見た人が悪いという結論 /映画「デビルマン」を振り返る
※この記事は2016年4月15日に、前のブログに書いた記事の転載です。
なぜ邦画はコケるとわかっているのに、アニメやマンガを実写化してしまうのか?この疑問について映画好きの友人と話していると、2004年の日本映画界の話題をさらった「デビルマン」に行き着きました。どんな酷い実写化を見ても「デビルマンよりはマシだから」の一言で解決してしまうからです。そこで、実写化の最低ラインの線引きという重責を担ってしまった「デビルマン」を再度振り返ってみたいと思います。
キャスト、スタッフ、CGが三位一体となって原作をこれでもかと陵辱する奇跡の映画として話題になった「デビルマン」ですが、10年以上過ぎてもこれを超える映画は未だにありません。主演を含めて演技経験がない人ばかりが出ていたとか、長編マンガを2時間に無理矢理詰め込んだとかだけの理由なら、他にもあります。デビルマンが孤高の地位を守っているのは、それら全てが高いレベルで維持されているからです。
演技経験がない人を使っても、普通はそれなりに工夫や配慮が見え隠れします。しかし「デビルマン」では演技指導もなかったのでは?と思えるほど、素人臭い演技で真っ向からぶつかってきます。その素人臭さは手加減抜きで容赦なく全編にわたって続いていきます。そのため見る側が麻痺していき、映画の最後の方では「こんなものかな」と思っている自分に気付かされることになってしまいました。
では演技力の高い別の役者を使えば良かったのかというと「日本国内に時差がある」と言われるほど摩訶不思議な時間軸に、説明過剰な台詞、さらに奇妙なポーズと行動の後の突然の決着など、演出も脚本もかなりのレベルに達しています。そられに加えて「棒読みせよ」と指示が出されていたのか?と思うほど、緊張感のない棒読みが被さるので、まるで画面の中で事故が起こったような惨劇となったのです。
この年、アニメ「人造人間キャシャーン」を実写化した「CASSHERN」も公開されて酷評されていますが、「デビルマン」の酷評はそれを軽く上回りました。
それは少なくとも「CASSERN」が物語としては動いているのに対し、「デビルマン」は物語にすらなっていない、または原作の知識がない人に対して全く説明がないため、物語になっていることすら気づかせないからでした。そこにシュールな映像と、緊張感のない棒読みの台詞、意味不明な大量のカメオ出演者が加わり、さらに残念なCGも加勢して、見る者全員がポカーンとなってしまうのです。
さらに話題になったのが、物語の重要なキャラ、シレーヌを演じた冨永愛です。ポスターのシレーヌの姿があまりに酷いと酷評されました。原作のシレーヌは、ほぼ全裸に近い姿に巨大な羽が生えているのですが、ポスターのシレーヌはなんというか全てが中途半端に見えたのです。しかし本編では冨永愛がワンピース水着を着て浅草サンバカーニバルのような格好で登場し、さらにCGがショボいので地獄絵図のようになっていきました。
これを読んだ未見の方は、さぞ酷い映画だと思うでしょう。舐めちゃいけません。私の文章より、映画の方が何倍も凄いですから!!この「デビルマン」があったため、何を見ても「デビルマンよりはマシ」と思う人がいて、それが酷い実写化を許す土壌になっているのではないか?などと割と本気で語り合ったのでした。
ちなみに「デビルマン」は、「シベリア超特急」が好きというカルト好きの方にはオススメです。それ以外の方には、全くオススメできません。映画のやってはいけないことを全て見ることができる希少な映画です。
関連記事:君は「シベリア超特急」を見たか /日本カルト映画の金字塔
「デビルマン」はhuluでご覧になれます。
デビルマンという名の芋焼酎です。

にほんブログ村
なぜ邦画はコケるとわかっているのに、アニメやマンガを実写化してしまうのか?この疑問について映画好きの友人と話していると、2004年の日本映画界の話題をさらった「デビルマン」に行き着きました。どんな酷い実写化を見ても「デビルマンよりはマシだから」の一言で解決してしまうからです。そこで、実写化の最低ラインの線引きという重責を担ってしまった「デビルマン」を再度振り返ってみたいと思います。
![]() |
| ※「ポスターだけは格好いい」と言われました。 |
キャスト、スタッフ、CGが三位一体となって原作をこれでもかと陵辱する奇跡の映画として話題になった「デビルマン」ですが、10年以上過ぎてもこれを超える映画は未だにありません。主演を含めて演技経験がない人ばかりが出ていたとか、長編マンガを2時間に無理矢理詰め込んだとかだけの理由なら、他にもあります。デビルマンが孤高の地位を守っているのは、それら全てが高いレベルで維持されているからです。
演技経験がない人を使っても、普通はそれなりに工夫や配慮が見え隠れします。しかし「デビルマン」では演技指導もなかったのでは?と思えるほど、素人臭い演技で真っ向からぶつかってきます。その素人臭さは手加減抜きで容赦なく全編にわたって続いていきます。そのため見る側が麻痺していき、映画の最後の方では「こんなものかな」と思っている自分に気付かされることになってしまいました。
では演技力の高い別の役者を使えば良かったのかというと「日本国内に時差がある」と言われるほど摩訶不思議な時間軸に、説明過剰な台詞、さらに奇妙なポーズと行動の後の突然の決着など、演出も脚本もかなりのレベルに達しています。そられに加えて「棒読みせよ」と指示が出されていたのか?と思うほど、緊張感のない棒読みが被さるので、まるで画面の中で事故が起こったような惨劇となったのです。
この年、アニメ「人造人間キャシャーン」を実写化した「CASSHERN」も公開されて酷評されていますが、「デビルマン」の酷評はそれを軽く上回りました。
![]() |
| ※映画「CASSHERN」 |
それは少なくとも「CASSERN」が物語としては動いているのに対し、「デビルマン」は物語にすらなっていない、または原作の知識がない人に対して全く説明がないため、物語になっていることすら気づかせないからでした。そこにシュールな映像と、緊張感のない棒読みの台詞、意味不明な大量のカメオ出演者が加わり、さらに残念なCGも加勢して、見る者全員がポカーンとなってしまうのです。
![]() |
| ※小林幸子やボブ・サップらが何の脈絡もなく登場します。 |
さらに話題になったのが、物語の重要なキャラ、シレーヌを演じた冨永愛です。ポスターのシレーヌの姿があまりに酷いと酷評されました。原作のシレーヌは、ほぼ全裸に近い姿に巨大な羽が生えているのですが、ポスターのシレーヌはなんというか全てが中途半端に見えたのです。しかし本編では冨永愛がワンピース水着を着て浅草サンバカーニバルのような格好で登場し、さらにCGがショボいので地獄絵図のようになっていきました。
![]() |
| ※左がポスター、右が映画内のシレーヌ。 |
これを読んだ未見の方は、さぞ酷い映画だと思うでしょう。舐めちゃいけません。私の文章より、映画の方が何倍も凄いですから!!この「デビルマン」があったため、何を見ても「デビルマンよりはマシ」と思う人がいて、それが酷い実写化を許す土壌になっているのではないか?などと割と本気で語り合ったのでした。
ちなみに「デビルマン」は、「シベリア超特急」が好きというカルト好きの方にはオススメです。それ以外の方には、全くオススメできません。映画のやってはいけないことを全て見ることができる希少な映画です。
関連記事:君は「シベリア超特急」を見たか /日本カルト映画の金字塔
「デビルマン」はhuluでご覧になれます。
デビルマンという名の芋焼酎です。
にほんブログ村





コメント
コメントを投稿