機械式時計は一生モノじゃないと主張する時計屋さんの話
アンティーク時計の販売と修理を中心に行ったいる某時計屋さんは、現在一生モノとして売られている機械式時計の寿命は、せいぜい30年から40年程度だと言っています。もちろん例外はあるようですが、それでも一生モノと呼べる時計はほとんどないと言います。これはどういうことなのか、詳しく聞いてみました。
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一生モノを作って、メンテナンスをするだけの顧客が増えると儲からなくなってしまうというわけです。今や時計メーカーは数十人の職人がいるだけの会社ではなく、巨大資本の一部になっています。利益の追求が至上命題になっているのです。
私は2本の機械式時計を持っていますが、一本は26年、もう一本は18年使っています。その時計屋さんによると「あなたは少数派」なのだそうです。10年ぐらいでお蔵入りさせる人は珍しくなく、そんな人達が増えている中で100年も200年も使える時計に意味がなくなっているというのです。
もちろん時計としての精度を出すために調整などが必要ですが、交換が容易になるだけで人件費が節約できます。しかしユニット化が進むと、専用パーツが増えていきます。つまりメーカーが専用パーツを作らなくなれば、部品の在庫がなくなった時点で時計の寿命が尽きるのです。大半のメーカーは製造中止から30年程度しか部品のストックがなく、しかも使うか使わないかわからない部品を大量にストックはしません。
ところが現在の時計は精度にシビアなため。金属を紙のように薄く削ってあったり、髪の毛のように細くしてあるため、ピンセットでつまむことすら困難なパーツが多いそうです。もはや調整の余地がなく部品を交換するしか手がないケースが多く、部品は上記のようにメーカーがストックしているかにかかっているので、必然的に寿命は短いと言います。
時計の価格が高騰しているとはいえ、200万円で買った時計を300万円も出して修理する人はなかなかいません。大抵の人は、新作を買うでしょう。どうも修理というより部品の全交換で、部品を作って交換するので割高になるようです。確かに修理はしてくれますが、依頼する人は極めて少数だと思われます。
最も対応が悪いブランドは、よく噂にするスイスのあのメーカーを挙げていました。近年は多少はマシになったそうですが、数人の職人で経営していたのに大資本傘下に入るとクォーツなどを大量に出したので、修理に手が回らなかったようです。修理に半年かかると言われたのに2年経っても音沙汰がなく、問い合わせると「わからない」なんて言われた話がありますが、今はそこまで酷くはないそうです。
以前にも書きましたが、今や時計はスマホの方が正確なのでアクセサリーとしての需要が大きくなりました。確かに無理をするのは良くないように思います。さて、この時計屋さんはが言うように現在の時計は40年程度の寿命しかないのか?その判断は、皆さんにお任せします。
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一生モノを作るメリットがメーカーにない
現在の時計メーカーの大半は、大手資本の傘下に入っています。数十人の小さな会社で、数人の職人がノンビリ仕事をしていたのは昔の話で、80年代以降は多くのブランドが大手資本の歯車の1つになっています。そのため莫大な宣伝費をかけて販売し、毎年新作を発表するようになった現在の時計メーカーは、数年ごとに買い換えるか買い増してもらはないと採算が合わなくなります。一生モノを作って、メンテナンスをするだけの顧客が増えると儲からなくなってしまうというわけです。今や時計メーカーは数十人の職人がいるだけの会社ではなく、巨大資本の一部になっています。利益の追求が至上命題になっているのです。
顧客が望んでいない
一生モノと呼ばれる時計を買って、30年も使い続ける人はどれほどいるでしょうか?高級時計を買う人は、大抵の場合、定期的に新作を購入しています。ブランド側も流行のデザインを生みだし、10年もすれば時代遅れに見えるようにしています。デザイン的に流行遅れになっても、その時計を使い続ける人は少数派になります。裕福な顧客は、定期的に新作時計を買うようになるのです。私は2本の機械式時計を持っていますが、一本は26年、もう一本は18年使っています。その時計屋さんによると「あなたは少数派」なのだそうです。10年ぐらいでお蔵入りさせる人は珍しくなく、そんな人達が増えている中で100年も200年も使える時計に意味がなくなっているというのです。
ムーブメントのユニット化
人件費が上がり、職人を長時間拘束するとコストがかかりすぎるようになりました。そのためムーブメント(時計の中の機械)をユニット化して、熟練の職人でなくとも修理できるようになってきています。故障した部分を交換するだけですから、熟練の職人でなくとも修理は可能になるのです。これは修理の時間を短くするのに有効な手段で、顧客も修理に長い期間待たされなくて済むようになりました。もちろん時計としての精度を出すために調整などが必要ですが、交換が容易になるだけで人件費が節約できます。しかしユニット化が進むと、専用パーツが増えていきます。つまりメーカーが専用パーツを作らなくなれば、部品の在庫がなくなった時点で時計の寿命が尽きるのです。大半のメーカーは製造中止から30年程度しか部品のストックがなく、しかも使うか使わないかわからない部品を大量にストックはしません。
シビアなつくりになったので修理が難しい
100年前の時計は精度が低く、部品も現在に比べると分厚く太いものが多いそうです。そのため部位によっては削りなおして再調整することで寿命を延ばすことが可能だそうです。部品は腕時計よりも懐中時計、懐中時計よりも置き時計の方が部品がおおらかなので、調整の余地は大きくなります。ところが現在の時計は精度にシビアなため。金属を紙のように薄く削ってあったり、髪の毛のように細くしてあるため、ピンセットでつまむことすら困難なパーツが多いそうです。もはや調整の余地がなく部品を交換するしか手がないケースが多く、部品は上記のようにメーカーがストックしているかにかかっているので、必然的に寿命は短いと言います。
修理はするが実質的にNGなブランド
某スイスの老舗メーカーは、200年前の時計でも自社製品なら修理をしてくれるそうです。しかし料金は半端な額ではありません。ある人がバブル期に買った時計の修理を依頼すると、半年近く待ってやってきた見積もりは300万円を超えていたそうです。時計の価格が高騰しているとはいえ、200万円で買った時計を300万円も出して修理する人はなかなかいません。大抵の人は、新作を買うでしょう。どうも修理というより部品の全交換で、部品を作って交換するので割高になるようです。確かに修理はしてくれますが、依頼する人は極めて少数だと思われます。
最も長く修理をしてくれるメーカーは?
これはセイコーが群を抜いているそうです。かつてフリーマーケットでセイコーの社員が古いセイコーの時計を買いあさっているなんて話がありましたが、セイコーは部品のストックが長く、基本的に修理を断らないそうです。最も対応が悪いブランドは、よく噂にするスイスのあのメーカーを挙げていました。近年は多少はマシになったそうですが、数人の職人で経営していたのに大資本傘下に入るとクォーツなどを大量に出したので、修理に手が回らなかったようです。修理に半年かかると言われたのに2年経っても音沙汰がなく、問い合わせると「わからない」なんて言われた話がありますが、今はそこまで酷くはないそうです。
まとめ
この時計屋さんは、機械式時計の寿命は30年から40年程度と割り切った方が良いと言っていました。一生使えるモノでも、修理費が高額過ぎて修理できないケースもあり、無理して高価な時計を買っても維持できなくなると言います。この時計屋さんは「2000円の時計も1000万円の時計も、個人の価値観だからどれを買うかは自由」と言いつつ「一生モノという言葉に惑わされて、無理して高価な時計を買うのは気の毒」と言います。以前にも書きましたが、今や時計はスマホの方が正確なのでアクセサリーとしての需要が大きくなりました。確かに無理をするのは良くないように思います。さて、この時計屋さんはが言うように現在の時計は40年程度の寿命しかないのか?その判断は、皆さんにお任せします。
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