マンガの実写化映画という王道戦略が悲観に変わる
日本の映画の製作費は平均で3億円といわれ、アメリカ映画どころか中国や韓国よりも安いと言われています。しかし中国や韓国の映画に比べて出演料は高い傾向にあるので、映画のつくりがチープになる傾向があります。なぜ日本の映画の製作費が安いかというと、興行収入が低いからで、ようするに儲からないからです。
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韓国は、中国を中心に東南アジアへの輸出に熱心です。近年ではTHAADミサイル問題で中国が韓国映画の輸入を禁止したために苦戦していますが、国内市場が小さいために外国に売り込むために策を練っています。
中国は東南アジアだけでなくアメリカにも熱心に売り込んでいますし、ヨーロッパはEU圏内だけでなくアメリカでの展開にも熱心です。しかし日本の場合は多くが日本向けに作られていて、輸出を前提に企画されることは稀です。
もちろん内容は大事です。しかし少ない製作費の中から広告宣伝費には限界があり、話題のタレントを使えばメディアが勝手に宣伝してくれたり、タレントの所属事務所も協力してくれるのでメディア展開が容易になるメリットがあります。
日本で映画を作り、日本国内でしか人気がないタレントの影響力をフル活用する戦略では、海外展開が難しいのは当然のことなのです。
マンガ「るろうに剣心」は15カ国以上で発売され、アニメも多くの国で放送されました。OVA版のアニメ「追憶編」ではアメリカでほとんど広告展開がなかったにも関わらず、口コミとネットで評価が高まり、ビルボード・ビデオマガジンのランキングで7位まで登りました。海外で高い評価を得たマンガの一つです。
2012年に佐藤健の主演で実写化されると、2作目からはワーナー・ブラザースによる配給が決まり、2014年の「京都大火編」は海外でもヒットしました。興行収入は50億円を突破し、フィリピンでは2週間連続で観客動員数が1位になります。予告編がネットで公開されると同時に各国のファンからの期待の声が上がり、公開と同時にソード・アクション(チャンバラ)に賞賛の声が集まりました。
しかし2015年に実写化されると批判が集まり、イギリスの配給会社からは「すごくレベルが低い。なんでみんな恥ずかしくないの?」と酷評される有様でした。海外配給も行われましたが、評価は決して良くはありませんでした。マンガの実写化は海外戦略にうってつけのはずですが、多くの実写化は日本でしか人気のないタレントの人気に依存した作り方に終始しています。
本作の肝になるのは、最大の見せ場である主人公の殺陣です。「人斬り抜刀斎」と呼ばれ恐れられた人外の強さと凄みをスクリーンで再現するために安易なCGに頼らず、モンタージュ(殺陣のプロ役者と入れ替える)とカメラの切り替えを多用して、従来の撮影手法で撮影しています。これが高く評価されました。
日本の映画産業も大変なのでしょうが、大変な時期だからこそ海外でも通用するコンテンツは大事に扱って欲しいと思います。
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日本映画が儲からない理由
入場料が他国と比較して2倍以上するとか、娯楽が映画以外にも多いなどのさまざまな理由はあります。その中でも今回注目したいのは、海外マーケットです。アメリカの映画は、アメリカあという世界最大の市場で公開され、さらに世界各国に輸出されて莫大な利益を生み出します。韓国は、中国を中心に東南アジアへの輸出に熱心です。近年ではTHAADミサイル問題で中国が韓国映画の輸入を禁止したために苦戦していますが、国内市場が小さいために外国に売り込むために策を練っています。
※世界的にヒットした中国映画「レッドクリフ」 |
なぜ日本の映画は日本でしか売れないのか
日本の映画の多くが、タレントの人気に依存しているからと言われています。どんな映画かよりも誰が出ているかの方が重要で、出演者の人気と話題が興行収入に直結します。もちろん内容は大事です。しかし少ない製作費の中から広告宣伝費には限界があり、話題のタレントを使えばメディアが勝手に宣伝してくれたり、タレントの所属事務所も協力してくれるのでメディア展開が容易になるメリットがあります。
日本で映画を作り、日本国内でしか人気がないタレントの影響力をフル活用する戦略では、海外展開が難しいのは当然のことなのです。
海外進出のキラーコンテンツ
問題は海外市場でも人気を得るような中身を伴った映画が、日本で作れるかということになります。そこで海外で高い評価を得ているコンテンツを映画化すれば、海外市場での話題性も十分で、興味をもってくれる人も多いはずです。マンガ「るろうに剣心」は15カ国以上で発売され、アニメも多くの国で放送されました。OVA版のアニメ「追憶編」ではアメリカでほとんど広告展開がなかったにも関わらず、口コミとネットで評価が高まり、ビルボード・ビデオマガジンのランキングで7位まで登りました。海外で高い評価を得たマンガの一つです。
※「るろうに剣心 追憶編」アメリカでは圧倒的に美しく悲しい物語と評されました。 |
2012年に佐藤健の主演で実写化されると、2作目からはワーナー・ブラザースによる配給が決まり、2014年の「京都大火編」は海外でもヒットしました。興行収入は50億円を突破し、フィリピンでは2週間連続で観客動員数が1位になります。予告編がネットで公開されると同時に各国のファンからの期待の声が上がり、公開と同時にソード・アクション(チャンバラ)に賞賛の声が集まりました。
不発したキラーコンテンツ
残念ながら「るろうに剣心」は稀有な例で、マンガ実写化の多くは不発に終わっています。「進撃の巨人」は世界各国でマンガが発売され、高い人気を得ていました。その人気からイギリス国営放送のBBCも取り上げ、原作者への単独インタビューを放送するなど、高い注目を集めていました。※不評だった実写版「進撃の巨人」 |
しかし2015年に実写化されると批判が集まり、イギリスの配給会社からは「すごくレベルが低い。なんでみんな恥ずかしくないの?」と酷評される有様でした。海外配給も行われましたが、評価は決して良くはありませんでした。マンガの実写化は海外戦略にうってつけのはずですが、多くの実写化は日本でしか人気のないタレントの人気に依存した作り方に終始しています。
るろうに剣心は何が違ったのか
個人的に、この映画はさほど好みではないのですが、作り手の熱意は感じました。佐藤健や武井咲のファンが見にくるだろうという、他の映画同様にタレントの人気に依存した広告展開は健在でした。しかし原作マンガの魅力である、ホッコリする部分と刹那的な激情の落差や、主人公が時折見せる凄みなどをなんとかして再現しようという意気込みもありました。※実写版「るろうに剣心」 |
本作の肝になるのは、最大の見せ場である主人公の殺陣です。「人斬り抜刀斎」と呼ばれ恐れられた人外の強さと凄みをスクリーンで再現するために安易なCGに頼らず、モンタージュ(殺陣のプロ役者と入れ替える)とカメラの切り替えを多用して、従来の撮影手法で撮影しています。これが高く評価されました。
まとめ
日本映画は海外市場での利益が望み薄なので、高い利益を上げられなくなっています。しかし海外で有名なマンガを実写化するのに、日本国内でしか通用しない手法で映画を作るため、せっかく海外で期待される実写かも失望に終わっています。コンテンツの無駄遣いに見えてしまいます。日本の映画産業も大変なのでしょうが、大変な時期だからこそ海外でも通用するコンテンツは大事に扱って欲しいと思います。
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