スーツのジャケットはいつ脱いで良いのか?

先日、30代の男性が結婚するとの報告を受けました。相手は会社の同僚だそうで、来月には相手のご両親にご挨拶に行くとのことでした。そしてこんな相談を受けました。

「スーツは苦手なんですけど、上着ってどのタイミングで脱いでいいんですか?」

今回は、この疑問について書いていこうと思います。



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そもそもスーツとは?

かつては上下同じ生地で作られた服は、とてもカジュアルなものでした。当時は上下が違う生地で作られた服が主流でした。当時のフォーマルな服装であるフロックコートや、現在でもモーニングコートや燕尾服を見れば、それがわかると思います。

※フロックコート

スーツには「一揃いの」という意味があるそうで、ジャケット、パンツ、ウエストコート(ベスト)の一揃いでスーツになります。ウエストコートは簡略化されて着ない人も多くなりましたが、一揃いでスーツなのです。ジャケットだけやパンツだけでは、スーツを着ていることにはならないのです。

シャツとはなんだろう?

ドレスシャツは、日本ではワイシャツとかカッターシャツと呼ばれています。このドレスシャツは20世紀に入ってセパレート型の下着が登場するまでは下着でした。セクシーさをアピールするため下着のチラ見せが流行り、襟やカフス(袖口)をつけて、下着を服から覗かせるようになり、それが現在のドレスシャツになっています。古いドレスシャツは、前身頃と後ろを股の下でボタンで留めるようになっていたりします。

※1900年代のドレスシャツ。イカ胸です。

ウエストコート(ベスト)は、下着を隠すために用いられていて、古くはシャツの上にジャケットを羽織るのは下品な行為だったのです。もっともアメリカにスーツの文化が渡ると、下着のTシャツで出歩くことをセクシーとしたアメリカの文化はウエストコートを取り払い、ジャケットを脱いシャツを見せることを良しとしたのです。下着をあえて見せるという行為は、セックスアピールでもありました。

上着はいつ脱ぐのか

原則的な考え方でいくと、ジャケットを脱ぐのは一揃いのものを崩す行為であり、下着を露出する行為なのです。ジャケットを人前で脱ぐというのは、本来の意味からすると人前でズボンを脱ぐのと同じくらい下品な行為だったのです。そのため「上着をいつ脱ぐか?」という質問に形式張って答えるなら「暑かろうが絶対に脱がない」ということになります。暑いからと言って、人前でズボンを脱ぐ人はいませんからね。



しかしこれでは現実に即していません。今や職場でジャケットを脱ぐ人は多くいますし、ズボンを脱ぐのと同様の目で見る人はいません。そこで今回のケースでは、相手のご両親からジャケットを脱ぐように促されるまでは、着ておくのが良いと思います。また暑くてどうしても脱ぎたい場合は、相手にジャケットを脱いで良いか尋ねる方が良いでしょう。

まとめ

古い映画を観ると、男性がジャケットを脱ぐ際に女性に一言断りを入れる姿を見かけます。とても洗練された仕草なので「ジャケットを脱いでも良いですか?」と一言声をかけるのは良いですね。本来の役割を知ると、自ずとこれらの疑問には答えが出てくるものですが、人によってはジャケットを着たままだと暑苦しく見えるからさっさと脱いでくれと思うかもしれません。そういう場で臨機応変に対応できるのが、マナーだと思います。


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