尖閣諸島の敗北

※こちらは以前の「はねもねの独り言」に書いていた記事です。

友人からメールがやってきて「ブログに髭剃りの話なんか書かずに、尖閣諸島の話を書けよ」というリクエストがあったので、今回はそのリクエストに従って書こうと思います。この件はブログやツイッターにゲップが出るほど大量に書かれていて、ついでに私もツイッターにチョコチョコ書いていたので、なんだか食傷気味なんですよ。しかしとりあえず私の考えをまとめてみようと思います。



現時点で中国と日本のどちらの言い分に筋が通っているかというと、私は中国だと思っています。これは交渉能力の問題で、見事に中国にやられたというよりも自爆に近いと思っています。そこで事件の推移を振り返ってみようと思います。

9月7日 海上保安庁が不振な漁船を発見し、停止命令を出したところ逃走。巡視船への衝突を繰り返したために公務執行妨害で船長以下乗組員を逮捕。

即日、北京の日本大使に中国から正式な抗議。12日には未明の早朝に呼び出しがかかり、日本国内から非礼だとの批判が起こる。

9月13日 政府は船員14名を釈放し、船も中国に返還。

9月19日 石垣簡易裁判所は船長の拘留を10日間延長することに決定。

9月24日 那覇地方検察庁が処分保留で船長の釈放を決定。

9月25日 船長が帰国。

ざっと、こんな感じでしょうか。


海上保安庁は領海内で外国船舶が、公務執行妨害をはたらいたために日本の国内法に基づいて逮捕しました。それに対して中国は尖閣諸島は中国の領土なので不当な逮捕だと主張しました。そもそも双方の言い分が違っていたので、起こりうるトラブルですね。しかし尖閣諸島が中国の領土と言う言い分にはそもそも無理があるので、ASEANやアメリカなどは中国に批判的な態度でした。中国にしたって、そんなことは承知でごり押ししてきたわけです。

最初の失敗は船員を釈放したことです。船長が1人で動かすようなモーターボートならともかく、漁船であれば船長がどのような指示をしたのか裏をとるために船員の証言は不可欠です。しかし仙谷官房長官をはじめとする、とにかく妥協する姿勢を見せれば中国も妥協するだろうという甘い認識で釈放してしまいました。しかしこれによって国内法で逮捕したという前提が揺らいでしまいました。

中国からしてみれば、日本の国内法に基づいて逮捕したという前提が揺らいだのですから、妥協する理由はありません。中国の主張を日本政府が補完してくれたのですから、次は船長の無条件釈放を要求するわけです。そして船長が釈放されました。そうなると、そもそも船長の逮捕は日本の国内法で逮捕されたわけではなく、不当に拉致されたということを日本が認めたわけですから謝罪と賠償を求めるのは当然なのです。

そもそも尖閣諸島が中国の領土という言い分には無理がありました。しかし一連の流れの中で、日本が自ら国内法で逮捕したという前提を揺るがしたのですから、今では中国の言い分の方が筋が通ってしまっています。これは外交以前に交渉ごとの基本ではないでしょうか。一本筋を通さないで場当たり的な発言や行動を見せると、どれほど自分の言い分が正しくとも自分の言い分が通らなくなってしまうのです。

現在、中国で逮捕されているフジタの社員ですが、中国政府が彼らに恩赦を与える理由はありません。彼らは中国の国内法によって逮捕されたという建前なのですから、中国の国内法で公正に裁かれると中国政府は宣言しています。もしフジタの社員に恩赦を与えるならば、中国は報復で逮捕したということを認めることになるのでそんなことはしないでしょう。むしろ国民の手前、そんなことはできないはずです。筋を通すというのは、そういうことです。

さてこのやり取りを見た海外の政府はどう考えるでしょう。日本は信念も道義もなく、目先の利益のために行き当たりバッタリの判断を下すと見たでしょう。ましてや高度な政治判断が必要とされる船長の釈放という案件に対して、政治家がノータッチで司法が勝手にやったという建前を通しています。日本政府は重要な案件に対して判断能力がないと思われても仕方ありません。暴走気味の官房長官はともかく、元外務大臣の幹事長は全く表に出てきませんでしたが、省庁を跨って大臣クラスの意見がぶつかる中で幹事長は何をやってたんですかね。

現在の政府は、危機管理や外交いった以前に交渉の仕方を知らないように思えました。そして多くの国が、中国以上に日本に不信感を持ったでしょう。衝突時のビデオを公開しないということも、日本への不信感を募らせる役目を果たしています。確かにこのような外交はチキンゲームと同じなので、どちらかが引かないと双方が怪我をします。最終的に妥協することになったとしても、今回のように筋が通らないやり方をしていては国際的信用さえも失っていくように思いました。









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AUTHOR: ヤクザ国家・中国
DATE: 09/27/2010 10:53:43
菅政権は、ヤクザ大国・中国の恫喝に簡単に屈服する政権であることを世界に証明し、悪しき事例を残した。

弱腰の菅・仙谷政権を消滅させなければ、尖閣諸島はヤクザ中国に実効支配される可能性がある。

民主党政権には期待できないが、先手を打って尖閣諸島に海上保安庁から遠隔操作できる望遠の船舶監視カメラが4台付いた無人灯台を設置して日本の領土であることを明確にすることが望まれる。

中国が恫喝している謝罪・賠償を拒否するのは当たり前で誰でもできる。
領海侵犯したことに対する謝罪及び海上保安庁の巡視船を破損させたことに対する損害賠償を請求すべきであるが、弱腰民主党には全く期待はできない。
野党各党はそれぞれの立場で国会において徹底的に菅・仙谷政権を追及し、衆議院を解散に追い込んで頂きたい。
日本国のために、菅及び仙谷を含む民主党の全ての左傾議員を落選させることが望ましい。

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AUTHOR: つるひめ
DATE: 09/27/2010 15:34:58
「火事とケンカはいじるほど大きくなる」ってのが私のオヤジの教訓でしたよ。
カード手放すにしても、地検にケツ持ちさせるような無様な醜態は見たくなかったな。
まあ、妥協する事に難癖つける気はないんですがもう少し有利に持っていく交渉が有って良かったんじゃないかと思います。
それよりも、↓のような泡沫連中が無視できない程に増えない事を祈ります。
自衛隊はそういう用途に有るんじゃないって。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100927-00000540-san-pol


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AUTHOR: 冬_寂
DATE: 09/29/2010 00:03:25
今回の大失態については、全ての情報を知る立場にないし、裏でどんなやりとりがあったかもわかりませんが…


民主党政権は、"政治主導"を掲げて今までの経緯を無視する形で色々な問題をほじくってさらにややこしくしてきたわけですが…なぜ今回は"司法の判断です"と逃げるのか?筋が通らないではないか…と思う訳ですよ。政治主導で領土問題を創造してしまったという事の重大さを考えると、表沙汰にはやっぱりできないか…

あと、アメリカの助け舟"尖閣諸島にも日米安保条約の効力は及ぶ"に上手く乗れなかった(乗らなかった)理由が知りたいですねぇ…まさか「アメリカ嫌い」って理由ではないでしょうね…


中国の資源獲得作戦に端を発し、レアメタルという資源と日系企業の社員という人的資源を人質にされ手も足も出ず…21世紀は資源争奪戦の時代であることを痛感した事件でありました。


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COMMENT:
AUTHOR: maple
DATE: 09/29/2010 20:28:58
まあ、日本の政治は期待されてませんから。
資本主義陣営のかませ犬として使ってもらえるだけ
まだ存在感があるのかって感じ。

もう中国はすっかりグローバル経済に取り込まれて、
得体の知れない赤い国にまで戻ることはないでしょうね。
うまいこと矛を収めたなと思ってます。
これからの中国を見るなら、中国政府よりも中国の
一般国民の懐柔でもしたほうがやりやすくなりそう。


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COMMENT:
AUTHOR: はねもね
DATE: 09/30/2010 18:48:02
★つるひめさん
リンクにある議員達の声明は感情論ですね。これでは何も進展しないし何も生み出さないように思います。中国にも感情論が渦巻いているようですが、与党の国会議員がこれほどヒステリーを起こしているというのはちょっと危ういように思います。

きっと検察はフロッピーの改ざん問題があるので、泥をかぶることを拒否できなかったんでしょうね。しかし念入りに外務大臣らの留守中に発表するというのは、逃げていた批判されても仕方ないように思います。



★冬_寂さん
私も全く筋が通っていないと思うんですよ。その反対に、一貫してブレずに同じ主張を繰り返しているのが中国で、歴史的経緯を無視すれば中国の方に正当性がでてきてしまいます。根本的に交渉の仕方が下手だからこうなったように思えてなりません。

レアメタルの件はWTOで戦う姿勢を見せてもよかったと思いますし、フジタの社員の件にしてもバタバタ慌てることはなかったように思います。まさか船長を解放すればフジタの社員も返してくれると思ってたなんてことはないと思いたいですが・・・。

アメリカの件は、アメリカに貸しを作りたくないという想いがあったような気もします。でもおっしゃるように、単にアメリカ嫌いというのにもリアリティがある政権というのが恐ろしいと思います。


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COMMENT:
AUTHOR: はねもね
DATE: 09/30/2010 18:49:31
★mapleさん
>中国はすっかりグローバル経済に取り込まれて
一度経験してしまったので、もう元には戻れないでしょうね。そこに共産党のジレンマがあるわけですが、戦争でも起こらない限りは共産党の独裁が少しずつ崩れていくと思います。

次回のネタにしようと思っていたのですが、中国のツイッター(公式には禁止されている)では、かなり落ち着いた意見が多いようです。メディアはかなり煽っているようですが、実は今回の件は中国政府も苦しい決断の連続だったようで、日本が妥協しなければまさにチキンレースで双方とも大怪我をした可能性があります。ですから日本の妥協は大人の対応ともとれるのですが、筋だけは通しておいてほしかったですね。。。
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