スターウォーズ は無茶だった /資金を出したスタジオは偉いと思う

※この記事は2016年7月21日に、前のブログに書いた記事の転載です。

20世紀FOXの商魂は見事だと思う。「スターウォーズ」の企画にお金を出しただけでも、大したものです。想像してみてください。ヒッピーの出来損ないみたいな若者が、SF映画の企画を持ち込んだのだのです。当時、売れないジャンルの筆頭格がSFで、子供とマニアしか見ませんでした。



しかも内容を出来損ないヒッピーに尋ねると

「黒澤明の『隠し砦の三悪人』の舞台を宇宙にするよ。三船敏郎について行く2人の百姓はロボットにして、刀は光の剣にする。でも光線銃もあるから西部劇みたいなガンアクションも入れるし、カーチェイスも入れるし、空中戦も入れるよ。あとターザンの要素も入れるね」

※「隠し砦の三悪人」の一コマ

と、言うわけです。このヒッピーの出来損ないが熱く語る、頭の悪い子供の妄想のような企画に、20世紀FOXはお金を出すのです。私なら追い返していると思います。多少の面白みはあるとして、財政難の会社が10億円以上も出すのはどうでしょう?しかもこの出来損ないヒッピー、ジョージ・ルーカスは、デビュー作でヒットを生んだ経験があるといっても、マグレで当たっただけかもしれないのです。

※若き日のジョージ・ルーカス

ルーカスはロケ班を連れて砂漠での撮影を行い、疲労困憊になってスタジオに戻り卒倒します。留守の間に特撮班は予算の半分を使い、予定の1/10も撮影していなかったのです。ルーカスは心臓発作を起こしました。

こうして完成した「スターウォーズ」は、社内の試写会で酷評されます。
「全編に漂うチープさ」
「大猿が二足歩行するのはなぜ?」
「ヒロインの頭が菓子パンをつけたみたいなのはなぜ?」
「フォースというご都合主義」
「ロボットの声がプッシュホン」

試写会中に居眠りする役員もいて、あまりの出来の悪さに20世紀FOXは、単体での上映を諦め抱き合わせで売り込みを行います。しかし上映を引き受ける映画館は、多くありませんでした。



さらにルーカスの友人のブライアン・デ・パルマからも酷評され、劇場公開を前にルーカスは電話のない場所に逃避してしまいました。友人スピルバーグがルーカスを訪ねて来るまで、ルーカスは借金取りが押し寄せるのではと怯えていたのです。

※ブライアン・デ・パルマ

こんな映画が世界的なヒットになるのですから、世の中わかりません。スタジオ関係者やルーカスの友人達とは、全く異なる評価を大衆はしたわけです。しかも大ヒットという枠を超えて、社会現象になってしまいました。こうした経緯があるので、スターウオーズのヒットは社会学的な研究の対象になるほど、さまざまな検証がなされました。

いゃあ、映画って本当に面白いですね。











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