ピーコートはどれを選ぶ? /ブランド比較をしてみる
ピーコートは人気にアウターで、ブームに関係なく一定数の人が毎年のように着ています。そんなピーコートの歴史とブランドごとの違いを見ていきたいと思います。
世界的に広めたのはイギリス海軍で、主に下士官より下の人達に用いられました。ダッフルコートが上級将校にも使われたのとは正反対の位置づけです。下級兵士向けに作られたピーコートは作業着的な位置づけで、作業がしやすいように着丈は短めになっています。そのためピージャケットとも呼ばれます(日本の某服飾評論家は『欧米ではピーコートではなくピージャケットと呼ぶのが正式』と書籍に記していますが、ネットを調べていくとpea jacketよりもpea coatの記載の方が多く見られます)。
イギリス海軍に正式採用されたピーコートは世界中の海軍に広がり、各国で使われました。海の男の作業着であり、戦う男の防寒着としてタフなイメージがあります。
ウール(羊毛)で織られた生地で、平織りか綾織りで織られた後に縮絨(石鹸溶液などに湿らせて毛同志を絡ませる工程)してフェルト状にした生地です。保温性が高く撥水性もあります。ピーコートは、このメルトン生地で作られています。
ダブルブレステッド
イギリス海軍の多くは、左右のどちらから風が吹いても服の中に風が入らないようにダブルブレステッドを用いています。ピーコートでもダブルブレステッドが用いられ、かつては8つボタン、現在は6つボタンが標準になっています。またこれは、ボタンが破損した際にも前が留められるように冗長性を確保する目的もあったようです。
碇マークのボタン
海軍を示すために入れられた碇マークがついたボタンは大型で、手袋をしたままでも留めやすいようになっています。
マフポケット
ハンドウォーマーとも呼ばれるポケットで、手を温めるためについています。両サイドに垂直についていることがほとんどです。従って、ここにはあまり物をいれずに手を入れるのに使用します。
エポーレット
軍服でありながら、階級を示すためのエポーレットがありません。そのことからもピーコートは軍服というより、軍隊の作業着という色合いが強く出ています。
ブリッジは艦橋を意味し、艦長を含む船の上級将校がいる場所です。そこにいる人達が着るコートということでブリッジコートと呼ばれているようです。
1968年のベトナム戦争の最中に、アメリカ海軍用のピーコートを製造するために立ち上げられた会社です。本社がボストンにあり、現在もアメリカ海軍の制服を製造しています。実際にアメリカ海軍に納入しているピーコートと、少し安価なレプリカを販売しています。私はレプリカの方を持っています。
フィデリティ
1941年にボストンで創業し、米軍に納入した実績を持つメーカーです。日本での人気も高く、ピーコートといえば、まずこのブランドを思い浮かべる方も多いと思います。着丈も3種類から選べるので、着こなしの幅も広がります。
ショット
1913年にニューヨークで創業し、ライダースジャケットで有名なブランドです。ピーコートも古くから作っていて、日本でも馴染みの深いブランドです。全体的に細身のつくりになっていて、アームホールや身幅が以前よりも細くなっています。
バズリクソンズ
当時のディテールに拘りぬく、東洋エンタープライズのバズリクソンズから1910年代のピーコートを再現したレプリカが出ています。現在の物より着丈が長く、ハンドウォーマーの他にフラットポケットがついています。クラシックなスタイルが好きな人や、他とは違うモデルを求めている人にはうってつけです。
擦り切れたジーンズによれよれのピーコートといった組み合わせは、あまりガラが良いものではありません。アメリカ旅行の際には気をつけましょう。
最近は極端に短いダッフルコートが売られていますが、短い丈のコートが欲しいときはピーコートの方がいいと思うんですよね。長い歴史の中で、それぞれ機能的に進化した形があるので、それぞれの良さを楽しめると思います。
ピーコートの歴史
いろいろなことが書かれている本がありますが、フランスのブルターニュ地方の漁師の服が起源というのは間違いなさそうです。それを元にオランダ軍が19世紀に採用し、軍服としてのピーコートが誕生します。ピーはオランダ語で粗い生地の意味があるらしく、現在もメルトン生地で作るのが主流になっています。※ピーコートを着たウインストン・チャーチル |
世界的に広めたのはイギリス海軍で、主に下士官より下の人達に用いられました。ダッフルコートが上級将校にも使われたのとは正反対の位置づけです。下級兵士向けに作られたピーコートは作業着的な位置づけで、作業がしやすいように着丈は短めになっています。そのためピージャケットとも呼ばれます(日本の某服飾評論家は『欧米ではピーコートではなくピージャケットと呼ぶのが正式』と書籍に記していますが、ネットを調べていくとpea jacketよりもpea coatの記載の方が多く見られます)。
イギリス海軍に正式採用されたピーコートは世界中の海軍に広がり、各国で使われました。海の男の作業着であり、戦う男の防寒着としてタフなイメージがあります。
ピーコートの特徴
メルトン生地ウール(羊毛)で織られた生地で、平織りか綾織りで織られた後に縮絨(石鹸溶液などに湿らせて毛同志を絡ませる工程)してフェルト状にした生地です。保温性が高く撥水性もあります。ピーコートは、このメルトン生地で作られています。
ダブルブレステッド
イギリス海軍の多くは、左右のどちらから風が吹いても服の中に風が入らないようにダブルブレステッドを用いています。ピーコートでもダブルブレステッドが用いられ、かつては8つボタン、現在は6つボタンが標準になっています。またこれは、ボタンが破損した際にも前が留められるように冗長性を確保する目的もあったようです。
碇マークのボタン
海軍を示すために入れられた碇マークがついたボタンは大型で、手袋をしたままでも留めやすいようになっています。
マフポケット
ハンドウォーマーとも呼ばれるポケットで、手を温めるためについています。両サイドに垂直についていることがほとんどです。従って、ここにはあまり物をいれずに手を入れるのに使用します。
エポーレット
軍服でありながら、階級を示すためのエポーレットがありません。そのことからもピーコートは軍服というより、軍隊の作業着という色合いが強く出ています。
ブリッジコート
ピーコートは低い階級の軍人が着る作業着と書きましたが、偉い人がピーコートを着ているのを見たことがあるぞと言う人もいるでしょう。偉い人が着ているのはピーコートではなく、ブリッジコートと呼ばれるものです。着丈は膝ぐらいまであり、ダブルブレステッドで6つか8つボタンになっています。金ボタンが使われることが多く、エポーレットもついています。※アメリカ海軍のブリッジコート |
ブリッジは艦橋を意味し、艦長を含む船の上級将校がいる場所です。そこにいる人達が着るコートということでブリッジコートと呼ばれているようです。
ピーコートのブランド
スターリングウェア・オブ・ボストン1968年のベトナム戦争の最中に、アメリカ海軍用のピーコートを製造するために立ち上げられた会社です。本社がボストンにあり、現在もアメリカ海軍の制服を製造しています。実際にアメリカ海軍に納入しているピーコートと、少し安価なレプリカを販売しています。私はレプリカの方を持っています。
フィデリティ
1941年にボストンで創業し、米軍に納入した実績を持つメーカーです。日本での人気も高く、ピーコートといえば、まずこのブランドを思い浮かべる方も多いと思います。着丈も3種類から選べるので、着こなしの幅も広がります。
ショット
1913年にニューヨークで創業し、ライダースジャケットで有名なブランドです。ピーコートも古くから作っていて、日本でも馴染みの深いブランドです。全体的に細身のつくりになっていて、アームホールや身幅が以前よりも細くなっています。
バズリクソンズ
当時のディテールに拘りぬく、東洋エンタープライズのバズリクソンズから1910年代のピーコートを再現したレプリカが出ています。現在の物より着丈が長く、ハンドウォーマーの他にフラットポケットがついています。クラシックなスタイルが好きな人や、他とは違うモデルを求めている人にはうってつけです。
着方によってはガラが悪い
ピーコートはたびたび映画にも登場しますが、悪人が着ていることが多いように思います。これは第二次大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争などの後に軍の余剰物資であるピーコートが刑務所の防寒着として大量に支給されたので、いわゆるムショ帰りの人が着ていたからです。クリント・イーストウッドの映画「アルカトラズからの脱出」でも、アルカトラズ刑務所の防寒着はピーコートです。※アルカトラズからの脱出 |
擦り切れたジーンズによれよれのピーコートといった組み合わせは、あまりガラが良いものではありません。アメリカ旅行の際には気をつけましょう。
まとめ
漁師の作業着から始まったピーコートは、オランダ軍に採用されイギリス海軍によって世界中に広まります。海軍の作業着として重宝されたピーコートは撥水性と保温性に優れ、さらに動きやすいので日本の冬にも強い味方になってくれます。最近は極端に短いダッフルコートが売られていますが、短い丈のコートが欲しいときはピーコートの方がいいと思うんですよね。長い歴史の中で、それぞれ機能的に進化した形があるので、それぞれの良さを楽しめると思います。
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