オピネルのナイフ入門 /久しぶりに買ってみました

オピネルというナイフをご存知でしょうか?キャンプをする人にはおなじみのナイフで、フランスでは子供に与える最初のナイフだそうです。日本の肥後守のフランス版と思っていいと思います。安価で使いやすく安定した品質を誇るナイフですが、日本での人気は今ひとつの状態です。それは買ってからすぐに使えないオピネルらしい思想が、日本には受け入れられないからだと思います。



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私とオピネル

小1の時に母に肥後守を渡されて以来、文具としてナイフを使っていました。しかし肥後守は次第に売り場から消えていき、ある時出会ったのがオピネルでした。肥後守より高価ですが、フランスの洒落たデザインに惹かれたのです。以降、キャンプにも使いましたが、私が持っていたNo6は刃渡りが短すぎて調理には向かないので、No12を包丁代わりに使ったりしました。

※肥後守 楽天より


この10年くらいはナイフと言えばカッターナイフを使っていたのですが、2018年を振り返るとカッターナイフの消費量が多く、オピネルを研ぎながら使った方が経済的ではないか?と思い立って十数年ぶりに購入してみました。

オピネルは折りたたみナイフの元祖

1890年にフランスのジョセフ・オピネルが考案しました。折りたたみができて、ブレードロック機構が付いたオピネルのナイフは、その後の折りたたみナイフの基本形となりました。



さまざまなサイズが用意され、用途によって選ぶことができます。サイズはナンバーで表され、数字が大きくなるとナイフのサイズも大きくなります。またそれぞれのサイズにカーボンスティール(炭素鋼)とステンレスのブレードがあり、用途によって選べます。

炭素鋼かステンレスか

両者の違いは硬さとメンテナンスのしやすさです。炭素鋼はメンテがしやすい反面、錆びやすいという欠点があります。ステンレスは錆びにくいですが、炭素鋼よりも硬いので刃が切れにくくなった時に研ぎにくいうのがあります。切れ味は炭素鋼の方が優れていると言われますが、研ぎ方によって切れ味が変わるので、個人的には差がないように思います。

※炭素鋼のモデルには「CARBONE」と書かれています。


ナイフを研ぐなんてなかなかやらないので、ステンレスの方が良いようにも思えますが、私はナイフ初心者には炭素鋼をお勧めします。理由はオピネルは買ってからすぐに使えないからです。

買ってからすぐに使えないオピネル

オピネルの刃は、買ったままではまず切れません。今回私が購入したNo6も、鉛筆すら削れませんでした。オピネルは、買ってから用途に応じて研がなくてはいけないのです。ですから硬くて研ぐのに時間がかかるステンレスより、研ぎやすい炭素鋼を初心者にはお勧めしています。



一見、不親切なように思えますが、箱から出してすぐに使えないというのは合理的なんです。今回、私はダンボールを切ったり鉛筆を削ったりと文具としてオピネルを買いました。コピー用紙もジャンジャン切るので、鋭利な刃先が必要です。しかしキャンプで肉を切るために買うなら、鋭利すぎる刃先では肉の筋を切断できないため、少し粗めに研ぐ必要があります。

このようにオピネルは、使う人が目的に合わせて好きなように研ぐことで、自分なりの道具になっていくのです。家庭で刃物を研ぐ習慣がなくなった日本では、ちょっと馴染みにくいと思います。

オピネルの研ぎ方

ホームセンターで売っている水砥石で十分です。値段は1000円ちょっとで買えるでしょう。1000番の砥石が基本で、炭素鋼でもステンレスでもこれを使います。私は鋭利に仕上げたいので、1000番で研いだ後に3000番の砥石も使います。もっとも最初に500番ぐらいで粗研ぎする人もいて、この方が早く研ぐことができます。

砥石を水に10分ほど浸し、水が十分に吸い込んだところで研ぎ出します。タオルなどを机に敷いて、その上に砥石を置くと良いでしょう。砥石に対して45度にナイフを傾けて研ぎます。ナイフと砥石が当たる面は20度にして、上下にこすってナイフを研ぎます。包丁は15度で当てるのが良いとされていますが、オピネルが推奨するのは20度なので、少し立てて研ぐと良いでしょう。

※1000番の砥石で研いでいるところです。

コツは一定の角度に保つことで、根気よく続けます。無心になって研ぎましょう。初心者が初めてナイフを研ぐと、全く切れないなまくらにしてしまうことが多々あります。諦めずに何度も挑戦すれば、そのうちにキレイに研げるようになります。まあ、私もそれほどキレイにできるわけではないんですけどね。

オピネルのサイズ

♯8
これが基本サイズと言われています。全長19.5cm、刃渡りは8.5cmあります。アウトドアで使うなら、枝を切ったり料理をしたりとマルチに使えるサイズで、もっともバランスが良いと言われています。まずはこれを試すことをお勧めします。





♯6
日本で販売されているオピネルの中で、最もコンパクトなモデルです。そしてロック機構がついた最小のモデルでもあります。私が最初に買ったオピネルがこれで、肥後の守とほぼ同じサイズだったので購入しました。手が大きな人は小さすぎて使いにくいと言いますが、慣れというのは恐ろしいもので、私はこれを10年以上使ってきたので今でもNo6が最もしっくりきます。



刃渡りが72mmで、筆箱に入れるのにもちょうどよいサイズだと思います。



♯12
全長で282mm、刃渡りが122mmもあります。サイズの大きさに圧倒されますが、包丁として使うならこのサイズだと思います。このサイズになると、キャンプの時にも包丁を持って行った方がいいのではないか?という疑問も生じますが、折りたたみができるというのは便利なんです。またちょっとした鉈代わりにもなるので、包丁よりも乱暴に扱えるというメリットもあります。

私はキャンプの際にこれを買い、その後も家で包丁として利用していました。キャンプによく行く人なら、試してみるのも良いかもしれません。




ラウンドティップ ♯7
子供用のナイフで、フランスでは子供に最初に与えるナイフの定番だそうです。先が丸くなっているので怪我をしにくく、それでも剥いたり切ったりすることはできます。刃物の使い方を覚えるのに、手軽なナイフとして人気のようです。





オピネルの注意点

柄がブナでできているため、水をよく吸います。絵が濡れるとブレードの出し入れが固くなってしまいます。極力水にぬらさないようにしましょう。オイルに漬けて収縮を減らす方法もありますが、私はやっていません。効果に懐疑的というのもありますが、使い込んでいくなかで使いやすく育てるものだと思うからです。そこでなるべく濡らさないようにして使っています。

オピネルのまとめ

本格的なナイフでありながら安価で、自分の好みに育てられるオピネルは、世界中で愛されています。キャンプに持っていくのも良いですし、私のように文具として使うのもありです。ナイフを使ってみようと思ったら最初の1本に相応しいナイフであり、長年愛用することもできます。

ぜひ自分だけのオピネルに育ててみてください。


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