60年以上変わらぬ・・・

※こちらは以前の「はねもねの独り言」に書いていた記事です。

らばQにエリザベス女王と夫のフィリップ殿下の60年前と現在の写真が出ていました。たしかフィリップ殿下は90歳で女王陛下は86歳だと思いますが、その歳にしては若々しいですね。このフィリップ殿下ですが、特筆すべきことが二つあります。その一つは放言大王として、何度批判されても変わらぬ放言を放っていることです。宇宙飛行士になりたいと言う太めの子供に「痩せたらなれるよ」と言って泣かせてしまったのは、ほんの序の口です。



中国を訪れた殿下は留学中のイギリス人学生らに「ここに長く留まると、目が細くなってしまうぞ」と言って、中国からヒンシュクをかいました。さらにオーストラリアに行くと、原住民のアボリジニに「今でも槍とか投げてるの?」と質問して人種差別ではないかと批難をうけました。さらにケニアを訪れた時には女性職員に対して「あなたは女性ですか?」と質問し、フェミニストからも怒りをかいました。例を挙げていけばキリがないほど、世界のあちこちで放言・失言を繰り返しているのです。

もう一つの特筆は、過去60年間にわたって服装に関して全く批判されていないことです。日本では天皇皇后両陛下の服装を批難するというのは考えにくいですが、イギリスでは反対に最も批判を受ける立場になります。国の顔として君臨しているので威厳と気品を求める声が強く、服装やしぐさなどが厳しくチェックされます。実際にエリザベス女王は「帽子が大きすぎる」「服の色が派手すぎる」など、何度も批判されています。

しかしフィリップ殿下に関しては、殿下の服装の話題が出る時は決まって賞賛なのです。60年間に渡り批判されないというのは驚異的で、その間にさまざまな流行が訪れていますし潮流も変わっています。しかしどんなブームが起ころうが、ずっと着こなしの手本と呼ばれ続けているのですから見事というしかありません。リンクしたらばQの記事の写真を見てもわかりますが、殿下だって流行の流れを無視しているわけではないようです(ラペルの幅がかなり違いますね)し、無視していたら「時代遅れ」と笑われていたでしょう。

フィリップ殿下の服装の特徴は、抑制につきると思います。女王陛下よりは前に出てはいけないので抑制を利かせてるというのもあるでしょうが、そもそも男性の着こなしは女性を引き立てる役目もあるので、抑制を利かせるというのは重要なポイントなのです。歴史に残るダンディ、ボー・ブランメルの名言にも「街を歩いていて人に振り返られたら、君の服装は失敗だ」というのがあるくらいです。

しかし単に抑制だけを利かせていたら単なる地味な人になってしまいますので、抑制の中にも秘められた気品やスマートさが必要で、フィリップ殿下の場合はこれが抜群に上手いわけです。誰もが賞賛するこのスタイルは多くの政治家に真似されましたが、フィリップ殿下のレベルに到達した人はいません。バラク・オバマ大統領もこのスタイルを真似していると言われていますね。

こういうスタンダードでクラシックな着こなしの見本のような人がいるから、モードの尖がったデザイナーの人達も栄えるわけです。日本なら暑苦しいほど「俺が主役だ」と主張するドン小西氏の服もそうです。小西氏とフィリップ殿下はまさに対極に位置していますからね。しかしらばQの記事ですが、女王が当時と変わらぬアクセサリーをしているところに、色あせぬものを感じさせて良い写真ですね。









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