政治家のスーツはそんなにひどいのか

先日、ビジネス関係の集まりに呼ばれて顔を出すと、政治家の選挙関連の商品を販売している会社の方から、「あなたは今どき珍しく、普通のスーツを着ている」と言われました。この時は、いつも着ている原宿のOLD HATで作った3ピースのスーツで、かなりリーズナブルで特に目立つようなものではありませんでした。その方は「私はね、サラリーマンのスーツ姿がひどいのは、政治家のスーツがひどいからだと思うんですよ」と、力説していました。その方の自説が面白かったので、少し紹介してみたいと思います。



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かつてダメな政治家は有権者しか見ていなかった

選挙に勝つというのは政治家の大事な仕事です。落選したら政治ができなくなるので、選挙に多大なエネルギーを使うのは今の政治システムでは当然のことだと思います。しかしその方によると、かつては選挙に勝つために有権者の動向に気を配りながらも日本の未来が常に頭の片隅にあったと言います。

「昭和の頃のダメな政治家っていうのは、有権者しか見ない政治家のことを言っていた。最悪の政治家は自分のことしか見ないタイプだけど、この手の政治家はだいたい落選するから気にしなくて良かったね」

※昭和の政治家の代表格 田中角栄

しかし今は有権者のことすら、キチンと見ていない政治家が多いと言います。「今どきの細いスーツを着ている政治家は、有権者すら見ていない政治家だ」と断言していました。

細身のスーツを着る政治家たち

その方は例として、元衆議院議員の宮崎謙介氏を上げました。育メンをアピールしつつ、2016年に不倫が原因で辞職した若手政治家です。

「国会で体の線を見せる必要があるのかね?あの人は、いつもピッタリした流行のスーツを着て股間のもっこりを見せびらかしていた。有権者に政策をアピールするよりも、女にモテたいという意識が見え見えだったね」



宮崎氏のスーツは細身というだけでなく、サイズが極端に小さいものを着ることが多いのが特徴でした。ジャケットのボタンを留めると、ジャケットの正面に大きな✕字の皺がよるのは、ジャケットが小さすぎるからです。こういったピタピタのスーツは90年代後半に現れ、21世紀に入ると流行しました。宮崎氏に限らず、また政治家に限らず着用している人は多く見かけます。

「流行はいいよ。だけど政治家がもっこりを見せびらかして、有権者が投票するかね? 困ったことに、その手の政治家が国会にも地方行政にも大勢いることだね。私は宮崎謙介の不倫のニュースを聞いたときに、妙に納得しましたよ」

有権者に信頼できる政治家のイメージを与えるのではなく、女性にモテたいという考え方でスーツを選ぶ議員は、政治家としてどうなんだろうと思いますよね。

大きすぎるスーツを着る政治家たち

そこで反対に大きすぎるスーツを着る政治家について聞いてみました。例えば安倍総理は、最初に総理になった2006年頃は大きすぎるジャケットを着ていました。

「痩せて貫禄がないから、少しでも体を大きく見せようとしていたんでしょうね。逆に貧相に見えただけですけどね」

※この頃は、常にブカブカのスーツでした

しかし、安倍総理の場合はまだ理解できると言います。貧弱な体つきを大きく見せて、安心感や信頼感を周囲に与えようとしたわけで、有権者を意識したやり方だからです。問題なのは、やり方が間違っていたことです。2度目の総理になってからは、誰かに注意されたのかスタイリストをつけたのか不明ですが、オーダースーツを無難に着こなしています。

では森元総理の場合はどうでしょう。袖が長くお腹まわりにたっぷり余裕を持ったダメなスーツの見本のような着方が有名です。



「あの方は、自分がどう見られるかなんて関心がない人だし、それで選挙に勝ってましたからね。森さんのスーツは、銀座英國屋のオーダー品ですよ。どんなに腕が悪いお店でも、あんなひどいスーツは作らないから、あれは森さんの希望でああなってるんでしょうね」

アメリカ大統領もめちゃくちゃ

トランプ大統領は、奇抜な髪形とともにブカブカのスーツに前ボタンを留めず、やたら長いネクタイを含めてアイコンになっています。ブリオーニのスーツで50万円以上もするのですが、そんな高値には見えない着方です。

※なぜかいつもズボンが皺だらけなのがトランプ氏の特徴です。

その前のオバマ元大統領も、スーツの着こなしが微妙な人でした。選挙中はアメリカ製のオーダースーツを既製品っぽく見せる小賢しさがあり、大統領に就任するとイタリアのカナーリを着ていました。そのオバマ氏がベージュのスーツを着て記者会見に挑み、イラクへの介入の必要性を訴えたところ



「政府はイラクより先に、大統領のクローゼットに介入すべきだ」
「竜巻保険のセールスマンが来たのかと思った」
「あの格好では何を話してもジョークに聞こえる」

といった論調が新聞に並んだことがあります。また私服センスも微妙で、野球の始球式に臨んだときはダブダブのジーンズが話題になり、「ママに買ってきてもらったジーンズ」と言われました。そしてついに「ミシェル(妻)のセンスは素晴らしいが、私は少しダサい」と認めるまでになります。

日本ではなぜかオバマ元大統領のファッションセンスを称賛する服飾評論家が多くいましたが、私には不思議でなりませんでした。

政治家がダメだからサラリーマンもダメになる

「国を導く人たちが、楽な格好をしたくてダブダブのスーツを着たり、女目線を意識してもっこりを見せびらかすようになったから、世間がマネするんですよ。サラリーマンだって、女目線を意識した格好で仕事に行くのは変でしょう?だけど政治家がやってるからOKって気分になるんですよ」

と、この方は力説していました。手本になるような政治家がいないので、流行でスーツを着る人が増えたと言います。今の政治家は流行でスーツを着ている人と、スーツを着ていればなんでもいいような人ばかりになったと感じているようでした。では麻生太郎氏のような人はどうかと質問すると、



「あの人は、もう趣味の人でしょう?あの格好をすればどういう風に見られるかわかっていて、それを楽しんでいますからね。マフィアみたいだって言われて、喜んでるんじゃないでしょうか」

確かに麻生氏を手本にするのは、何か違う気がしますね。欧米ではフィリップ殿下(エリザベス女王の夫)が、スーツの着方の手本として半世紀以上も称えられてきました。服装への批判が集まりやすい英王室で、全く批判を受けなかったのは驚異的であり、いかに洗練された着こなしだったかが伺えます。こういう人が日本にはいないので、なかなか難しいのだろうと思いました。

※フィリップ殿下の着こなしは、常に手本とされていました。

まとめ

この方は政治家のスーツだけを指摘していましたが、「野球選手もなかなかすごいですよ」と言うと、嫌な顔をして「それを言い出すと血圧が上がるんで」とおっしゃっていました。

※これはまだマシな方で、コントのようなスーツ姿の野球選手は多くいます。

スーツには流行があり、政治家がそれを取り入れるのは別に変なことではないと思います。しかし自分が楽だからとか、女性にモテるためにスーツを着る政治家は配慮に欠けていると思います。常に見られていることを意識し、自分がどう見られたいかが重要です。これはサラリーマンにも自営業者にも言えることなのですが、こういったことを指摘する人が少ないので、今のような状態を生んでいるのでしょうね。


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     ネクタイの選び方 /柄に注意すると選び方が容易に
     なぜ日本の大学生は喪服で就職活動をするようになったのか
     お葬式に出たら祖父から「その背広は葬式用じゃない」と言われました
     スーツのジャケットはいつ脱いで良いのか?
     なぜ結婚式に白ネクタイをする変な習慣が定着したのか


コメント

  1. 単なる悪口。
    スーツより中身じゃないの?
    いいスーツ着ても中身が汚いと全て下品よ。
    この批判記事書いてる人、ご自身の事棚に上げてない?

    返信削除
    返信
    1. スーツより中身が大事なのは、誰もが知る当然のことですよね。本文中に登場する方が言っているのは、スーツは着方で印象が変わるということです。

      削除
  2. 何を偉そうに言ってんの?w国のトップで頑張ってる人を何の功績もなく野次馬の様に駄目だしする。貴方如きが注文できると思ってんの?馬鹿なの?www
    そんだけ言うなら貴方は綺麗に着こなせるの?一回、お前がスーツ着た姿晒してから言えよ😂

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  3. スーツの着こなしに定評のある麻生太郎氏についての言及が苦し紛れの言い訳にしか聞こえない。自身の主張が破綻してしまう例外を許せず、無理矢理自分の意見のみ押し通す、典型的な話の通じない老害思考を表す文章。

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  4. 私もあまり詳しいわけではありませんが、スーツの着こなしについてはねもねさんの仰るとおりでしょう。森総理のスーツは平面的すぎる、麻生総理のスーツはおしゃれで個性的(皆が真似できるものではない)、という評価はスーツに詳しい方々の共通認識のように思います。他者に配慮できるかどうかがスーツの着こなしにも表れる「ことがある」ので、政治家など人前に立つ仕事の皆さんはもう少しその点に気をつけてほしい、というのがこの記事の趣旨ではないでしょうか。

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