芯ホルダーを使う /鉛筆とシャープペンシルの中間

芯ホルダーという筆記具をご存知でしょうか。図面を描く人にはメジャーで、建築系の人ならお馴染みだと思います。シャープペンシルのような鉛筆のような存在で、鉛筆と同じ2mmの芯を使うシャープペンシルだと思ってください。私は三菱鉛筆とステッドラーの芯ホルダーを使っていますが、過去にはカランダッシュやファーバーカステル、ロットリングなども使っていました。慣れるとシャープペンシルよりも使い勝手が良かったりするんです。



初めての芯ホルダー

私は大学の建築科を出ているので、学生時代に使ったのが最初です。三菱鉛筆の芯ホルダーで、周りには使っている人が結構いました。しかし当時は図面を描くのにシャープペンシルの方が都合がよく、しばらく使ってからほとんど触ることはありませんでした。再び芯ホルダーを使うのは、社会人になって建設会社に就職してからです。

現場監督だった私は、図面をシャープペンシルで描き、現場で芯ホルダーを使っていました。ステッドラーの芯ホルダーをもらったので、赤い芯を入れていました。現場ではコンクリートの壁やベニヤ板に絵を描いて職人に説明したり相談することがあり、その時に使っていました。鉛筆でも良かったのですが、鉛筆だとしょっちゅう削らなくてはいけません。コンクリートに書くと、あっという間に芯がなくなるのです。だから削る手間がない芯ホルダーは便利でした。

芯ホルダーの良さ

先にも書いたように、削る必要がないことです。そして鉛筆と同じように、紙で芯をこすって好みの太さに変えることができます。太い線も細い線も1本で描けます。シャープペンシルだと太さを変えて何本か持つしかありませんが、芯ホルダーは一本で大抵のことがこなせてしまいます。


私は図面を描くときはシャープペンシルを使うと描きましたが、0.4mmと0.9mmの2本を使い分けていました。極細の線を描きたいときは0.4mmを紙でこすって尖らせて0.3mmや0.2mmの太さにし、太く描きたいときは芯を斜めにして0.5mmくらいの太さで描いていました。通り芯と呼ばれる基準線は0.9mmの太いペンを使っていました。しかし芯ホルダーを上手く使うと、一本でこれらのことができてしまうのです。

ノック式とドロップ式

芯ホルダーは、お尻をノックして芯を出します。しかし芯の出方には2種類あり、好みが分かれるとこです。ノック式はシャープペンシルと同じように、お尻をノックするとちょっとだけ芯が出てくるタイプです。ドロップ式はお尻をノックすると、ズズっと一気に芯が出てきます。自分で好みの長さを調整するので、自由度が高いと言えます。

どちらが良いというのではなく、好みの問題です。建設現場で使うときはドロップ式の方が好きでした。コンクリートに書くとすぐに芯が減るので、少し長めに出して使っていたからです。何度もちまちまノックするのが面倒だったんです。

しかし今は紙に書くことも多いので、そんなときはクラッチノックの方が便利に感じます。好みや用途に合わせて選ぶのが良いと思います。

芯ホルダーのメーカー

三菱鉛筆

日本ではこれが最もメジャーな芯ホルダーだと思います。価格も300円台で買えますし、芯も安価に手に入ります。建築系の人だけでなくイラストレーターなど芯ホルダーを使う人なら1本は持っているのが三菱鉛筆です。キャップの色が難色もあり、芯の色に会わせて赤や黒を揃える人が多くいます。とりあえず芯ホルダーを使いたいなら、これをお勧めします。



ステッドラー

建築系の人にはなじみが深い、ドイツの老舗メーカーです。いくつもの種類の芯ホルダーが売られているので、好みに合わせて使えばよいと思います。ここで紹介するのは私が持っているクラッチノック式ですが、ドロップ式も売られています。

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ステッドラー シャープペン Nブルー 925 35-20N 2mm
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ロットリング

こちらも建築系の人に人気が高い、ドイツの老舗メーカーです。ロットリング800は、製図用シャープペンシルとして高い評価を得ていますが、2mm芯を使う芯ホルダーもバランスの良さと書きやすさで高い評価を得ています。少し値段は高いですが、設計事務所の方などが持っているのをたまに見かけます。こちらもクラッチノック式です。



ファーバーカステル

イラストレーターやデザイナーに人気がある、ドイツの老舗ブランドです。絵具や色鉛筆などの評価が高いメーカーで、パーフェクトペンシルという世界一高価と言われる鉛筆を出していることでも有名です。中でもカステル9000と呼ばれる鉛筆は、強度と滑らかさを備えた鉛筆として多くのファンを獲得しています。当然ながら芯ホルダーも評価が高く、さまざまな種類が発売されています。

個人的にカステル9000は、色の濃さに対して芯が固いので好みではありません。4Bを使っても2Bで描いているような感じがしてダメなのですが、それが良いという人の方が多いので大人気になっています。



ラミー

スクリブル(落書き)という名の芯ホルダーです。3.15mmの極太芯を使うのが特徴で、まさに落書きやアイデア出しのためにダラダラ書いたりするのに向いています。以前お会いしたイラストレーターの方が持っていましたが、パソコンで絵を描く前のラフなスケッチに使っているとのことでした。ラミーはドイツの安価な文具を得意とし、デザイン性が優れていることで評価の高いメーカーです。



コヒノール

オーストリア発の老舗メーカーで、何種類かの芯ホルダーを出しています。現在はチェコに会社を構えていたと思います。こちらは5.6mmという上記のラミーよりも太い芯を使っている芯ホルダーで、お絵描きに向いているそうです。ここまで太くなると用途が限られてきますが、他にはない書き味が人気のようです。

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【KOH-I-NOOR(コヒノール)】5347 芯ホルダー5.6mm 三角軸
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芯の削り方

紙に芯をこすって芯を細くするのが一般的な方法です。多くの方がこの方法を使っていると思いますが、道具を使う人も多いと思います。

ナイフ等で削る

刃物で削るときは、刃の方ではなく背を当てて削る方がきれいに研げます。刃の方で削ると刃先が芯に食い込んでしまい、思っていた以上に細く削ってしまいがちです。

芯研器を使う

鉛筆削りに似た芯研器というのが多くのメーカーから売られています。これだと手軽に削ることができます。


まとめ

昨今では鉛筆の良さが見直されているそうで、それに伴って芯ホルダーの人気も高まっています。とりあえず使ってみたい人は、まずは三菱鉛筆の芯ホルダーから試してみてください。鉛筆とシャープペンシルの良いとこどりの芯ホルダーが、手放せなくなるかもしれません。万年筆のように気負うこともなく、手軽に使える文具なので、気になった方はぜひ使ってみましょう。

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