ビートたけしが孫を養子にした理由(相続を考える)

2015年にビートたけしさんが、娘の北野井子(しょうこ)さんの孫を養子にしたとき、相続税対策だと言われました。確かにそれもあるでしょうが、最近では別の理由で孫と養子縁組をする人もいるので、その点も見てみたいと思います。



1.ビートたけしの家族

妻で元漫才師の北野幹子(みきこ)との間に、長男の篤(あつし)と長女の井子(しょうこ)がいます。篤はオフィス北野の社員との間に子供を授かりますが、破局して親権は妻が持っているようです。井子は調理師と結婚後、子供を授かって離婚しています。

さらにフライデー襲撃事件の発端となった愛人との間に、子供がいます。当初は認知していなかったようですが、ビートたけしさんのお母さんが愛人と子供の存在を知って激怒し、認知したようです。


2.ビートたけしの法定相続人

ビートたけしさんが亡くなった時、ビートたけしさんの財産を相続できる権利を持つ人が法定相続人です。この場合、妻と子供が法定相続人になります。つまり妻の幹子、長男の篤、長女の井子、そして愛人の子の4人が法定相続人になり、ビートたけしさんの死後はこの4人で遺産を分け合うことになります。

※赤字が法定相続人

3.法定相続人はどれだけもらえるのか?

遺言状がない場合、妻が遺産の1/2、子供達が残りの1/2を案分します。仮にビートたけしさんの遺産が12億円あったと仮定すると、

幹子(妻):6億円
篤(子):2億円
井子(子):2億円
愛人の子:2億円

という配分になります。しかしここで井子の子供を養子縁組にした場合、子供が一人増えますので、配分が変わってきます。

幹子(妻):6億円
篤(子):1.5億円
井子(子):1.5億円
愛人の子:1.5億円
井子の子:1.5億円


4.どうして養子にすると相続税対策になるのか

相続税を計算する時に、財産から差し引ける控除額は、法定相続人の数によって変わるからです。

控除額=3000万円+法廷相続人の数×600万円

で決まるので、養子を迎え入れると600万円得をするのです。しかしビートたけしさんの資産からすると、600万円はあまり大きな額には思えません。むしろ井子が亡くなった時に、孫が払う相続税を養子にすることで無くしてしまうことが狙いだったのではないかと思います。

5.養子縁組の別の意味

最近は前妻の子や愛人の子がいる人が、養子縁組を行うことが増えています。それは愛人の子供より、本妻の子供に多くのお金を残してあげたいという想いから行われることが多いようです。

先ほどの例でいうと、養子縁組をしない場合は愛人の子の相続分は2億円でしたが、孫を養子縁組にすることで1.5億円に減らせます。そして井子は2億円だったのが子供の分も合わせると3億円になります。愛人の子よりも井子さんに多くの資産を渡したかったのではないでしょうか。

※北野家の相続財産は12億円のうち10.5億円になる。

さらにさらに、遺言状を書くことでさらに愛人の子の取り分が減らせます。仮に愛人の子には1円も渡さないと遺言状に書いたとします。遺言状は故人の遺志で最大限に尊重されますが、法律で法定相続人には最低限の取り分が保障されています。その額は法定相続分の半分です。

つまり1.5億円の半分の7500万円になります。養子縁組と遺言状を合わせれば、2億円渡すべきところを7500万円まで圧縮することが可能なのです。

6.まとめ

このように養子縁組を行うことで、相続税を減らしつつ本妻の子供、特に井子に多くの資産を残すことが可能になります。恐らくビートたけしさんが、養子縁組を行ったのはこういう意味があったと思われます。

そして最近は、相続対策で養子縁組が増えています。子供のいない夫婦は2人まで、子供のいる夫婦は1人まで養子縁組が認められているので、資産家の間ではますます増えるのではないでしょうか。



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