位に入るインパクトでした。
興ざめなのは沖矢昴に最後の狙撃をやらせたことでしょう。これを見て「え!?もしかして沖矢昴の正体は赤井秀一なの?」と驚いた人が何人いたでしょう。そんなのは周知の事実で、本編での説明を待つまでもなく誰でも知っていました。本編の無駄な引き延ばしを劇場版にまで持ち込む必要はあったのでしょうか?
さらに犯人を演じた榮倉奈々が声優業に不慣れなため、セリフの棒読みが目立ってしまいました。そのため犯人が説得力に欠けてしまい、動機の意味不明さも手伝って失笑した記憶があります。怪盗キッドとコナンがひたすらアクションを続ける映画になって、個人的には駄作だと思うのですが大ヒットしました。
近年の映画は個々のキャラに重点を置いていて、特に最新作「ゼロの執行人」は安室透のファンのための映画として記録的なヒットになりました。ストーリーよりもキャラやアクションを重視した結果、以前のようなミステリーは薄くなっています。これを良しとするか否かは好みの問題だと思います。最新作の「ゼロの執行人」も安室透をメインにしたキャラ重視でしたから、この流れはしばらく続くんでしょうね。
名探偵コナン 時計じかけの摩天楼
97年の劇場版第1作で、放火と爆弾による連続事件を追う物語です。犯人の動機が無理矢理な感じもしますし、命の危険に晒されている時に「運命の赤い糸は切れない」と言って行動してしまう蘭姉ちゃんのお花畑っぷりに驚かされますが、複数のピースをつないで徐々に犯人が解き明かされるところは、なかなか楽しめます。映画「ジャガーノート」以来の定番である、時限爆弾を止めるために切る線は赤か青かというのが出てきます。子供向けに作られてはいますが、ミステリーも含めて大人の映画の要素をふんだんに詰め込んだコナンらしい作品です。
名探偵コナン 世紀末の魔術師
99年公開の劇場版第3弾です。ロマノフ王朝の遺産、インペリアル・イースター・エッグを狙う怪盗キッドとの対決で、キッドを狙う謎の人物も絡んできます。ミステリーとしてどうこうよりも、ニコライ2世と日本の細工師との関係、そしてラストで明らかになるロマノフ王朝の宝の意味など、爽やかな印象が残ります。相変わらず余計なことをする少年探偵団に、お約束のボケをかます毛利小五郎など、作品として安定したクオリティです。
名探偵コナン 瞳の中の暗殺者
2000年公開の劇場版第4作で、原作やTVアニメを見ずに、これだけ見た人からは不評の声が多かったようです。不評の理由は「警察官連続射殺事件」という重い内容に加え、ヒロインの蘭姉ちゃんが記憶喪失になるというのも影響したようです。一方で凝ったミステリーになっており、ファンの間では最高傑作とも言われています。個人的にはキザったらしい、歯の浮くような新一のセリフがなんとかならんのかと思いますが、良質な一本だと思います。
名探偵コナン 天国へのカウントダウン
2001年公開の劇場版第5作です。西多摩市に完成したツインタワービルを舞台に、殺人事件を追う物語です。この辺りからコナンの身体能力が世界的アスリートを凌駕するようになり、爆破された40階の渡り廊下をスケボーでジャンプするなど、人間離れしてきます。ジンが灰原と間違えて園子を狙撃するという信じられないミスを犯し、さらにその狙撃も失敗するという黒の組織にとっては悲惨な物語です。一方でコナンを守るために消火ロープを体に巻いて高層階から飛び降りる蘭姉ちゃんはダイハードばりの活躍で、女子高生の域を完全に超えてしまいました。
名探偵コナン ベイカー街の亡霊
2002年の劇場版第6作で、ネットとゲームを舞台に仮想空間での切り裂きジャックにまつわるストーリーです。オールドロンドンの世界観が圧倒的で、仮想空間を存分に使い、ミステリーとアクションをバランスよく並べています。子供達を人質にとった人工知能のノアズアーク、仮想世界の中の殺人鬼である切り裂きジャック、現実世界の殺人者の3人の犯人が登場し、謎が解けるにつれて3人の関係性が明らかになる複雑なミステリーになっています。
名探偵コナン 漆黒の追跡者(チェイサー)
2009年公開の劇場版第13作で、ミステリーからアクション映画に変貌を遂げた作品です。「ライフルは無理だけど拳銃の弾なら私にだってできる」と、なんのことやらわからないことを言いつつ、至近距離から拳銃の弾を避けた蘭姉ちゃんは、もはや人間とは思えない強さを発揮していきます。東都タワー(東京タワーを模したもの)に、ヘリからチェーンガンを乱射する黒の組織の無茶っぷりと、そんなことまでして小学生1人を殺せない黒の組織のヘタレっぷりが冴え渡りますが、後半はアクション映画としての迫力を堪能できます。前半のミステリーはおまけのようなもので、危機を脱しては絶体絶命に陥るコナンのノンストップアクションです。
名探偵コナン 天空の難破船(ロストシップ)
2010年公開の劇場版第14作で、豪華な客室を備えた飛行船が舞台です。飛行船内で行われたバイオテロとの戦いですが、物語は記憶になく飛行船の内装ばかりに目を奪われました。爆発したドイツの飛行船ヒンディンブルグの資料を取り寄せ、それを緻密に再現した内装は、これまで写真で見ていたヒンディンブルグを立体的に見せてくれました。これだけでも価値がある映画だと思います。
名探偵コナン 沈黙の15分(クォーター)
2011年に公開された劇場版第15作で、トンネル爆破とダム爆破を単独犯で行うという、スーパー犯罪者が犯人でした。クライマックスにスノーボードで雪崩を起こすコナン、雪崩から逃げるコナンの身体能力は、もはや人間の域を超えています。さらに雪崩の飲まれても生き残る不死身さまで獲得しました。本編でも存在感が薄れていた灰原哀ファンのための映画で、とにかく灰原を見たい人にオススメの映画になっています。
名探偵コナン 11人目のストライカー
2012年に公開された劇場版第16作で、現役のJリーガーが大勢出演していることで話題になりました。サッカーファンなら爆笑必至の映画で、特に遠藤保仁ファンは必見です。物語はサッカースタジアムに仕掛けられた爆弾で、大量殺人を狙う犯人との攻防です。三浦知良と並びセリフが多かった遠藤保仁は長台詞がある大抜擢で、あまりにも棒読みのために最初は失笑が起こっていた映画館内も、大丈夫なのかと不安が漂いました。崩壊が始まるスタジアムで「なんかわかんないけどボールがあるぞ」とヘラヘラ笑う精神状態が崩壊したとしか思えない少年探偵団に、遠藤保仁の棒読みセリフがリフレインで回想されるクライマックスは、コナン映画史上、最上位に入るインパクトでした。
名探偵コナン 異次元の狙撃手(スナイパー)
2014年に公開された劇場版第18作で、アメリカ海兵隊の元スナイパーが、東京で次々に米軍関係者を狙撃する事件です。狙撃ポイントで星型を描き、シルバースター勲章を表現するという無理矢理な設定はコナンらしく、世良真純が大活躍でファンが大喜びの内容になっています。興ざめなのは沖矢昴に最後の狙撃をやらせたことでしょう。これを見て「え!?もしかして沖矢昴の正体は赤井秀一なの?」と驚いた人が何人いたでしょう。そんなのは周知の事実で、本編での説明を待つまでもなく誰でも知っていました。本編の無駄な引き延ばしを劇場版にまで持ち込む必要はあったのでしょうか?
名探偵コナン 業火の向日葵
2015年公開の劇場版第19作で、歴代最高の興行収入(当時)を叩き出して話題になりました。ミステリーとアクションを大幅に盛り込んだ大作でしたが、上映時間が3時間を越えるためにミステリーを大幅にカットして公開されました。そのため犯人の動機が意味不明になり、観客の混乱を招きました。さらに犯人を演じた榮倉奈々が声優業に不慣れなため、セリフの棒読みが目立ってしまいました。そのため犯人が説得力に欠けてしまい、動機の意味不明さも手伝って失笑した記憶があります。怪盗キッドとコナンがひたすらアクションを続ける映画になって、個人的には駄作だと思うのですが大ヒットしました。
まとめ
私と娘の一致した見解は、こだま兼嗣が監督した第1作(時計じかけの摩天楼)から第7作(迷宮十字路)まではハズレがなく、どれも楽しめるということでした。一方で、静野孔文が監督した第15作(沈黙の15分)から第21作(から紅の恋歌)は、アクションに重きを置きすぎたためかストーリーに雑さが目立ち、ハズレが多いように思います。ですが興行収入は静野監督の作品が圧倒的に勝っているんですよね。近年の映画は個々のキャラに重点を置いていて、特に最新作「ゼロの執行人」は安室透のファンのための映画として記録的なヒットになりました。ストーリーよりもキャラやアクションを重視した結果、以前のようなミステリーは薄くなっています。これを良しとするか否かは好みの問題だと思います。最新作の「ゼロの執行人」も安室透をメインにしたキャラ重視でしたから、この流れはしばらく続くんでしょうね。
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