そうだ靴を磨こう2 /ワックスで光らせよう

前回、スムースレザーの靴磨きについて書きました。靴の汚れ落としと保湿は、前回書いた方法で十分にできます。今回は靴の化粧とも言えるワックスについて書きたいと思います。靴をピカピカに光らせると、気持ち良いですよ。



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ワックスを塗る意味

すでに書いたように、ワックスは靴の化粧です。ツヤとテカリを出すことで、古い靴も新品のような輝きを手にします。いやむしろ使い込んだ靴が光っている方が、味わいがあると個人的には思っています。

※ワックスは瓶ではなく缶にに入ったものです。

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ワックスを使うもう1つの意味は、靴の表面保護です。ワックスは柔らかい革の表面を汚れや傷から守ってくれます。もちろん傷といっても限度はありますが、ある程度の保護にはなるのです。

必ず先に磨いておく

女性は化粧をしますが、顔も洗わず保湿もせずに化粧だけを毎日していたら、肌は酷く荒れるでしょう。靴も同じです。自衛隊や軍隊ではピカピカの靴を常時履くことが基本なので、常にワックスを塗り続けますが、これは靴を長持ちさせる面からすると良いことではありません。必ず汚れを落としてクリームで保湿してからワックスを使いましょう。

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いつワックスを塗るか

前回書いた工程で、汚れを落としてクリームで保湿した後、すぐにやっても構いません。しかし1日明けてからワックスを塗る方がよく光るように思います。おそらくクリームの水分がある程度飛んで、靴の表面が少し乾いているからだと思います。

※前回磨いたこの靴に、ワックスをかけていきます。

そうは言っても2日もかけて靴を磨いてられない人が大半だと思うので、その日にやっても全く問題ありません。

どの靴のどの部分に塗るか

以前にも書きましたが、私はブローギングされた靴は少しマットな仕上がりが好きなのでワックスを塗りません。特にフルブローグはアウトドアの靴なので、光らない方が風格があるような気がしています。しかしこれも好みですので、好きな方はピッカピカに光らせましょう。ここで言いたいのは、全ての靴を光らせる必要はないということです。

※つま先だけが鏡面仕上げのジョン・ロブ

そしてワックスを塗るのは、靴全体でなくても構いません。つま先と踵を光らせるのが重要で、必ず全体を光らせる必要はないのです。

ワックスを塗る

少量のワックスを布につけて、円を描くように塗りつけていきます。塗ったワックスの表面が少し乾いているのを確認して、水を一滴落とします。この水の量で光り方が変わるのですが、その塩梅は文章では形容しづらいですね。こればかりは慣れと経験が必要です。今回は、たまたま黒のワックスが切れていたのでクリアのワックスを使います。

※布を使って円を描くようにワックスを塗ります。

※表面に水を一滴垂らします。

※丁寧に磨き続けます。

※3分くらい磨けば、このくらいは光ります。

水を垂らしたら、全体をこするように磨いていきます。水によってワックスの表面が平らになり、光るようになってきます。あまり光らなければ、再度ワックスを塗って水を垂らして磨きましょう。靴屋のディスプレイにある光り輝く靴は、大抵は何度かワックスを塗り、数十分間も磨き続けています。






個人の嗜好あれこれ

この時、一滴垂らすのは水ではなくシャンパンが良いという人もいます。またウイスキーが最高という人もいます。これは好きにやって結構ですが、個人的にはアルコールの方がよく光ったという経験はありません。



また拭き取る布は専用のコットンが売られていて、私はそれを使っています。しかし古いTシャツを使う人もいますし、古くなったストッキングを使う人もいます。これは色々なものを試して自分に合ったものを探してみましょう。某服飾評論家は、古女房のストッキングより若い愛人のストッキングの方が靴がよく光ると書いていました。好きにやっていただけたらと思います。



やり過ぎに注意

ワックスは革の表面を覆うことで、ピカピカした表目を演出します。そのため厚く塗りすぎるのは革の呼吸を阻害しかねません。ワックスを毎週のようにかけるのは、やり過ぎと言えるでしょう。一度ワックスをかけると、再び水を一滴垂らして磨けば、綺麗に光り出します。イギリスでは唾を垂らしてハンカチで拭く、なんてことも言われています。

クリームは水分が多いので革の毛穴に容易に入り込みますが、ワックスは油分がメインなので毛穴に入りにくくなっています。そこで水を使ってワックスを薄く均一に塗っていくのですが、光らないからといって何度も水を塗って磨くことで革を傷つけることになります。

ワックスを何度かかけると、たまにステインリムーバーで落とす必要があります。やり方は前回書きましたので、そちらを参照してください。

まとめ

最近は鏡面磨きが流行り、やたら光らせようとする雰囲気がありますが、まずはしっかり汚れをとって保湿することが大事です。全ての靴を光らせる必要はありませんし、光らない靴がダメというわけでもありません。履いていくシチュエーションや靴の種類によって、顔が映るほど磨くのも良いですし少しマットな感じでもいいと思います。

最初のうちはあまり光らないかもしれませんが、回数を重ねていくとコツがわかってくるので、あまり焦らないでやっていきましょう。最近はサフィール ノワール クレム1925のようなクリームだけで光るものもあるので、こういったものも使ってみるのも良いかもしれません。


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※サフィール ノワール クレム1925

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