ロナウドとクリスティアーノ・ロナウド /新旧ロナウド比較

先日、電車の中で若い人がクリスティアーノ・ロナウドは歴代最高の選手だと話していて、内心「いやいや、ブラジルのロナウドの衝撃を知らないんだな」と、内心思ってしまいました。名前が同じなので比べられることもあるロナウドとクリスティアーノ・ロナウド(以下CR7)を、改めて比較していこうと思います。

※左:クリスティアーノ・ロナウド 右:ロナウド

関連記事
悪童は大統領になるのか? ロマーリオの変容
2002年 イタリア対韓国の憎悪 /世紀の大誤審と呼ばれた試合
監督の話題が多いロシアW杯 /代表監督の不遇
サッカー日本代表の歴史と事件簿
オフサイドってなんなんだ?



CR7

メッシと並び、今やサッカー界最高のスター選手です。1985年にポルトガルで生まれ、スポルティングCPに入団すると急成長します。アレックス・ファーガソンの目に留まり、マンチェスター・Uに入団すると、ベッカムのゼッケン7番を継いでスーパースターの階段を駆け上がりました。

※マンU時代のCR7

2008年にはレアル・マドリーに移籍して銀河系軍団の仲間入りをすると、ラウル・ゴンザレスの7番を継いで大活躍し、押しも押されもせぬ世界的なスターに成長しました。

※レアル・マドリーで数々のタイトルを手にしました。


ロナウド

1976年にブラジルに生まれ、クルゼイロECに加入します。わずか1年でヨーロッパから注目されてオランダのPSVアイントホーフェンに移籍しました。爆発的な得点力が注目され、2年後にはFCバルセロナに移籍します。

※PSVアイントホーフェン時代

バルセロナで驚異的な身体能力と得点力を見せつけて世界的スーパースターになると、インテル・ミラノに移籍します。ここでも大活躍しますが、右膝の靭帯を断裂して長期に渡り欠場しました。その後レアル・マドリーに移籍し、ACミラン、ブラジルのクラブを渡り歩いてキャリアを終えました。

※フェノーメノ(怪物、超常現象)と呼ばれたバルセロナ時代


記録

あらゆる記録がCR7の方が優っていることを示します。FIFAバロンドールを2回、バロンドールを3回、FIFA最優秀選手を3回獲得し、6年連続でチャンピオンズ・リーグ得点王、リーグでは8年連続で40得点以上です。代表でも85得点を記録し、ヨーロッパの代表チームの最高得点をマークしています。

※輝かしい記録を残しており、現在も更新中です。

これらの記録は怪我で長期離脱していたロナウドを大きく引き離すものです。記録の上では、CR7の方が遥かに優れた選手であることに間違いありません。

ストイックさ

毎日3000回の腹筋運動をこなし、体脂肪率を常に10%以下に抑えるCR7は、節制と努力を怠りません。試合でも終了する瞬間まで気をぬくことなく、貪欲にゴールを狙う姿勢は多くの関係者からも賞賛されています。多くのサッカー選手の手本として、CR7は評価されているのです。

※CR7のビルドアップされた体

ロナウドは怪我から復帰した後のモチベーションは低く、レアル・マドリーでは「ピッチでキノコ狩りでもしてるのか?」と、サポーターに皮肉られるほど走らない日がありました。節制に関しては疎く100kg近くまで体重が増えたこともあり、これも批判の的になりました。

※あまりの太りっぷりに呆れられました。

ロナウドにCR7のストイックさの10分の1でもあれば、晩年はもっと違っていたと嘆く人もいます。

インパクト

私がCR7を始めて見たのは、ドイツW杯より前なので2004年とか05年だったと思います。既にマンUのスター選手で、ドリブルが滅法上手くて縦への突破には強い自信が伺えました。緩急をつけたドリブルに、切り返しが上手く、抜いた後のクロスの正確さも絶品で、とんでもない選手が出てきたものだと感心しました。

※シュートの正確性も群を抜いています。

一方、ロナウドを始めて見たのはFCバルセロナ時代でWOWOWの中継だったと思います。初めて見た時の印象は、とにかく変でした。テープが早送りされている映像を見ているような気がしたのです。単に走るスピードだけでなく、動きの全てが速かったのです。

※誰も止められないテクニックとスピードがありました。

3人に囲まれても軽く蹴散らしてゴールを襲い、ジャージを掴まれてもトップスピードのままドリブルを続け、足でボールを動かしているというより、ボールが意思を持ってロナウドの指示に従っているかのようでした。後にジダンを見た時もボールが意思を持っている錯覚を覚えましたが、ロナウドはそれ以上でした。ロナウドのサッカーは、既存のプレイを大幅に通り越して、全く異なる次元にいたのです。




言葉

伝説の選手ジョージ・ベスト
「長年にわたって、第2のジョージ・ベストだと言われた選手は何人かいたが、私がそれを(私にとっての)ほめ言葉と感じたのは彼が初めてだ」
と、CR7を賛美しています。

ロナウジーニョの全盛期にインタビューを受けたブラジルのサッカー選手
インタビュアー「なぜブラジルの子供達は、皆ロナウジーニョの真似をするんですか?」
サッカー選手「誰もロナウドの真似ができないからさ」

FCバルセロナ監督ボビー・ロブソン
バルセロナには攻撃の戦術がないと批判されて
「私の戦術はロナウドだ」
ロナウドを表すのに、あまりに有名な言葉です。

※サー・ボビー・ロブソン


まとめ

CR7は生粋のドリブラーから、ペナルティエリアキラーと呼ばれる得点力を身につけると、ミドルからも面白いように点が獲れるスナイパーの術も身につけました。自己顕示欲を抑え、周囲を活かすことを覚えた現在は非の打ち所がない選手です。

一方でロナウドは出てきた時から怪物で、敵DFを喰らい尽くす肉食獣でした。相手DFに足を出すのが怖いと言わしめた凶暴さと芸術的なボールコントロールで、恐ろしい勢いでゴールを量産しました。怪我で長期離脱がなければ、さらなる記録を残せたでしょうが、あれほどの動きが膝に強烈な負担をかけるのは当然でした。

CR7は人数をかければ潰せる気がしますが、全盛期のロナウドは何人でかかっても止められる気がしない破壊力があります。一方でゲームメイクができるCR7に対し、ロナウドは生粋の点取り屋でした。バルサ時代のロナウドは圧巻ですが、常に警戒されていたロナウドに針の穴を通すようなパスを供給し続けたデ・ラ・ペーニャの偉大さは忘れられがちです。

サッカー選手のポテンシャルとしてはCR7の方が上ですが、点取り屋としてはチート級のロナウドという気がします。ポジションが違うので単純な比較はできませんが、みなさんは、どのような印象をお持ちでしょうか?



CR7のベストプレイ集



ロナウドのベストプレイ集




にほんブログ村 オヤジ日記ブログへ
にほんブログ村

コメント

このブログの人気の投稿

アイルトン・セナはなぜ死んだのか

私が見た最悪のボクシング /ジェラルド・マクレランの悲劇

はじめの一歩のボクシング技は本当に存在するのか?

バンドの人間関係か戦略か /バンドメイドの不仲説

TBSが招いた暗黒時代の横浜ベイスターズ /チーム崩壊と赤坂の悪魔