安っぽかったパリの社交界という幻想
※こちらは以前の「はねもねの独り言」に書いていた記事です。
昨日、家に帰ってからテレビをつけるとセレブな芸能人と呼ばれる人が雛壇に並んでいる番組をやっていました。ダウンタウンの浜ちゃんが司会をやっていたので、見ていた人も多いと思います。私は腹筋運動をしながら見ていたのですが、宮崎麗香というモデルさんの紹介の時に腹筋運動中にもかかわらず吹き出してしまい、脇腹の筋肉を痛めてしまいました。宮崎さんはパリの社交界にデビューしたそうですが、そのVTRと彼女のトークが絶妙に安っぽかったんですよ。
宮崎さんは家がお金持ちだそうで、典型的なお嬢様なんだそうです。そんなことには私は興味がありませんし、彼女のモデルの経歴もよく知りません。しかし日本では数少ないパリの社交界デビューを果たしたのだそうで、その時のVTRが流れていました。フランスのメゾン(ようするに洋服屋さんです)の広告が張ってある入口が映り、中には華やかな人達が大勢います。世界各国から選ばれた人だけが出席しているそうで、中には英国のポップスターのフィル・コリンズの娘もいたそうです。
パリの社交界というのは、洋服屋の宣伝が張ってある会場で行なわれてテレビカメラが入りまくるのかと感心していると、衣装合わせをしている場面が映ります。パリのセレブレティは、衣装を合わせるという実にプライベートなところまで見せてくれるのかと再び関心してしまいました。寛大じゃないですか。大物は違うってことでしょうかね。フィル・コリンズの娘だって呼んでくれるのですから、今の社交界は太っ腹なのです。
宮崎さんによると、以前はパリの貴族だけが出席していたそうですが、今では世界各国から1人ずつ選ばれて出席が許されるのだそうで、その条件として「シャネルなどのオートクチュールのドレスを着るので、そのサイズに合った体型の人しか選ばれない」のだそうです。繰り返しますが、宮崎さんはモデルさんです。モデルさんが上記の発言をしたのです。私はこの言葉に吹き出してしまい、腹筋を痛めてしまいました。
オートクチュールという言葉を知っている人なら、この発言のトンチンカンぶりがわかると思います。オートクチュールを直訳すると「高級縫製」で、他の言葉にするとフルオーダーとかビスポークとかが近い言葉です。顧客の体型に合わせて手縫いで作り上げる服のことで、シャンブル・サンディカル(パリ・オートクチュール組合)に加盟している店だけがオートクチュールと名乗ることができます。つまりオートクチュールは顧客に合わせて作られたオーダー服で、決まったサイズなんてないんですね。サイズがあるのはプレタポルテと呼ばれる既製服の方です。この時は、モデルの人がオートクチュールの意味を知らないの?と思ったのですが、まさかそんなはずはないと思います。
恐らく宮崎さんの言う通りメゾンから身長や体重などの指定があって、その条件の中から「モデル」が選ばれたと考える方が自然な気がします。どうしてオートクチュールなのにサイズを指定したかというと、最も見栄えが良いサイズでメゾンが作りたかったからです。メゾンの広告が張られ、衣装合わせの映像まで公開されたことを合わせて考えると、これはメゾンの宣伝のためのパーティで、招待された人達というのはメゾンから依頼を受けたモデルだと考えるほうが、この映像は自然でした。
モデルの人がパリにお仕事に行ったというだけの映像を、精一杯膨らませてパリの社交界デビューとしたのでしょう。しかし余計な映像を沢山使ってしまったので、いかにも宣伝みたいな雰囲気が丸出しになっていました。こんなもので騙せると思っているテレビの浅はかな思考に呆れながらも、こんなものでも騙される人だっているんだろうなと思ってしまい、なんとも複雑な心境になった番組でした。
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COMMENT:
AUTHOR: maple
DATE: 09/18/2010 01:03:44
なんだか、あまりに粗雑な番組作りで、悲しく
なるほどですね。お友達同士で見る家庭用ビデオ
ならその程度でいいでしょうけれど。
最近特に、番組作りの内容から言葉遣いまで、
他人に見せる緊張感がなくなってきたなぁって
思います。「権威どころ」や「有名人」が
くっついてれば質は問いません、みたいな。
ニュースのテロップの誤植すら増えている気が
します。
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COMMENT:
AUTHOR: 盆汁
DATE: 09/18/2010 10:16:06
おはようございます。
コメントを読んでいますと トンチンカンな女優さんに頭がグラグラしてきました。
私この言葉の発音が非常に難しいく 聞き取ってもらえないことがありました・・・
そういや本物のオートクチューを着れる階層は世界に2千人もいないそうで 知識、教養、家柄も重要な要素だと思うのですが・・・。
モード ファッション etc
言葉だけが独り歩きしているんでしょうかね
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COMMENT:
AUTHOR: はねもね
DATE: 09/19/2010 18:41:45
★mapleさん
誤植は増えている気がしますね。報道番組でも取材の甘さが目立つものが多いですし、経済学者なんてまともな人がテレビに出る機会が少ないですよね。極論を振りかざす人がテレビに出て、とにかくアトラクティブにすることばかりに力が使われているように思います。
こんなことだから、ニュースメディアがネットに苦戦するようになったんじゃないでしょうかね。
★盆汁さん
オートクチュールは、価格も凄いですからね。シャネルで500万円ぐらいからだったように思いますが、わずか一着の服に数百万円をポンと出せる人は少数ですよね。だからオートクチュールをやっているメゾンの多くは、プレタポルテの宣伝やブランドの権威付けのためにオートクチュールを続けていると聞いたことがあります。
ファッション業界は言葉の一人歩きが多いですよね。雑誌を見ていても、そもそもなんだったかわからなくなっている言葉が散見されますしね。
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昨日、家に帰ってからテレビをつけるとセレブな芸能人と呼ばれる人が雛壇に並んでいる番組をやっていました。ダウンタウンの浜ちゃんが司会をやっていたので、見ていた人も多いと思います。私は腹筋運動をしながら見ていたのですが、宮崎麗香というモデルさんの紹介の時に腹筋運動中にもかかわらず吹き出してしまい、脇腹の筋肉を痛めてしまいました。宮崎さんはパリの社交界にデビューしたそうですが、そのVTRと彼女のトークが絶妙に安っぽかったんですよ。
宮崎さんは家がお金持ちだそうで、典型的なお嬢様なんだそうです。そんなことには私は興味がありませんし、彼女のモデルの経歴もよく知りません。しかし日本では数少ないパリの社交界デビューを果たしたのだそうで、その時のVTRが流れていました。フランスのメゾン(ようするに洋服屋さんです)の広告が張ってある入口が映り、中には華やかな人達が大勢います。世界各国から選ばれた人だけが出席しているそうで、中には英国のポップスターのフィル・コリンズの娘もいたそうです。
パリの社交界というのは、洋服屋の宣伝が張ってある会場で行なわれてテレビカメラが入りまくるのかと感心していると、衣装合わせをしている場面が映ります。パリのセレブレティは、衣装を合わせるという実にプライベートなところまで見せてくれるのかと再び関心してしまいました。寛大じゃないですか。大物は違うってことでしょうかね。フィル・コリンズの娘だって呼んでくれるのですから、今の社交界は太っ腹なのです。
宮崎さんによると、以前はパリの貴族だけが出席していたそうですが、今では世界各国から1人ずつ選ばれて出席が許されるのだそうで、その条件として「シャネルなどのオートクチュールのドレスを着るので、そのサイズに合った体型の人しか選ばれない」のだそうです。繰り返しますが、宮崎さんはモデルさんです。モデルさんが上記の発言をしたのです。私はこの言葉に吹き出してしまい、腹筋を痛めてしまいました。
オートクチュールという言葉を知っている人なら、この発言のトンチンカンぶりがわかると思います。オートクチュールを直訳すると「高級縫製」で、他の言葉にするとフルオーダーとかビスポークとかが近い言葉です。顧客の体型に合わせて手縫いで作り上げる服のことで、シャンブル・サンディカル(パリ・オートクチュール組合)に加盟している店だけがオートクチュールと名乗ることができます。つまりオートクチュールは顧客に合わせて作られたオーダー服で、決まったサイズなんてないんですね。サイズがあるのはプレタポルテと呼ばれる既製服の方です。この時は、モデルの人がオートクチュールの意味を知らないの?と思ったのですが、まさかそんなはずはないと思います。
恐らく宮崎さんの言う通りメゾンから身長や体重などの指定があって、その条件の中から「モデル」が選ばれたと考える方が自然な気がします。どうしてオートクチュールなのにサイズを指定したかというと、最も見栄えが良いサイズでメゾンが作りたかったからです。メゾンの広告が張られ、衣装合わせの映像まで公開されたことを合わせて考えると、これはメゾンの宣伝のためのパーティで、招待された人達というのはメゾンから依頼を受けたモデルだと考えるほうが、この映像は自然でした。
モデルの人がパリにお仕事に行ったというだけの映像を、精一杯膨らませてパリの社交界デビューとしたのでしょう。しかし余計な映像を沢山使ってしまったので、いかにも宣伝みたいな雰囲気が丸出しになっていました。こんなもので騙せると思っているテレビの浅はかな思考に呆れながらも、こんなものでも騙される人だっているんだろうなと思ってしまい、なんとも複雑な心境になった番組でした。
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COMMENT:
AUTHOR: maple
DATE: 09/18/2010 01:03:44
なんだか、あまりに粗雑な番組作りで、悲しく
なるほどですね。お友達同士で見る家庭用ビデオ
ならその程度でいいでしょうけれど。
最近特に、番組作りの内容から言葉遣いまで、
他人に見せる緊張感がなくなってきたなぁって
思います。「権威どころ」や「有名人」が
くっついてれば質は問いません、みたいな。
ニュースのテロップの誤植すら増えている気が
します。
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COMMENT:
AUTHOR: 盆汁
DATE: 09/18/2010 10:16:06
おはようございます。
コメントを読んでいますと トンチンカンな女優さんに頭がグラグラしてきました。
私この言葉の発音が非常に難しいく 聞き取ってもらえないことがありました・・・
そういや本物のオートクチューを着れる階層は世界に2千人もいないそうで 知識、教養、家柄も重要な要素だと思うのですが・・・。
モード ファッション etc
言葉だけが独り歩きしているんでしょうかね
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COMMENT:
AUTHOR: はねもね
DATE: 09/19/2010 18:41:45
★mapleさん
誤植は増えている気がしますね。報道番組でも取材の甘さが目立つものが多いですし、経済学者なんてまともな人がテレビに出る機会が少ないですよね。極論を振りかざす人がテレビに出て、とにかくアトラクティブにすることばかりに力が使われているように思います。
こんなことだから、ニュースメディアがネットに苦戦するようになったんじゃないでしょうかね。
★盆汁さん
オートクチュールは、価格も凄いですからね。シャネルで500万円ぐらいからだったように思いますが、わずか一着の服に数百万円をポンと出せる人は少数ですよね。だからオートクチュールをやっているメゾンの多くは、プレタポルテの宣伝やブランドの権威付けのためにオートクチュールを続けていると聞いたことがあります。
ファッション業界は言葉の一人歩きが多いですよね。雑誌を見ていても、そもそもなんだったかわからなくなっている言葉が散見されますしね。
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