庶民には難しい億ションの企画

※こちらは以前の「はねもねの独り言」に書いていた記事です。

以前から書いているように、私は不動産屋に勤めています。土地を買ってマンションを企画し、建設を発注してマンションを販売して利益を出す商売です。ラインナップは安いのから高いのまでいろいろあるのですが、高級物件というのが苦手なんですよね。大手さんが作る億ションと比べると、どうしても野暮ったくなってしまいます。そこでいろいろと紆余曲折があったのですが、最近ではあまり高級物件を手がけなくなりました。しかしこれって仕方ないと思うんです。



大手の不動産屋さんの中にはいわゆる財閥系と呼ばれる会社があります。創業者一族も経営に加わっていたりするのですが、こういう人達は古くからのお金持ちです。生まれ育った家は豪邸で、マンションに住むにしても広くて高級で贅沢なところだったでしょう。これは決してバカにしているわけでも批難しているわけでもないのですが、専有面積が100平米に満たないマンションや4LDKよりも部屋数が少ないマンションでは、どうやって生活するのかイメージできないような人もいるでしょう。

つまり専有面積が最低でも100平米はあり、6LDKぐらいのマンションが当たり前という意識の人が、こうやったらもっと快適になるだろうと考えたマンションと、私たちのような一般庶民が「お金持ちの生活って、きっとこんな感じだよね」と想像して造ったマンションでは決定的な差異があるわけです。例えばホームパーティなんて子供の頃の誕生日会ぐらいしか経験がない私たちと、大人の社交として当たり前のようにホームパーティをちょくちょく行なっている人では、ホームパーティを前提としたリビング・ダイニングの作り方が決定的に違ってしまうのです。

これはリゾート施設などでも言われていますね。ヨーロッパのお金と暇を持て余して死にそうな貴族達が、なんとか暇を快適に潰すために作ったリゾート施設と、企業のサラリーマンが儲ける事を目的に作ったリゾート施設では快適さが決定的に違うというわけです。そういうわけで、社内で高級物件の案を私に聞かれても「ノー・アイデア」というしかなく、そのうち私の会社では高級物件を手がけなくなりました。社内にいるのは庶民ばかりなので庶民の気持ちはわかるわけですから、庶民向けを造ればいいんですよね。

ちなみに私の知人に外国暮らしが長かったお金持ちがいるのですが、平日であれ休日であれ服をキチンと着替えてからでないと朝食をとらないという人がいます。もちろん息子さんも奥さんもです。休日の朝、ボサボサの髪の毛にスウェットを着たまま朝食をとりながら、私にはこういう人の生活を把握することはできないだろうなと思ったのでした。







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COMMENT:
AUTHOR: maple
DATE: 05/10/2011 22:54:07
自分で経験したことでなければ、想像もつかないですね、お金持ちの暮らし。
私にもさっぱりわかりません。社交場は赤提灯ですから♪

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COMMENT:
AUTHOR: はねもね
DATE: 05/11/2011 20:32:45
★mapleさん
難しいのは、私たちが明日10億円ぐらい手に入れてしまって贅沢な暮らしをしても意味がないってことなんですよね。生まれてから当たり前のこととして、豪華な暮らしをしている人とはずいぶんと違いますからね。というわけで、どう考えても無理だという結論にいたりました( ̄。 ̄;)
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コメント

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