AV業界のコンプライアンス
以前お会いしたエロ本の編集者の方から、知人の相談に乗って欲しいと言われて出かけてきました。相談者はAV業界の方で、仕事はマネージャーの統括やコンプライアンスだと言います。相談の話が終わると、真っ先にコンプライアンス担当はどんな仕事なのか聞いてみました。
前回記事:AV業界の話が新鮮でした
AV女優の面接はセクハラ
言われてみればなるほどと思うのですが、面接で女性に3サイズを聞くのは、セクハラになりかねません。そこで、必ず面接の前に同意書にサインをもらうのだそうです。
新人の面接では裸になってもらうそうで、「少しお尻が垂れているから、引き締めるために運動をして下さい」みたいなことも言うらしいので、同意書がなければ立派なセクハラですね。体が商品なのでチェックするのは当然だとは思いますが、気を使うところですね。
長時間労働の問題
AV業界は男性の長時間労働は当たり前になっていて「私らは、馬車馬と同じです」と、苦笑いしておっしゃっていました。しかし女優は体調に注意を払うそうです。寝不足による肌の荒れや、やつれ、目の下のクマなどが出ては商品にならないので、無理をさせないように気を使うそうです。
なぜAV業界でコンプライアンスなのか
昨年、マークスジャパンというAVプロダクションの元社長が、女性をAVに強制出演させたとして逮捕される事件がありました。この事件を機に、業界全体でコンプライアンスの問題が出てきたそうです。このニュースは私もテレビで見ましたが、よくわからない事件でした。
この事件は派遣法違反で、元社長が逮捕されました。しかし報道のように騙したり脅したりして出演させたのなら、詐欺罪や脅迫罪に加えて強姦罪で逮捕できるはずです。なぜ派遣法なのか、聞いて見ました。
「全くわかりません。おっしゃる通り、変な話です。そしてマークスジャパンさんのような大手が、そんなことをするとも思えません」
と、首を傾げます。ネットで噂されたように、婚約者に元AV女優というのがバレて、無理強いされたと嘘をついたら婚約者が警察に相談して、話が大きくなったのでしょうか?そもそもAV女優になりたくても、なれない女性が多い時代です。強制的に出演させなくても、出たい人は多いのです。これについては、
「私は業界の当事者なんで、推測であれこれ言うべきじゃないと思います。だけど噂通りじゃないにしても、何か事情があるんだと思います」
と、控えめでした。ともかくこの事件を機に、コンプライアンスが会社の中で言われるようになったそうです。
本当にあった酷い事件
2004年に酷い事件があり、それから業界の活性化が進んだそうです。パッキーという会社が、女優に脱法ドラッグを吸わせて撮影を行い、女優が大怪我を負うことになったのだそうです。
この会社は以前からこのようなトラブルを起こしていて、社長が暴力団関係者との噂もあり泣き寝入りになっていたそうです。しかし全治数ヶ月の怪我を負い、精神的にも多大なダメージを受けた女優を見て、事務所の社長が「ヤクザでもなんでも出てこい。タレントを守れなくて社長をやってられるか」と、奮い立ち、関係者を回って他の被害女性の証言を集めて、警察を動かしたのだそうです。
その結果、このプロダクション関係者は逮捕され、実刑判決を受けました。そして警察の業界への目も厳しくなり、暴力団が追放されていき、業界を健全にしようという動きが広がったそうです。
AV女優はどんな人?
「なんなら女優の誰か連れて、食事にでも行きますか?」と言って頂きましたが、続けて「おそらく、想像とは全く違うと思いますよ。売れてる女優は、真面目で努力家なんです」と言います。例えばと、会社の資料を広げで「この子は、ウチの売れっ子なんですけど」と、とても可愛らしいプロフィール写真の女性を指します。その女優は口を開けば
「少し太りましたが、今月中には2kgは落とせます」
「加圧トレーニングを始めました。太ももが細くなったでしょ?」
「前回は表情で評価を頂いたので、練習してきました」
みたいな感じで、話していてアスリートみたいだそうです。「知り合いと食事するから来ないか?」と誘って出てくるのは、この手の仕事に貪欲な女優なので、エロティックな会話などはほとんどないだろうとのことでした。
まとめ
コンプライアンスはどこの会社でも聞きますが、AV業界の方から聞くとは思いませんでした。AV業界は深刻な不景気だそうで、そんな中で行政などの制裁が入ると、会社の存続が危ういのだそうです。暴力団がいなくなり、業界が変わろうとしている中で、色々と試行錯誤しているというのが印象的でした。
そして改めて、この業界のDMMの巨大さを感じました。DMMがくしゃみをすると、死ぬ会社が出てくるんだそうで、この話はまた別に書きたいと思います。
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