赤痢といえば

※こちらは以前の「はねもねの独り言」に書いていた記事です。

突然、赤痢が流行って驚いています。トイレに行って手を洗わずに調理したか?と思ったりもしましたが、そもそも赤痢菌の保有者が少ないので衛生面の管理がずさんでも赤痢が発症するのはレアケースですよね。震災となにか関係があるのでしょうか。そして赤痢といえば、私の出身地である福岡県には赤痢にまつわるミステリーがあります。国会の爆弾男と呼ばれた楢崎弥之助氏が、突然国会に持ち出して話題になったそうです。



楢崎氏は福岡では有名な議員で、リクルート事件が公になる隠し撮りビデオの主演者です。リクルート社員がワイロを楢崎氏に手渡すところを隠し撮りし、そのビデオを楢崎氏が公開したことで大騒ぎになりました。これは国会議員手動によるおとり捜査だとして議論を呼びますが、とにかくこういう人なんですね。その楢崎氏が突然国会に戦前に発生した大牟田爆発赤痢事件について取り上げて話題になったようです。1971年のことです。

福岡県大牟田市で1937年に発生した事件で、嘔吐やけいれんを繰り返す患者が大量に発生しました。その数は大牟田市民の1割を越える異常事態で、医者は原因不明の奇病として対応に苦しんでいました。700名以上の死者を出す大事件に発展し、政府は大学病院に協力を仰いで調査を開始して上水道から感染した赤痢だとつきとめました。水源の井戸を管理していた一家がオムツを洗い、その汚水が井戸に混入して感染したわけです。赤ん坊は前日から嘔吐を繰り返し、赤痢に感染していました。

これで市長や上水道を管理していた課長は引責辞任となりましたが、この課長さんは調査時から死ぬまで上水道からの感染説を否定していたのだそうです。そもそも井戸が改修されて汚水が浸入する余地がないことや、井戸から赤痢菌が発見されていない事、さらに問題となった赤ん坊は赤痢には感染していなかったことが診断書から明らかになっています。またここの水を飲料水として提供した船には感染者が1人もいなかったし、水源を管理していた家族にも感染者がいませんでした。

楢崎氏は国会でこれらのことに加え、大量発症日に近くの三井三池工場で起こった爆発事故との関連を示唆したのです。赤痢患者の多くはこの工場付近に集中しているため、軍の要請で三井三池工場が化学兵器を製造していて、それが漏れたため起こった集団感染ではないかというわけです。当時ならありそうな話ですよね。爆発事故が起こった直後、三井三池工場は消防隊が入る事を拒否したなんて話しまであります。怪しいですよね。

しかし当時の患者の便からは複数種の赤痢菌が検出されているので、この可能性は低いとされています。化学兵器なら一番効率が良い菌だけを使うでしょうから、数種類が見つかるなんてことはありえなさそうです。しかし本当に化学兵器が原因だとしたら、当時の政府が隠蔽のために赤痢の証拠を捏造した可能性もあります。さて何が本当なのでしょうか。ミステリーですね。

今回は赤痢が突然現れたので、この事件を思い出しました。もちろん今回の赤痢がミステリーだというつもりじゃないのですが、今の時代に赤痢というのは意外ですよね。どこからどうやって菌がやってきたのか調査が待たれます。






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