希望が消えたサッカー日本代表 /転換期を迎える日本
かつてサッカー日本代表の試合は、深夜だろうが早朝だろうが大勢のファンがテレビの前に陣取り、はたまた国内で試合があればチケットの争奪戦が起こっていました。しかし現在、W杯ロシア大会はさほど盛り上がりを見せていません。それどころか日本代表に関してはネガティブな話題が先行している感すらあります。何が変わったのでしょう?
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驚くことにアトランタ五輪アジア予選は、報道関係者がほとんどいない中で行われ、前園の劇的なシュートもテレビ中継されませんでした。しかしオリンピックが好きな日本の国民性は、約30年ぶりのオリンピック出場に沸き立ち、さらに強豪ブラジルを倒すという番狂わせが代表人気を盛り上げました。
Jリーグバブルが終焉しようとしている中、代表人気が急上昇しました。
中田英寿がイタリアのペルージャに移籍し、ユベントス相手に2ゴールをあげる衝撃のセリエAデビューを飾ると、複数の日本人が海外リーグに移籍しました。高値でオールドタイマーをJリーグに輸入していた時代から、今度は日本人を輸出する時代になったのです。W杯日韓大会では初のベスト16に進出し、これから日本はもっともっと強くなると誰もが信じていました。
そして何かと言動が問題視されていた本田圭佑という新たなヒーローが誕生します。オランダのVVVフェンローで活躍する本田は、これまでの選手とは違う独特のセンスで話題になり、新時代のヒーローとなっていきます。しかしオシムが倒れたことにより、監督は岡田武史に引き継がれ、親善試合は惨敗に惨敗を重ねて悲壮感が漂いました。
しかしW杯直前に調子を上げた日本代表は、一次リーグでオランダには負けるもののカメルーンとデンマークに勝利してベスト16に進出しました。トーナメント初戦のパラグアイ戦では、強豪相手に互角の戦いを演じてPK戦で惜しくも敗れました。遠藤と本田のフリーキックを恐れて、ファールを宣告した主審にパラグアイ選手が詰め寄る場面は実に痛快でした。
しかしそれら名門の選手を投入したブラジル大会は一次リーグで敗退します。日本史上最強と謳われたメンバーで1分2敗の敗退は、大きな失望を生みました。試合会場に移動するだけでクタクタになる遠いキャンプ地、コンディション不良の調整に時間がかかりすぎたことなど、さまざまな要因がありましたが、これほどのメンバーを使って勝てないという失望感は途方もなく大きなものでした。
かつてトルシエはベスト8を、ジーコはベスト4を目標に掲げました。日本のサポーターの雰囲気は、ベスト16では満足できなくなっているのです。現在のメンバーが、ベスト8に期待できるかというと、なかなか難しいとしか言えないでしょう。
ハリルホジッチ解任劇の裏側にはスポンサーの意図があると言われ、代表メンバー発表前にスポンサー企業が出した広告には一部の選手が登場したため、既にメンバーに当確しているのでは?という噂がたちました。スポンサーが代表メンバーを決めるのはバカげた話ですが、サッカー界ではよく言われる話なので嘘だとも言い切れません。
このようなゴタゴタに、多くの人は嫌悪感を覚えるのではないでしょうか。
仕事から帰るなり仮眠して、夜中にサッカーを見てから眠い目をこすって会社に行く人達は、日本代表の試合に興奮し、勇気をもらったり希望を抱いたりしていたはずです。夜中に起きて失望を味わいたい人などいないのです。
日本サッカーは正念場を迎えています。しかしそれは単に選手の問題だけでなく、協会やサポーターを含めた多くの人が絡んでいる問題です。そして今回のW杯で、日本代表は新たな希望を見せてくれるでしょうか。私はそれに期待したいと思っています。
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マイアミの奇跡から始まった代表人気
W杯アメリカ大会出場をかけたアジア予選は、ドーハの悲劇で知られる劇的な同点劇で悲痛さを残しました。日本はどんなに頑張っても、国際舞台には立てないのではないか?そんな気分を払拭したのがアトランタ五輪のマイアミの奇跡でした。驚くことにアトランタ五輪アジア予選は、報道関係者がほとんどいない中で行われ、前園の劇的なシュートもテレビ中継されませんでした。しかしオリンピックが好きな日本の国民性は、約30年ぶりのオリンピック出場に沸き立ち、さらに強豪ブラジルを倒すという番狂わせが代表人気を盛り上げました。
Jリーグバブルが終焉しようとしている中、代表人気が急上昇しました。
可能性を感じた時代
W杯フランス大会のアジア最終予選は、加茂監督の更迭など酷いありさまでしたが、ジョホールバルでの劇的な勝利でW杯出場を決めると大いに盛り上がりました。フランスW杯では一次リーグ全敗でしたが、海外リーグから注目される選手が出てきたことで、日本サッカーの未来を感じることができました。※ローマでは「ショーグン」と呼ばれた中田英寿 |
中田英寿がイタリアのペルージャに移籍し、ユベントス相手に2ゴールをあげる衝撃のセリエAデビューを飾ると、複数の日本人が海外リーグに移籍しました。高値でオールドタイマーをJリーグに輸入していた時代から、今度は日本人を輸出する時代になったのです。W杯日韓大会では初のベスト16に進出し、これから日本はもっともっと強くなると誰もが信じていました。
ドイツ大会の悲劇
世界的スーパースターのジーコを監督に迎え、中田だけでなく中村俊輔、小野伸二、稲本潤一などの海外組が多数加わり、前回のベスト16を上回る成績が期待されました。しかしチームは内部崩壊の危機を何度も迎え、一次リーグは1分2敗という散々な結果に終わります。代表の人気は批判に変わり、あらゆるダメ出しが方々で行われました。この時に、代表人気はひと段落したと言えるでしょう。※メディアは「黄金の中盤」と呼びました。 |
南アフリカ大会の進撃
代表の危機的状況に、日本サッカー協会は道理も仁義も無視して、ジェフユナイテッド市原を率いる名将、イビチャ・オシムを代表監督に引き抜きました。オシムは時に詩人のように、そして哲学者のようにサッカーを語り、メディアに重宝されます。また不甲斐ないプレイには激怒し、素晴らしいプレイには子供のようにはしゃぐ姿は、多くの人を惹きつけました。※多くの人に愛されたイビチャ・オシム |
そして何かと言動が問題視されていた本田圭佑という新たなヒーローが誕生します。オランダのVVVフェンローで活躍する本田は、これまでの選手とは違う独特のセンスで話題になり、新時代のヒーローとなっていきます。しかしオシムが倒れたことにより、監督は岡田武史に引き継がれ、親善試合は惨敗に惨敗を重ねて悲壮感が漂いました。
※VVVフェンローの本田圭佑 |
しかしW杯直前に調子を上げた日本代表は、一次リーグでオランダには負けるもののカメルーンとデンマークに勝利してベスト16に進出しました。トーナメント初戦のパラグアイ戦では、強豪相手に互角の戦いを演じてPK戦で惜しくも敗れました。遠藤と本田のフリーキックを恐れて、ファールを宣告した主審にパラグアイ選手が詰め寄る場面は実に痛快でした。
※パラグアイ戦のPK戦。全員が膝をついて祈りました。 |
そして希望が消えた
フランス大会で全敗しても、サポーターは次こそはと思いました。もっと日本人が海外に進出し、個々のレベルを上げていけば強くなると信じて、海外リーグで苦戦する日本人を応援しました。そしてついに名門マンチェスター・ユナイテッドに香川真司が、ACミランに本田圭佑が、長友佑都がインテルに加入する偉業を成し遂げます。※インテルの長友 |
しかしそれら名門の選手を投入したブラジル大会は一次リーグで敗退します。日本史上最強と謳われたメンバーで1分2敗の敗退は、大きな失望を生みました。試合会場に移動するだけでクタクタになる遠いキャンプ地、コンディション不良の調整に時間がかかりすぎたことなど、さまざまな要因がありましたが、これほどのメンバーを使って勝てないという失望感は途方もなく大きなものでした。
サポーターの要求も上がった
89年の国立で、北朝鮮サポーターに怯えながら日本代表を応援した私の知人などは、日本がW杯に出るだけで感無量だと言います。しかし多くの若いサポーターは、W杯に出場することは当然になっています。そして一次リーグ突破を2度も経験し、それだけでは満足できなくなっています。※南ア大会のデンマーク戦でベスト16を決めました。 |
かつてトルシエはベスト8を、ジーコはベスト4を目標に掲げました。日本のサポーターの雰囲気は、ベスト16では満足できなくなっているのです。現在のメンバーが、ベスト8に期待できるかというと、なかなか難しいとしか言えないでしょう。
ゴタゴタによる嫌悪感
近年、日本のスポーツは統括団体のゴタゴタが続いています。相撲協会、レスリング協会、アメフトの日大などの騒動は、スポーツとは関係のないところでの騒動であり、ウンザリした気分になります。そして日本サッカー協会にも、きな臭い話がちらほら聞かれます。※ハリルホジッチ前監督 |
ハリルホジッチ解任劇の裏側にはスポンサーの意図があると言われ、代表メンバー発表前にスポンサー企業が出した広告には一部の選手が登場したため、既にメンバーに当確しているのでは?という噂がたちました。スポンサーが代表メンバーを決めるのはバカげた話ですが、サッカー界ではよく言われる話なので嘘だとも言い切れません。
このようなゴタゴタに、多くの人は嫌悪感を覚えるのではないでしょうか。
まとめ
代表人気の低下は、単にニワカファンが見るのをやめただけと言う人もいます。ではなぜニワカファンが見るのをやめたのでしょう?私はサッカー日本代表が持っていた希望が消えたからだと思います。仕事から帰るなり仮眠して、夜中にサッカーを見てから眠い目をこすって会社に行く人達は、日本代表の試合に興奮し、勇気をもらったり希望を抱いたりしていたはずです。夜中に起きて失望を味わいたい人などいないのです。
日本サッカーは正念場を迎えています。しかしそれは単に選手の問題だけでなく、協会やサポーターを含めた多くの人が絡んでいる問題です。そして今回のW杯で、日本代表は新たな希望を見せてくれるでしょうか。私はそれに期待したいと思っています。
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忘れてはならない中村俊輔の足跡
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