レナウンとデパートの衰退

※こちらは以前の「はねもねの独り言」に書いていた記事です。

「レーナウーン、レナウン、レナウン、レナウン娘が」の服飾メーカーのレナウンが、中国企業に身売りしました。デパートの衰退とともにレナウンも傾いたと言われていますが、デパートの衰退とレナウンの衰退は意味が違うように思います。レナウンの衰退は、単純に服飾への消費が減った結果だと思いますし、デパートの衰退は経営の舵きりが失敗だったように思います。


総務省の家計調査統計を見ればわかるのですが、1990年(バブルの頃)には消費支出の7.4%を衣料品が占めていますが、2006年には4.3%に減っています。金額にすると40%以上も減っているのですから、服飾メーカーが苦戦するのは当然でしょう。

ちなみにこの間に、交通・通信費は携帯電話やインターネットの普及から9.5%(1990年)だったのが12.8%(2006年)に増えています。住居・光熱費も3割ほど増えています。 そして驚くことに消費支出全体を見ると、バブルのピークだった1990年から2006年にかけて、わずか5%しか減っていないんです。

つまり不況になっても、みんなそれなりに買い物はしているわけです。しかし買い物の中身が変わりました。そしてその中で最も影響を受けたのが、衣料品だったわけです。ちなみに日本の消費支出に占める衣料品の割合は、先進国中最低です。イタリアの45%、イギリスの60%程度しか日本人は衣料品にお金を使っていません。経済発展が続いている韓国よりも使っていないことは当然としても、アメリカよりも衣料品にお金を使っていないのは驚きです。

そもそも日本人が服を買わなくなったというのもありますし、ユニクロに代表されるファストファッションに向かったというのもあるでしょう。そう考えると、レナウンが従来となんら変わらないビジネスを展開していれば衰退するのは当然と言えるわけです。日本の服飾メーカーに残された道は、海外進出か低価格路線か新たな価値観を創造するしかなかったわけで、そのどれもパッとしなかったレナウンを始めとする多くの日本の服飾メーカーは苦しんでいます。

そしてデパートですが、よりによってバブルが始まった80年代に売り場を整理して服飾をメインに展開しました。家具や家電商品の取扱いを止めて、高級ブランドを中心にした展開にしたのでバブルの頃は儲かりましたが、その後は転落する一方です。先の消費支出の推移を考えると、一番売れなくなった衣料品に特化したのですからこれは当然の結果といえます。さらにデパートが痛々しいのは、家電の取扱をやめたデパートの跡地にヤマダ電機ができたり(池袋三越)、家具の取扱いをやめたデパートの跡地に大塚家具ができたり(新宿三越)するなど、完全に市場を見誤ったことです。

家具なんか売れない、家電なんてダメだといって服飾に特化した結果、デパートは体力を失い、撤退した跡地に家具屋や家電屋が出来ているのですから、なんという皮肉でしょうか。もちろん当時は専門店が大量に出てきて、デパートでは太刀打ちできないという判断があったのでしょうが、今となっては経営戦略のミスと言われても仕方ないと思います。 というわけで、新しい事をしなかったから衰退したレナウンと、新しい事をして失敗したデパートでは同じ衰退でも全く意味が違うように思いました。

しかしよく考えてみると、レナウンは海外での事業を広げるために、イギリスの老舗ブランドであるアクアスキュータムを買収したんですよね。しかし見事にアクアスキュータムを不採算ブランドにしただけでした。やっぱりどっちも大して変わらないのかな?? というわけで、私は今年の冬用にレナウンとは関係ない頃のアクアスキュータムのコートをもう一着買おうと画策しながら、こんなことを考えていました。消費支出は5%しか減っていないというところに、景気回復の鍵があるように思うんですけどね。








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AUTHOR: maple
DATE: 08/05/2010 23:20:09
15年前のいとこのお下がりをまだ着てる私は 何者(^^;) 消費支出そのものは微減でも、デフレなんですよね。

それって、消費者が安くたくさんのものを手に 入れていることになる・・・・。 不景気だといいながら、家電などはほいほい たくさん買っているのに、将来を不安がって 服に関しては安い物に走って・・・なんかちぐはぐですね。 必要なものを必要なだけ買って、その分価格は 高くして、企業の儲けにでも持っていったほうが 幸せなのかなぁ。

 ----- COMMENT:
AUTHOR: はねもね
DATE: 08/06/2010 06:04:10
★mapleさん
ものもちがいいですね! デフレなんですよね。収入も減ってるんです。その中で、携帯やネットはバンバン支出を増やして家電は高級化してますね。90年頃にテレビに20万円も払う人は少数派だったと思いますが、今はそのくらいのテレビは売れていますからね。なんとも不思議な気がします。

とにかく驚いたのはアメリカ人よりも日本人の方が、服に対する支出が少ないってことです。部屋着みたいな格好でウロウロするアメリカ人って多いので、ほとんど服にお金をかけてないと思ってたんですけどね(^_^;)


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AUTHOR: 盆汁
EMAIL: IP: 202.229.176.39 URL:
DATE: 08/06/2010 14:34:02
お疲れ様です こう暑いと食欲不振で少々バテぎみです さて私見ですが 携帯電話の影響が大きいと思います。

知人の若い女の子などは 月何万だのと私からみれば依存症なのでは? と感じるくらいなのですが その友達達も同じような状況らしいです。

これでは百貨店などでは買えませんもんね そういえば黒人の人達の真似で ズボンをやたら下げている人がおりますが 黒人は買えなくてしょうがないからお兄さんかなにかのお古のサイズの合わないものをはいてる訳で意味が分かってるのかな と思っています


----- COMMENT:
AUTHOR: はねもね
EMAIL: IP: 210.234.61.174 URL:
DATE: 08/07/2010 07:09:48
★盆汁さん
やられたーーー!と感じてしまったのは、ズボンを半ケツ状態で履いているファッションについて書こうとしていたところだったんですよ。先を越されてしまいました(^_^;)

通信費は90年当時と比べて飛躍的に増加していますね。家ではネットの常時接続が当たり前になり、携帯電話も誰もが持っていますからね。さらに携帯を2台持つ人が増えて、通信費はどんどん増えています。さらにどの家庭にもパソコンが普及し、テレビも高級化が進んでいますから、衣料品にかけるお金は減ってしまいますね。この時代にデパートが苦しむのは、ある意味当然だと思います。

コメント

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