アニメーターの年収110万円 実際はどうなっているのか?
NHKがアニメーターの過酷な労働実態を報じ、その中でアニメーターの平均年収が110万円とされていました。これには多くの人が驚き、国会でもMANGA議連の方々が精力的に発言されています。しかし年収110万円というのは、ほとんど生活できない状態だと思うのですが、どうなっているのでしょう?
アニメ製作に関わる人達全員の平均が110万円という勘違いを生んでいますが、この平均値は動画マンと呼ばれる人達の平均年収で、全員のものではありません。アニメ監督は平均で600万円超とのことです。
2.アニメーターの仕事の種類
アニメを製作するには、さまざまな人が集まります。脚本家や演出家、声優、音楽や効果音を作る人、そしてアニメーターと呼ばれるアニメの絵を作る人達です。年収110万円の動画マンは、このアニメーターになる人が最初にやる仕事です。
アニメの動きのポイントになる絵を描くのが原画の人で、原画と原画の間の絵を描くのが動画マンになります。アニメーターを志す人は、誰もが最初にこの仕事に就きます。
3.動画マンの給料はなぜ安いのか?
以前、知り合いにアニメーターがいました。彼は給料が安いと言っていましたが、出来高制なので最初の頃はほとんど給料がない人もいると言っていました。出来高制とは1枚の絵の単価が決まっていて、それを何枚描けたかで給料が決まる仕組みです。
私が話を聞いたとき、彼がやっている単価は270円だと言っていました。そして1ヶ月に500枚ぐらい描くそうです。つまり月給は
270円×500枚=13.5万円
になります。この単価は製作会社や作品の予算によって変わり、ネットで調べると最近は150円以下なんて例もあるそうです。
さらに彼は1ヶ月に500枚を描いていますが、筆が遅い人、そしてやり直しが多い人などは200枚も描けないなんてこともあるようです。特に新人は基本的なアニメ描画のルールを守れずに、何度もやり直しになることが多いそうです。彼も最初は1日に数枚しか描けなかったそうで、そうなると労働時間ばかりが長くなって収入が減ることになります。
4.動画マンの平均年収110万円とは
このように、スイスイと絵を描いていく人とやり直しが多い人では労働時間も違いますし、収入も大きく変わります。この動画マン時代に収入が少なすぎて辞めていく人が最も多く、そのため平均をとると低い数値になるのだと思います。そのため、最近は固定給制度を導入して、若手を育てる製作会社も出てきているようです。
5.長時間労働や搾取の問題
ニュースではアニメ業界の長時間労働や雇用者の搾取の問題が扱われていましたが、単純な平均年収の話とは別に考える必要があると思われます。単純に年収だけを比較すれば、駆け出しの俳優やプロボクサーは本業の年収が数万円なんて人も珍しくないわけで、年収だけでこれらの問題を語るのは乱暴な気がします。
6.まとめ
このニュースは、数字ばかりを追いかけると本質が見えてこないように思います。また製作会社側から見ると、製作費を抑えたければ海外に発注するという手もあるわけで、アニメのクレジットが外国人の名前だらけという時期もありました。
労働環境が良くないのは確かなようですし、海外でも受け入れられるコンテンツなので、業界を活性化していこうという意見は同感です。しかしこの数字だけを見て、業界全体を問題視する風潮は危険だと思いました。

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