レイモンド・レディントンに見る組織の作り方 /部下を持たない経営は可能なのか?
テレビドラマ「ブラックリスト」の主人公、レイモンド・レディントンは犯罪コンシェルジュとして20年以上もFBIの指名手配者リストに載りながら、犯罪組織を運営しています。彼は優れたビジネスセンスを持ちながら、独特の経営スタイルで組織を運営しています。
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その一人一人は何かの専門家で、会計士や死体処理係、元傭兵、拷問のプロ、偽装の名人などです。それら専門家を必要な時にだけ呼んで、仕事を行います。犯罪組織のボスにありがちな、また大企業の経営者が大名行列のように部下を引き連れることはしません。
拷問のプロのテディ・ブリムリーは、レディントンの依頼を「今は無理だ」と一言で断ったこともあります(その代わり拷問に使える大蛇を置いてはいったが)。常に酸素吸入器をつけている彼は空腹になると機嫌が悪くなり、レディントンに文句を並べることもあります。なぜ彼らは大物犯罪者のレディントンに文句が言えるのかというと、彼らは部下ではなく協力者だからです。だからレディントンは命令ではなく、仕事の依頼をしているにすぎません。
側近でボディガードのデンべや死体処理専門のミスター・キャプランは、仲間ではなく家族と呼んでいます。デンべに対しては、好きな時に去って良いと言っていて、彼を支配するつもりもありません。レディントンは命令を下しません。誰に対しても依頼とお願いをしています。
アンソニー脅すこともリストを奪うこともせず、仲間に引き入れて金持ちにさせました。アンソニーは「あんたみたいな大物は、いつか俺たちを見限る」と言っていましたが、その後も重用して、ついにはレディントンの命を守るために替え玉まで引き受けるようになります。このようにレディントンは、協力者に利益をもたらし感謝を忘れません。
レディントンは何人もの情報屋を抱えていますが、多くが本業を持っている人で、彼らの商売がうまく行くように支援したりアドバイスをしています。恐怖による支配ではなく、常に利益をもたらすことで強固なチームにしています。しかしレディントンの帝国が崩壊したシーズン4では、利益だけで繋がっていた人たちが急速に離れていく様子も描かれています。
常に楽しそうで、危険に直面すると「冒険心をくすぐる仕事だ」、困難に直面すると「実にやりがいがある」と微笑みを浮かべて歓迎するレディントンの姿勢は仲間たちに安心感を与えているように思います。
FBIのエリザベスが連れ去られそうになった時、荒事は苦手なのに銃を手にして震えながら敵に立ちはだかったアラムに対して、レディントンは「この恩は一生忘れない。この借りは必ず返す」と約束しました。すぐにアラムに借りを返すことになるのですが、こういった行動も信頼につながっているのだと思います。
利益の分配と敬意を怠らなければ、こういうスタイルの組織運営もできるのかもしれません。
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少数精鋭のチーム
犯罪組織のボスであり、その中でも大物のレディントンですが、大勢を引き連れることはありません。ボディガードのデンべと2人だけの行動が多く、必要に応じてそのほか数人を連れているだけです。その一人一人は何かの専門家で、会計士や死体処理係、元傭兵、拷問のプロ、偽装の名人などです。それら専門家を必要な時にだけ呼んで、仕事を行います。犯罪組織のボスにありがちな、また大企業の経営者が大名行列のように部下を引き連れることはしません。
部下を持たない
レディントンの名前を知る者は、その名前を聞いただけで震え上がります。しかしレディントンの組織の者たちは、レディントンを恐れるどころか言いたい放題の感があります。例えば最も頼りにしている情報屋のグレン・カーターは、病的な虚言癖を持っていて時に意地悪です。情報をせかすレディントンに関係ない話を延々と続け、「私の忍耐力を試さないでくれ」と困り顔で言われる始末です。![]() |
※グレン・カーター |
拷問のプロのテディ・ブリムリーは、レディントンの依頼を「今は無理だ」と一言で断ったこともあります(その代わり拷問に使える大蛇を置いてはいったが)。常に酸素吸入器をつけている彼は空腹になると機嫌が悪くなり、レディントンに文句を並べることもあります。なぜ彼らは大物犯罪者のレディントンに文句が言えるのかというと、彼らは部下ではなく協力者だからです。だからレディントンは命令ではなく、仕事の依頼をしているにすぎません。
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※テディ・ブリムリー |
側近でボディガードのデンべや死体処理専門のミスター・キャプランは、仲間ではなく家族と呼んでいます。デンべに対しては、好きな時に去って良いと言っていて、彼を支配するつもりもありません。レディントンは命令を下しません。誰に対しても依頼とお願いをしています。
誰に対しても行儀よく接する
例え敵であっても最低限のマナーを守ろうとします。ましてや成り行きで拉致することになった人には、可能な限り丁重に扱い謝罪を忘れません。もちろん自分のイメージを最大限に利用して、相手に断れば殺されると思わせながら交渉することもありますが、協力することが決まるともてなします。協力者を儲けさせる
シーズン5で潜伏しているレディントンに刺客を送ってきた郵便局員のアンソニーを捕えると、郵便局の不在者リストを使って泥棒をしている小悪党だと知ります。不在者リストに興味を持ったレディントンは、アンソニーに泥棒を辞めさせて不在者宅を逃亡者の隠れ家として使うことを提案します。アンソニー脅すこともリストを奪うこともせず、仲間に引き入れて金持ちにさせました。アンソニーは「あんたみたいな大物は、いつか俺たちを見限る」と言っていましたが、その後も重用して、ついにはレディントンの命を守るために替え玉まで引き受けるようになります。このようにレディントンは、協力者に利益をもたらし感謝を忘れません。
レディントンは何人もの情報屋を抱えていますが、多くが本業を持っている人で、彼らの商売がうまく行くように支援したりアドバイスをしています。恐怖による支配ではなく、常に利益をもたらすことで強固なチームにしています。しかしレディントンの帝国が崩壊したシーズン4では、利益だけで繋がっていた人たちが急速に離れていく様子も描かれています。
仕事を楽しむ
とにかく仕事が楽しそうです。人身売買であっても、誰かが行うことで劣悪な環境にさらされることになるから自分が行って秩序を保った方がいいと言い切り、良いことをしているように振舞います。困難な仕事に前向きに取り組む仲間には「いいぞ、その意気だ!」と激励し、自分が困難に直面すると楽しそうに障害に取り組みます。常に楽しそうで、危険に直面すると「冒険心をくすぐる仕事だ」、困難に直面すると「実にやりがいがある」と微笑みを浮かべて歓迎するレディントンの姿勢は仲間たちに安心感を与えているように思います。
まとめ
部下を持たない組織を現実的に運営できるのかはわかりませんが、このドラマを見ているとレディントンの人柄が周囲を引き付けているように思います。しかし協力者を常に儲けさせ、感謝と恩を忘れないという義理堅さも信頼を得ている面も大きいでしょう。FBIのエリザベスが連れ去られそうになった時、荒事は苦手なのに銃を手にして震えながら敵に立ちはだかったアラムに対して、レディントンは「この恩は一生忘れない。この借りは必ず返す」と約束しました。すぐにアラムに借りを返すことになるのですが、こういった行動も信頼につながっているのだと思います。
利益の分配と敬意を怠らなければ、こういうスタイルの組織運営もできるのかもしれません。
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