バブアー・オイルドジャケットの臭いとベタつき問題を考える
英国王室御用達のアウトドアジャケットとして、バブアーの人気が復活してきています。街中でも着用している人を見かけることが増えました。しかしこのジャケットは、独特の臭いとベタつきから「街中で着てはいけない」「電車に乗る時に着てはいけない」など、さまざまなことを言われています。
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バブアーとは
1870年にスコットランドのジョン・バブアーが始めたブランドで、コットンにオイルを塗り込んだオイルド・コットンと呼ばれる生地が特徴です。このオイルによって雨風を通さず、イギリスの代表的なアウトドア・ブランドになりました。ロイヤルワラント(王室御用達)をエリザベス女王、フィリップ殿下、チャールズ王太子の3人から授かっている由緒正しいブランドでもあります。
関連記事:バブアーの歴代モデルを紹介 /それぞれの特徴とは
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バブアーは臭い
かつてのバブアーは、古くなったクレヨンのような臭いがあり、密閉された車などに置いておくと嫌な臭いが充満していました。イギリス人は気にならないかもしれませんが、日本人には大変不評でした。
しかし近年のオイルは臭いが軽減され、よほど臭いに敏感な人でなければ、さほど気にならないレベルになっています。しかし、それでもネットには「たまらなく臭い」といった声が聞かれます。これはおそらくカビの臭いです。
綿にオイルを塗り込み、そこに汚れや汗がつくのですから、格好のカビの温床になります。ツンとする臭いがすれば、それはほぼ間違いなくカビが発生していると思われます。古着で買うと、大抵カビの臭いがしますね。
※バブアーの専用ワックス |
バブアーはベタつく
オイルは徐々に抜けていくので、ベタつくどころかカサカサになっていきます。新品のバブアーはベタつくというより、しっとりした感触です。布のソファに長時間座ればオイルが移るかもしれませんが、短時間でオイルが移るとは考えにくく、「電車に乗るのは非常識」といっか書き込みも見かけますが、これは大げさだと思います。
しかしリプルーフ(自分でオイルを塗布する)した直後はヌラヌラベタベタで、次の日に着て出かけるのはためらわれます。数日間すればこのベタベタは落ち着くので、リプルーフはシーズンオフにやっておきましょう。
※カサカサでボロボロのバブアー |
大事に着るものではない
「汚れたのでブラッシングした」「焚き火をする時は、火の粉で穴が空きそうで脱いだ」「クローゼットに保管する時は、カバーを掛けた」などなど、それなりのお値段のモノなので、大事に扱っている人の声をよく聞きます。しかしバブアーはシルクのコートではありません。
汚れたら雑巾で拭けばいいのです。穴が空いたら、当て布で補修すればいいんです。暑くなったら、土の上にでも放り投げればいいですし、クローゼットで保管するようなものでもありません。納屋や駐車場に釘でも打って引っ掛けておくぐらいで丁度よく、ハンガーに掛ける必要もありません。ある程度、雑に扱えるのが魅力なんです。
※ナタリー・ポートマンだって、映画の中で汚しています。 |
メンテナンス
ノーメンテナンスで大丈夫です。汚れがついたら、固く絞った雑巾で拭き取るだけです。クローゼットに入れるよりも、風通しの良い場所があれば、そちらの方がカビの防止になります。
こういうこともあるので、私は年に1回ぐらいのペースでリプルーフして、十分にオイルを含ませるようにしています。
酷い汚れがついた時
クリーニングは受け付けてもらえません。専門のクリーニング店があるので、どうしても出すならそちらです。
汚れはオイルの上に付くので、オイルを落とすことができれば、汚れはオイルと一緒に落ちます。ですからオイルを十分に染み込ませてあれば、濡れた雑巾で丁寧に拭くことで汚れを落とすことができます。ただし冷え切った状態ではオイルが硬化するので、夏場にぬるま湯につけて絞った雑巾を使うと良いでしょう。
冬場なら、お風呂など温かい部屋で行うことをお勧めします。私のバブアーは、工事現場で右の袖にべったりとペンキがついたことがあります。そこでガスファンヒーターの近くで、絞った雑巾を使って根気よく拭いてペンキをオイルごと落としました。
※私物のバブアーのコートとレインハット(右腕がペンキで真っ白でした) |
こういうこともあるので、私は年に1回ぐらいのペースでリプルーフして、十分にオイルを含ませるようにしています。
おススメしない方法(自己責任で)
あまりに汚い場合、例えば古着で買ってきて汚れやカビの臭いが酷い場合などの時に、洗濯機を使います。洗剤は使わず、常温の水のみを使用します。
オイルが完全に抜けると、コットン生地は薄手なうえにダメージを受けているので、脱水の時に破れる可能性が高まります。ですから半分ぐらいオイルが抜けるように、水だけで洗うのです。
脱水が終わると、すぐに広げて全体を触ってみます。もしかしたら、肌をこすって垢が浮いたような感じで、汚れが浮いているかもしれません。その部分は、絞った雑巾で丁寧に汚れを落としましょう。
洗濯機を使うのは、メーカーは推奨していません。自己責任でお願いします。
リプルーフ
業者に任せると、新品のようにムラなく綺麗にリプルーフしてくれます。しかし私はムラがあった方が、使い込んだアジが出ると思っているので、必ず自分で行なっています。
一番適した時期は真夏です。生地が暖かく、オイルの伸びが良いからです。寒い時に行うと、オイルが塗った瞬間に硬化して上手く塗れません。
やり方は下の動画を見ればわかりますが、最初に雑巾で丁寧に汚れを落とした方が、キレイに仕上がります。あとは根気よく塗り続けるだけです。真夏にやると、汗だくになるので覚悟して下さい。
中にはオイルを湯煎で溶かさずに、個体のまま豚毛ブラシで塗る猛者もいます。こちらの方が少量のオイルで均一に塗ることができるといいます。そのうち私も試してみようと思っています。
中にはオイルを湯煎で溶かさずに、個体のまま豚毛ブラシで塗る猛者もいます。こちらの方が少量のオイルで均一に塗ることができるといいます。そのうち私も試してみようと思っています。
破れた時
バブアーの公式の修理があります。同じ色のオイルドコットンを当てて、穴を塞ぐだけの修理です。修理した跡が目立つので嫌がる人もいますが、これがイギリス流の格好良さです。ツギハギだらけになり、長年使い込んだ方が格好良いとされているのです。
写真のチャールズ王大子のバブアーは見事につぎはぎです。ちょっと極端ではありますが、これくらいボロボロになった方が味があるというわけです。
修理の依頼先:(株)ラヴァレックス
※修理でつぎはぎだらけのチャールズ王太子のバブアー |
写真のチャールズ王大子のバブアーは見事につぎはぎです。ちょっと極端ではありますが、これくらいボロボロになった方が味があるというわけです。
修理の依頼先:(株)ラヴァレックス
臭いとベタつき問題
風通しを良くしておけばカビを防げるので、臭さはそれほどないと思います。ベタつきもある程度オイルが抜ければ、それほど気にならなくなります。なれたらリプルーフの時に、オイルの具合をある程度は調整できるようになります。
まとめ
バブアーはレインコートです。その下に着る服を雨や汚れから守るためのものなので、バブアーは濡れたり汚れたりしても良いのです。変に大事にし過ぎず、使い倒しましょう。
防水素材としては、ゴアテックスなど遥かに優れたものがあります。しかしオイルを塗るだけで防水性能を復活させ、汚れようが破れようが御構いなしで着倒せるバブアーは、独特の味わいがあります。
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