電子書籍を考える

※こちらは以前の「はねもねの独り言」に書いていた記事です。

最近、キンドルをPDFリーダーとして購入しようかと真剣に検討していました。結局はやめたのですが、その時に電子書籍についてもいろいろと考えました。出版の革命になるようなことを言われていて出版社や書店の危機を煽る記事も出ていますが、個人的にはそのようなことはないと思います。しかし電子書籍が与える影響を無視できないのも事実で、実際に電子書籍によって廃刊に追い込まれる雑誌も出てくるだろうと思います。

電子書籍を考える時、アメリカと日本では事情が異なります。日本人は読み返すことがないと思える本でも、なんとなく取っておく習慣があります。しかしアメリカ人はバカンスに出かけるときにスーツケースに何冊か放り込み、バカンス先で読み終わるとゴミ箱に放り込んで帰ってきます。ですからアメリカの方が電子書籍が流行る可能性が高く、モノというかブツにこだわる日本人はもろ手を挙げて賛成とはいかないわけです。

しかし例えば雑誌などは日本でも受け入れられると思います。特に雑誌のページ売りが実現すれば、購入する人は多いのではないでしょうか。鎌倉に行く予定の人が、本屋で鎌倉を特集した雑誌を見つければ手に取ると思います。しかし購入にはためらうこともあります。欲しいのは特集の5ページぐらいで、後は全く興味がない記事なのに600円とか払うのはもったいないと思うわけです。

こういう人には雑誌のページ売りというのは人気を呼ぶかもしれません。 そもそも多くの週刊誌を始めとして雑誌は暇つぶしの道具でした。数百円で数時間の時間つぶしができるから買っていたわけで、それが携帯電話の発達によって暇つぶしの仕方が変わったので雑誌が売れなくなったわけです。暇つぶしのやり方は今後も簡単には変わらないでしょうから、本当に実のある情報を載せていない雑誌はどんどん潰れていくでしょうし、逆に実のある情報を載せている雑誌は廃棄する手間が簡単な分だけ電子書籍でも売れると思います。

小説や専門書などは電子書籍がどれだけ普及するかはわかりません。これは価格によって普及の度合いが変わるでしょう。特に日本の書籍は流通が複雑なためか高額になっています。わけのわからない問屋を通さなければ価格は下がるはずですし、印刷や運送のコストも低くなるので安く出来るはずです。新刊がある程度安く手に入るようになれば、買う人もでてくるでしょう。特に読み返すことはないだろうけど、流行っているので読んでみたいと思う程度の本には需要があると思います。

専門書などで線を引きながら読むタイプの人には、今の電子書籍は厳しいでしょうね。しかしそのうちにマーカー機能やしおり機能、メモ機能などが充実してくると流れは変わるかもしれません。1000ページぐらいある専門書を持ち歩くのは大変ですから、こういった機能が充実してくると需要が出てきそうな気がします。しかしそれでも紙がいいという人も沢山いるでしょうから、どれほど成長するかわかりません。

電子書籍の将来像を考える時、CD市場は参考になると思います。アップルがiTunesでミュージックストアを始めた時も革命のように言われました。しかし現状を見渡すと、相変わらずCDショップはあります。CDだろうがダウンロード販売だろうが同じ電気信号ですが、ジャケットが欲しいとかブツがないと所有欲が満たされないとかいろいろな理由でCDを買う人は多くいます。書籍はアナログである以上、CD以上にブツにこだわる人がいるのではないでしょうか。

恐らく将来的にはよく言われるように、紙の書籍はなくならくとも贅沢品になっていくのでしょう。しかしそこまでの道のりも案外長いような気がします。そして日本国内では仕様が乱立していて、相変わらずガラパゴス化の様相を見せています。今後はどうなるのか、しばらく推移を見守りたいと思います。








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