恐ろしく真面目なパンチラ考察

注)この記事は以前のブログの転載記事です。

一生のうちの暇な時間にでも読んでおいた方が良い本として、井上章一さんの「パンツが見える」はオススメです。目から鱗の風俗史で、クソ真面目にパンチラを語っています。

この井上章一さんは変わった方で、京都大学建築学部を卒業して建築史を専門としていたのに「美人論」で有名になり、面食いの正当性を熱く語っていました。そして関西人、阪神タイガース、人形に関する著作を出して、次がパンチラ論です。





井上章一さんは研究者としては真面目です。かつて女性はパンツを履かず、陰部が見えても気にしなかったという事実を、これでもか、これでもか、これでどうだ、これもあるぞ、次はこれだ、さらにこれだ、という感じで次から次へと執拗に文献を紹介していきます。読者が「もうパンツでお腹いっぱいです」と悲鳴を上げるくらい、パンツに関する文献を調べて紹介していきます。それを踏まえて、こんな結論に達します。


「彼女たちは、陰部の露出がはずかしくて、パンツをはきだしたのではない。はきだしたその後に、より強い羞恥心をいだきだした。陰部をかくすパンツが、それまでにはないはずかしさを、学習させたのである。」


延々と続くパンツの文献紹介に付き合わされた後では、これだけ読むとものすごい気がするこの一文が、ビシッと心に響いてしまいます。「いやぁ、さすがです」(なにが?)という独り言を呟きたくなる破壊力なのです。さらにパンツの柄や色によってもエロティシズムに差があり、無地の白が最高にエロいことをさまざまな文献の引用で、これでもか、これでもかと突きつけます。いやはや色や柄をここまで深く突き詰めた人はいないでしょう。読むと「はい、白無地が最高です」と頭を下げたくなります(なにに?)。

この手の話に必ず出てくるモンローの「七年目の浮気」と、小川ローザのOh!モーレツの影響は限定的に扱われています。

恥ずかしいからパンツを履いたのではなく、パンツを履いたから恥ずかしくなった。つまり女性はパンツに洗脳された。女性が恥ずかしがるから男は見たくなった。つまり男もパンツに洗脳された。という身も蓋もない事実を徹底的に追い詰めていった姿勢に、ある種の凄味すら感じる本です。ぜひとも暇な時間に読むことをオススメします。これを読んだ後にパンチラに遭遇すると「もう結構です!」という、意味不明な心の叫びを聞けますよ。




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