ナイフ一本で40人の武装強盗に立ち向かった兵士 /勇猛果敢なグルカ兵
2010年の秋、インドで40人もの武装強盗にだった1人で立ち向かい、撃退した兵士のニュースが外信から入ってきました。兵士が手にした武器はナイフ1本で、まるでハリウッド映画のような出来事に、にわかには信じられませんでした。しかしこの出来事は事実だったようで、複数の通信社が伝えていました。今回は、この映画のような事件を振り返ってみたいと思います。 事件の流れ 2010年9月、インドのラーンチーからゴーラクプルに向かう列車に、ヴィシュヌ・シュレスタ(Bishnu Shrestha)というインド兵が乗っていました。彼はインド陸軍に所属するグルカ兵で、退役して実家に帰る途中でした。それは西ベンガルのジャングルの景色を眺める、のんびりとした旅になるはずでした。 夜になりシュレスタも多くの乗客も眠っていましたが、突然列車が止まり銃やナイフで武装した40人もの強盗団が乗り込んできました。彼らは乗客を脅して財布や時計、ノートパソコンなどを奪っていきました。シュレスタは抵抗せず、強盗団に貴重品を渡しました。乗客の中には、強盗に抵抗して怪我を負った人もいました。シュレスタは沈黙を守り、ただじっと強盗団の様子を見ていました。 このまま強盗団が、金品を奪って去っていれば強盗事件の1つとして多くの人の記憶に刻まれることもなかったでしょう。しかし強盗団の1人が、シュレスタの近くにいた18歳の少女の服を引き裂き、レイプしようとしたことで状況は一変しました。少女の妹と思われる女の子が「お姉ちゃんを助けて」と泣き叫んでいたそうです。「こういう状況は、もう沢山だと思いました。私は彼女を自分の妹のつもりで行動しました」と、シュレスタは語っています。 ククリナイフを抜いたシュレスタは、少女に襲いかかる男の喉を切り裂きました。次に喉を切り裂かれた男を掴むと、彼を人間の盾にして他の強盗に応戦しました。列車の中では銃声が響き、血が飛び散ります。10分ちょっとの戦いの中で、シュレスタは3人を殺害し8人を負傷させました。強盗団は退散して、乗客は守られました。シュレスタは左腕を負傷し、激しく出血してその場に倒れたようです。列車は次の駅に向かい、そこでシュレスタを含む怪我人が病院に搬送されました。 グルカ兵とは ネパールのグルカ族で構成される軍隊で、白兵戦では世界屈指の...
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