RPN電卓は使いやすい。決して思い出補正ではない
10年ほど前に「二度と普通の電卓を使えない体にしてやる」というセリフが、エンジニア界隈で話題になりました。「ロケットガール」というライトノベルのアニメが放送され、このセリフが出てきたときに狂喜乱舞したおじさんエンジニアが大量にいたのです。そのアニメの中で、主人公が=(イコール)キーがない電卓に戸惑う場面でこのセリフが出てきました。
※アニメ「ロケットガール」に出てきたRPN電卓 HP41c |
「ロケットガール」の主人公が戸惑ったのがRPN電卓です。逆ポーランド記法と呼ばれる入力方法で計算するため普通の電卓を使っている人には、「2+3」すら計算ができません。今ではすっかり忘れられている方式ですが、現在も一部の人には根強い人気があります。
米金融業界ではHPの電卓を使えることが必須で、ゴールドマン・サックスでは新入社員に対してHPの電卓HP-12Cの使い方を教える研修が行われていました。そのため、今でも熱心なユーザーがいるのですが、HPの経営不振とパソコンの全盛によってRPN電卓はほとんど見られなくなりました。
関連記事:史上最悪のCEOと呼ばれて /カーリー・フィオリーナ
2 + 3 =
しかしRPN電卓では次のように押します。
2 enter 3 +
普通の電卓が「2プラス3=」と考えるのに対しRPN電卓では「2に3を足すと」という風に、計算式を普通の言葉に置き換えていくのです。一桁の足し算ぐらいでは大した差はないのですが、ややこしい式になるとRPNは断然便利です。
(1+2)×(3-4)/(5+6)=
これを普通の電卓で計算するには、メモリー機能を使わないと一発では無理でしょう。しかしRPN電卓だと、計算式を読んだまま入力していけば計算できます。
「1に2を足したものに、3から4を引いたものを掛けて、5に6を足したもので割る」
実際の入力は
1 enter 2 + 3 enter 4 - × 5 enter 6 + ÷
となります。何を言っているかわからないかもしれませんが、計算式を読みながら一発で計算できる優れものなのです。しかも計算式がややこしいほど、RPN電卓は簡単に計算ができるようになるのです。そして複雑な計算では、たいていの場合は普通の電卓よりキータッチの数が少なくて済みます。
しかし逆ポーランド記法のHP電卓を使ってレポートを書き、試験に挑み、研究室で割り勘の計算まで行っていた世代には、これ以上ない思い入れが詰まっています。そして少しだけ練習して逆ポーランド記法に慣れると、その便利さを強烈に感じるようになるのです。
しかしスマホの時代は、プログラムさえ組めば製造コスト抜きに電卓を作れる時代でもあります。スマホのアプリとして多くのRPN電卓が登場するようになりました。私もiPhoneにRPN電卓を入れていて、ちょくちょく起動させては使っています。
ヒューレット・パッカードの黄金時代
70年代から80年代にかけて、ヒューレット・パッカード(以下HP)の電卓は全盛期にありました。HPは逆ポーランド記法を使ったRPN関数電卓を販売し、エンジニアや金融関連の仕事をする人から圧倒的に支持されました。日本でも70年代から発売され、アメリカに比べて高値ではありましたがエンジニアの憧れの電卓でした。米金融業界ではHPの電卓を使えることが必須で、ゴールドマン・サックスでは新入社員に対してHPの電卓HP-12Cの使い方を教える研修が行われていました。そのため、今でも熱心なユーザーがいるのですが、HPの経営不振とパソコンの全盛によってRPN電卓はほとんど見られなくなりました。
関連記事:史上最悪のCEOと呼ばれて /カーリー・フィオリーナ
逆ポーランド記法とは
例えば「2+3」を計算します。普通の電卓では次のようにキーを押します。2 + 3 =
しかしRPN電卓では次のように押します。
2 enter 3 +
普通の電卓が「2プラス3=」と考えるのに対しRPN電卓では「2に3を足すと」という風に、計算式を普通の言葉に置き換えていくのです。一桁の足し算ぐらいでは大した差はないのですが、ややこしい式になるとRPNは断然便利です。
(1+2)×(3-4)/(5+6)=
これを普通の電卓で計算するには、メモリー機能を使わないと一発では無理でしょう。しかしRPN電卓だと、計算式を読んだまま入力していけば計算できます。
「1に2を足したものに、3から4を引いたものを掛けて、5に6を足したもので割る」
実際の入力は
1 enter 2 + 3 enter 4 - × 5 enter 6 + ÷
となります。何を言っているかわからないかもしれませんが、計算式を読みながら一発で計算できる優れものなのです。しかも計算式がややこしいほど、RPN電卓は簡単に計算ができるようになるのです。そして複雑な計算では、たいていの場合は普通の電卓よりキータッチの数が少なくて済みます。
なぜ衰退したのか
普通の電卓も進化を遂げ、今ではカッコも入力できて、計算式をそのまま入力すると計算ができる電卓が登場しています。さらにHP電卓はプログラム関数電卓で、プログラムを組めば複雑な計算も自動でできる優れものでしたが、今ではエクセルで式を組む方が手ごろになってしまいました。パソコンの普及がHP電卓の衰退を招いたと思います。普通の電卓が使えない体のオジさんたち
学生時代にバイトで貯めたお金でHP電卓を買った工学部の学生さんなどは、この電卓を使い倒してきました。現在の50代以上の世代に、多くいます。私の時代はすでにポケコンが登場していたので、高価なHP電卓よりもポケコンで計算する人が増えていました。しかし逆ポーランド記法のHP電卓を使ってレポートを書き、試験に挑み、研究室で割り勘の計算まで行っていた世代には、これ以上ない思い入れが詰まっています。そして少しだけ練習して逆ポーランド記法に慣れると、その便利さを強烈に感じるようになるのです。
スマホによる復権
単なるノスタルジーと言われることもある電卓ですが、慣れれば便利なのは間違いありません。しかしわざわざ慣れる必要もないほど、スマホでエクセルなどの表計算ソフトが使える時代になったのも事実です。HPは電卓の販売を徐々に縮小し、今ではいくつかのモデルを東南アジアで製造しているに過ぎません。しかしスマホの時代は、プログラムさえ組めば製造コスト抜きに電卓を作れる時代でもあります。スマホのアプリとして多くのRPN電卓が登場するようになりました。私もiPhoneにRPN電卓を入れていて、ちょくちょく起動させては使っています。
※iPhoneのRPN電卓 |
ひさ~しぶりにRPN電卓を検索したらヒットしました。
返信削除>学生時代にバイトで貯めたお金でHP電卓を買った工学部の学生さんなどは、この電卓を使い倒してきました。現在の50代以上の世代に、多くいます。
まさにそれです、マイ電卓第一号!
子供の頃から父の計算尺を見てきたので(子供の落書きは不要になった青焼きコピーの裏面、仕事の持ち帰りをよくやっていたから)。兄はヘンミの関数電卓(知ってる?)が我が家の電卓第一号。
父が購読していた機械学会誌にYHP電卓の広告があったけど高価だった。
でも私がそのお年頃になったときHP29Cが数ヶ月ごとに値下りしてバイト代の半分で三越本店で購入できました(その後値上がりした、Tiの電卓と競争していたのかも)
ヘンミの関数電卓は当時内蔵のニカドバッテリーの交換を試みて復活せず残っていませんけどHP29Cは故障しても父のお下がりの計算尺共々残してあります。