愛すべきゴットタレントの出場者たち
海外のオーディション番組「ゴットタレント」というのを、YouTubeなどでご覧になった方もいると思います。日本ではほとんど放送されていないので、番組そのものを見る機会は少ないのですが、動画サイトにアップされている有名な動画を見るだけで楽しくなります。
今やこの番組は世界各国で製作され、世界中で多くのタレント(才能)が発掘されています。日本では製作されていませんが、アジアのタレントを発掘する「アジアズ・ゴット・タレント」が製作され、日本からも出演していました。これはAXNで放送されたため、私も見ていましたが、パフォーマーの緊張感も伝わり何度もハラハラさせられました。
その一方で、才能があると認めた人には賛辞を惜しみなく送り、出演者の歌を聴きながら涙を浮かべたこともあります。この時は感極まっていたのか、コメントもしませんでした。また歌だけでなく欧米では下品と言われるコメディアンにも理解を示すこともあります。全裸の上にテーブルクロス、股間にティーカップを置いてドローンでテーブルクロス引きをやった日本のウエスPを、他では見られない斬新さと褒めていました。サイモンを唸らせられるかは、1つの目安になっています。
サ「年齢は?」
ス「47歳よ」
参ったなという顔のサイモン。しかしスーザンは腰に手を当てて腰を振る。
ス「それは私の一面に過ぎないわ」
サ「夢は?」
ス「歌手になることです」
会場には失笑が生まれる。
サ「なぜ歌手になれないと思う?」
ス「チャンスがなかったから。でもここで変われるかも」
サ「誰みたいな歌手になりたい?」
ス「(ミュージカル歌手の)エレン・ペイジ」
再び会場には失笑が漏れる。
スーザンが歌い出した途端、サイモンは眉を上げて驚きの表情を見せ、他の審査員も口を開けて聞き惚れます。観衆は驚きの声と拍手を送り、サイモンは「やられた」と言わんばかりの苦笑いを浮かべました。
歌い終わるとサイモンは「僕には初めから分かっていたよ。あなたがステージに立った時から、何か凄いものが見られる気がしてたから、思った通りだった」と苦し紛れのコメントを出して、会場を大いに笑わせました。ゲジゲジ眉のちょっと生意気でめんどくさそうなスーザンが、容姿からは想像がつかないパフォーマンスを見せてくれた。これがゴットタレントの醍醐味になりました。
サ「どうしてこの番組に出ようと思った?」
ゴ「私は見た。ユーチューブで、日本で。スーザン・ボイルが歌う」
サ「スーザンのような驚きを起こせるの?」
ゴ「彼女を評価する。スーザン・ボイルのエネルギー。私の心に入ってきた」
サ「それが君の発想の源だね。数年前と同じ驚きがあるか楽しみだよ」
ゴ「私は勝つ!」
全く期待していないことがありありとわかるサイモンですが、パフォーマンスが始まると「なんだこりゃ?」と驚きの表情を見せます。曲のサビに入ると観客は笑いと歓声を上げ、サイモンは両ひじをついて笑みを浮かべるしかありません。曲が変わると観客は総立ちで、審査員達も大笑いでパフォーマンスを楽しんでいました。パフォーマンスが終了すると、観客からは「ゴールデンブザー(1シーズンに1回しか使えない、1発で予選通過を決めるブザー。最高の栄誉の1つ)を彼に」と大合唱で、観客はゴンゾーに熱狂しました。
審査員の1人は「君が次のスーザン・ボイルでないなら、ここに正義はない」と絶賛し、サイモンは「君がステージに立った時から、なにか凄いものが見られる気がしていた」と、スーザン・ボイルの時と同じコメントで祝福しました。ゴンゾーは準決勝で敗退しますが、イギリスの番組から出演オファーが殺到したそうです。
オーティス・レディングのナンバーを歌い上げるコートニーは、さっきのオドオドした少女とは別人です。何かが憑依したような歌に会場のボルテージが一気に上がります。サイモンは「歌い出したら、まるでライオンのようだ」と絶賛しました。そして審査員のホーウィー・マンデルもコートニーを絶賛します。
「私はジャニス・ジョプリンの大ファンで、ドキュメンタリーの『クライベイビー』を見ていたらわかるけど、プロデューサーのクライブ・デイビスがモンタレー・ポップス・フェスティバルで彼女と会うんだ。まだ全くの無名で誰も彼女のことを知らないけど、その時彼女は初めての契約を手にしたんだ。この話知ってる?」
コートニーは「はい」とうなづきます。
「私はクライブ・デイビスじゃなくホーウィー・マンデルだ。だから君と契約することはできない。私にできることは・・・」
ホーウィー・マンデルはゴールデンブザーを押しました。コートニーは父親と抱き合って喜び準決勝に進出します。準決勝ではオリジナルソングを歌い、再び観客を熱狂させました。この様子が翌日にYouTubeにアップされると、驚異的な再生回数を記録しました。誰もが彼女の歌に驚き、職場や学校で彼女のパフォーマンスが話題になった結果でした。
準決勝では審査員のホーウィー・マンデルが「僕はこんなことは言ったことないけど、ケンイチは優勝して100万ドルを獲得すべきだ!アメリカは彼に投票するべきだ!」と、視聴者に投票を呼びかけました。このままエビケンは優勝し、100万ドルを手にすることになります。彼のパフォーマンスは、見ればわかります。とにかく圧巻です。
音楽が変わり、ハードロックバンドAC/DCの「ハイウェイ・トゥー・ヘル」を歌いだすと、その変わりように観客は大興奮し、審査員たちは呆気に取られています。口を開けたまま閉じられない女性審査員の表情が全てを物語っています。机の上に転がる審査員がゴールデンブザーを押せとアピールし、見事にゴールデンブザーを獲得しました。彼女はこのまま優勝します。
その後、アメリカズ・ゴット・タレントにも出場し、その時はクイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」をオペラ調、ハードロック調、ミュージカル調に歌いわけて観客を熱狂させました。サイモンは「本当に本当に信じられない」と絶賛し、他の審査員に「ゴールデンブザーを押さないの?」と問いかけていました。
日本人も参加していて、日本では有名ではなくとも海外で名を馳せた人も沢山います。この番組が日本でほとんど放送されないのが不思議で仕方ありません。くだらないパフォーマンスも多いですが、感動と興奮に満ちた番組だと思うんですけどね。
ゴットタレントとは
イギリスのソニー・ミュージックのプロデューサー、サイモン・コーウェルが制作したオーディション番組で、2007年からイギリスで「ブリテンズ・ゴットタレント・タレント」という番組が始まりました。この番組は番組フォーマットを販売しており、やがて「アメリカズ・ゴット・タレント」という番組がアメリカで始まります。今やこの番組は世界各国で製作され、世界中で多くのタレント(才能)が発掘されています。日本では製作されていませんが、アジアのタレントを発掘する「アジアズ・ゴット・タレント」が製作され、日本からも出演していました。これはAXNで放送されたため、私も見ていましたが、パフォーマーの緊張感も伝わり何度もハラハラさせられました。
鬼のサイモン・コーウェル
番組制作者であり、音楽プロデューサーでもあるサイモンは、厳しい目で出演者を見て、時に辛辣なコメントを浴びせます。その辛口コメントは聞いていてハラハラするものもあり「君に才能があるとは思えない」などとストレートなコメントが多く聞かれます。そのため恨みをかったのか、生卵をぶつけられたこともありました。その一方で、才能があると認めた人には賛辞を惜しみなく送り、出演者の歌を聴きながら涙を浮かべたこともあります。この時は感極まっていたのか、コメントもしませんでした。また歌だけでなく欧米では下品と言われるコメディアンにも理解を示すこともあります。全裸の上にテーブルクロス、股間にティーカップを置いてドローンでテーブルクロス引きをやった日本のウエスPを、他では見られない斬新さと褒めていました。サイモンを唸らせられるかは、1つの目安になっています。
スーザン・ボイル(ブリテンズ・ゴット・タレント)
ゴットタレントを語る上で、彼女は欠かせないでしょう。彼女の登場が、この番組を世界的に有名にしました。歌う前のサイモンとスーザンのやりとりが秀逸です。サ「年齢は?」
ス「47歳よ」
参ったなという顔のサイモン。しかしスーザンは腰に手を当てて腰を振る。
ス「それは私の一面に過ぎないわ」
サ「夢は?」
ス「歌手になることです」
会場には失笑が生まれる。
サ「なぜ歌手になれないと思う?」
ス「チャンスがなかったから。でもここで変われるかも」
サ「誰みたいな歌手になりたい?」
ス「(ミュージカル歌手の)エレン・ペイジ」
再び会場には失笑が漏れる。
スーザンが歌い出した途端、サイモンは眉を上げて驚きの表情を見せ、他の審査員も口を開けて聞き惚れます。観衆は驚きの声と拍手を送り、サイモンは「やられた」と言わんばかりの苦笑いを浮かべました。
歌い終わるとサイモンは「僕には初めから分かっていたよ。あなたがステージに立った時から、何か凄いものが見られる気がしてたから、思った通りだった」と苦し紛れのコメントを出して、会場を大いに笑わせました。ゲジゲジ眉のちょっと生意気でめんどくさそうなスーザンが、容姿からは想像がつかないパフォーマンスを見せてくれた。これがゴットタレントの醍醐味になりました。
ゴンゾー(ブリテンズ・ゴット・タレント)
日本から出場したゴンゾーは、タンバリンを叩くだけでイギリスを熱狂させました。アジアズ・ゴット・タレントでも好評だったゴンゾーは自信に満ちていて、ぎこちない英語でサイモンの質問に答えています。サ「どうしてこの番組に出ようと思った?」
ゴ「私は見た。ユーチューブで、日本で。スーザン・ボイルが歌う」
サ「スーザンのような驚きを起こせるの?」
ゴ「彼女を評価する。スーザン・ボイルのエネルギー。私の心に入ってきた」
サ「それが君の発想の源だね。数年前と同じ驚きがあるか楽しみだよ」
ゴ「私は勝つ!」
全く期待していないことがありありとわかるサイモンですが、パフォーマンスが始まると「なんだこりゃ?」と驚きの表情を見せます。曲のサビに入ると観客は笑いと歓声を上げ、サイモンは両ひじをついて笑みを浮かべるしかありません。曲が変わると観客は総立ちで、審査員達も大笑いでパフォーマンスを楽しんでいました。パフォーマンスが終了すると、観客からは「ゴールデンブザー(1シーズンに1回しか使えない、1発で予選通過を決めるブザー。最高の栄誉の1つ)を彼に」と大合唱で、観客はゴンゾーに熱狂しました。
審査員の1人は「君が次のスーザン・ボイルでないなら、ここに正義はない」と絶賛し、サイモンは「君がステージに立った時から、なにか凄いものが見られる気がしていた」と、スーザン・ボイルの時と同じコメントで祝福しました。ゴンゾーは準決勝で敗退しますが、イギリスの番組から出演オファーが殺到したそうです。
コートニー・ハドウィン(アメリカズ・ゴット・タレント)
オドオドした細身の女の子は、俯き加減で恥ずかしそうにステージに立ちました。「学校の授業ではなにが好き?」と問われて「音楽」と答えるものの「どんな音楽?」と質問されると「わからない」と恥ずかしそうに答える姿からは、シャイで内気な少女にしか見えません。しかし音楽がかかり、コートニーがリズムを撮り始めると、何かが違うと誰もが感じました。オーティス・レディングのナンバーを歌い上げるコートニーは、さっきのオドオドした少女とは別人です。何かが憑依したような歌に会場のボルテージが一気に上がります。サイモンは「歌い出したら、まるでライオンのようだ」と絶賛しました。そして審査員のホーウィー・マンデルもコートニーを絶賛します。
「私はジャニス・ジョプリンの大ファンで、ドキュメンタリーの『クライベイビー』を見ていたらわかるけど、プロデューサーのクライブ・デイビスがモンタレー・ポップス・フェスティバルで彼女と会うんだ。まだ全くの無名で誰も彼女のことを知らないけど、その時彼女は初めての契約を手にしたんだ。この話知ってる?」
コートニーは「はい」とうなづきます。
「私はクライブ・デイビスじゃなくホーウィー・マンデルだ。だから君と契約することはできない。私にできることは・・・」
ホーウィー・マンデルはゴールデンブザーを押しました。コートニーは父親と抱き合って喜び準決勝に進出します。準決勝ではオリジナルソングを歌い、再び観客を熱狂させました。この様子が翌日にYouTubeにアップされると、驚異的な再生回数を記録しました。誰もが彼女の歌に驚き、職場や学校で彼女のパフォーマンスが話題になった結果でした。
蛯名健一(アメリカズ・ゴット・タレント)
蛯名健一、通称エビケンも登場した時は、ほとんど期待されていませんでした。しかし彼のダンスが始まると同時に、観客は驚きと熱狂に包まれます。審査員も総立ちで拍手を送り、審査員の1人、元スパイスガールズのメラニー・ブラウンが「あんたって、超ヤバイ!」と興奮し、同じく審査員のホーウィー・マンデルが「このシカゴ予選のベストパフォーマンスだ」と絶賛しました。準決勝では審査員のホーウィー・マンデルが「僕はこんなことは言ったことないけど、ケンイチは優勝して100万ドルを獲得すべきだ!アメリカは彼に投票するべきだ!」と、視聴者に投票を呼びかけました。このままエビケンは優勝し、100万ドルを手にすることになります。彼のパフォーマンスは、見ればわかります。とにかく圧巻です。
クリスティーナ・ラモス(スペインズ・ゴット・タレント)
こちらはスペイン語なので、さすがに何を言っているかわからないのですが、彼女がさほど期待されている様子は見られません。そして歌い始めるとオペラで、審査員たちは柔らかな笑みを浮かべてしばらく聴き惚れています。しかし、そこに歪んだエレキギターのサウンドが混じりだすと、「おや?」という表情に変わりました。音楽が変わり、ハードロックバンドAC/DCの「ハイウェイ・トゥー・ヘル」を歌いだすと、その変わりように観客は大興奮し、審査員たちは呆気に取られています。口を開けたまま閉じられない女性審査員の表情が全てを物語っています。机の上に転がる審査員がゴールデンブザーを押せとアピールし、見事にゴールデンブザーを獲得しました。彼女はこのまま優勝します。
その後、アメリカズ・ゴット・タレントにも出場し、その時はクイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」をオペラ調、ハードロック調、ミュージカル調に歌いわけて観客を熱狂させました。サイモンは「本当に本当に信じられない」と絶賛し、他の審査員に「ゴールデンブザーを押さないの?」と問いかけていました。
まとめ
まだまだ紹介したい人は沢山いるのですが、私が特に印象に残った5人を挙げてみました。今やオーディション番組は世界で飽和状態で、ゴットタレントは世界中のあちこちで開催されています。そのためちょっと良いパフォーマンスをしただけでは評価されず、意外性やドラマ性なども要求されています。日本人も参加していて、日本では有名ではなくとも海外で名を馳せた人も沢山います。この番組が日本でほとんど放送されないのが不思議で仕方ありません。くだらないパフォーマンスも多いですが、感動と興奮に満ちた番組だと思うんですけどね。
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