女らしさを求めたF美の勘違い

以前書いた、ガチムチのF美の話です。スポーツジムで知り合った男性と付き合い、1年でフラれた原因を考えたF美は、自分には女としての魅力が足りないからだと考えました。確かに全身が引き絞ったワイヤーのような筋肉をまとったF美に、女らしさを感じるのは難しい面があります。そしてF美は女らしさをセクシーさだと思い込みます。



前回記事:アピールポイントが胸だと言うF美の勘違い

セクシーな服装

地味な性格のF美は、私と会うときはジーンズにトレーナーとかパーカーを着ていて、仕事に行くときも地味な格好だったようです。そこで20代半ばにして、初めてミニスカートに挑戦してみました。しかしジーンズばかりで過ごしてきたF美は、「かがめない」「足を開けない」「絶えず後ろが気になる」「大股で歩けない」など不満をならべ、あっさり断念します。

そこで考えたのが、夏場のショートパンツでした。ある年の夏、飲み会に現れたF美はタンクトップにショートパンツという姿で現れました。むしろホットパンツと呼ぶべき短さで、それを見た男子一同は「おお、なんか気合入ってるな!」とF美の期待とは違う言葉を口にします。

腕も足も剥き出しなのですから、その隆々とした筋肉があらわになり、威圧感が増しています。背中もタンクトップが大きくえぐれているため、筋肉が強調されています。「ねえねえ、ちょっとは女らしいかな?」と言うF美に、誰もが「男前だ」「かっこいい」「絞め殺されそう」と語り、再びF美は考え込んでしまいました。

そもそも「セクシー=肌の露出」という昭和のオヤジのような短絡的思考が問題なのです。

髪形を変えてみた

なぜ肌を露出しても「男前」と言われてしまうのか?悩んだF美はボーイッシュな髪形に問題があると考えました。髪を長くしたら女らしさが増すと思い、1年かけて髪を伸ばしました。そして伸ばせば伸ばすほど髪が邪魔だと感じるようになり、ツインテールにし始めます。

翌年の夏、再び飲み会にやってきたF美は相変わらずタンクトップにホットパンツ、そしてツインテールでした。さらに1年前より筋肉は凄みをましています。

「格闘ゲームのキャラに、こういう人いるよね」
「香港映画に殺し屋で出てなかったか?」

胸元が大きく開いたタンクトップから見える胸は圧倒的な胸筋を誇示し、血管の浮いた太い腕を組むと「かかってこい」と言っているように思えます。そこにツインテールのギャップが、なんとも珍妙さを加えていました。

「男の人って、ツインテール好きでしょう?」

なんと返事して良いか、誰もが困りました。

※この人を見た時、友人達はF美を思い出したそうです。


続く試行錯誤

この後もセクシーさを求めて変な方向にズレまくり、ある時は「セクシーはやめてカワイイを目指す」と言い出し、コスプレ感全開になったりします。ある年の夏に友人たちと海に行ったのですが、多くの人達の注目を集めて恥ずかしい思いをしただけだったそうです。「友達はナンパされたりしてるのに、私は遠巻きにずっと見られてるんですよね」という不満もわかりますが、遠巻きに見ている人たちの気持ちもわかります。

F美がセクシーやカワイイを諦め、かっこいいと呼ばれるのを受け入れたのは30歳を過ぎてからでした。

まとめ

今年の冬、ライダースジャケットにジーンズを履いたF美は格好良く、「なぜ今までそれに気づかなかった!」という声があがりました。そしてF美の婚活ですが、無理な格好をしていないことを祈るばかりです。「脱ぐと私すごいですからね」「いや脱がなくてもすごいのわかります」という、仲間内でやっている不毛な会話を婚活でやっていなければいいなと思っています。



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