子供のための歴史講座26:パレスチナ問題

やあ〜乱世乱世。時は紀元前17世紀、イスラエル人(現在のユダヤ人に相当)は、パレスチナ近辺で遊牧生活をしていた。しかし飢饉などがあり、豊かなエジプトへ集団移住する。ところが豊かなイスラエル人を妬んだエジプト王ファラオは、イスラエル人を次々に捕らえて奴隷にしてしまった。復讐を恐れたファラオは男の子を次々に処刑するが、人々に匿われて難を逃れた子もいた。



娘「ひどい話だけどさ、パレスチナ問題って、そんな昔からあるの?」

パレスチナ問題が起こるのは第二次大戦後だけど、そこまでの歴史も抑えておく必要があるのだ。やがて匿われた男の子、モーゼは大人になってイスラエル人を率いてエジプトを脱出する。その時、異常気象で海が割れて歩いて海を逃げたと言われている。

娘「なんか聞いたことある話だ」

出エジプト記という名前で、歴史の授業で習うはずだ。「十戒」って映画にもなってる。そしてこの頃からパレスチナはイスラエル人にとって、神に与られた「約束の地」となったのだ。

※紅海を渡るモーゼ

娘「命からがら逃げてきた場所だから、特別な場所なんだね」

その通り!そしてイスラエル人はパレスチナにイスラエル王国を建国する。紀元前10世紀頃の話だ。しかし軍事作戦の拠点になるこの地域は、常に外国の侵攻を受けることになる。ダビデやソロモンが出てくる、聖書でもお馴染みの時代だ。そしてソロモン王の死後、イスラエル王国とユダ王国に分裂してしまう。

イスラエル王国はアッシリアに滅ぼされ、ユダ王国はエジプトに攻められて勝ったり負けたりしていたが、最後は新バビロニアに敗れてバビロン捕囚として新バビロニアの奴隷になった。

娘「なんかハードな生き方をしてる民族だね」

紀元前539年、新バビロニアはアケメネス朝ペルシアとの戦いに敗れて滅亡し、キュロス2世はバビロン捕囚を解放して、パレスチナに帰ることを認めた。ペルシア帝国の支配から次々に支配者が変わり、最後はローマ帝国の支配下に置かれる。この頃にはユダヤ教も完成していて、新興宗教を率いるイエス・キリストも生まれた。

娘「意外なところからキリストの話が来た!」




そして紀元前66年、ユダヤ人達はローマ帝国に対して反乱を起こした。ユダヤ戦争の勃発だ。しかしローマ帝国にけちょんけちょんに鎮圧されてしまう。その後は凄まじい弾圧が始まり、132年には再度反乱を起こすものの再び鎮圧されてしまう。

娘「それでどうなるの?」

ユダヤ人の自治は廃止され、国を持つこともゆるされず、パレスチナに住むことも禁じられた。そこでユダヤ人たちは世界各国に散らばっていったのだ。そして2000年もの間、放浪の民として生きることになる。

娘「ハードモードな民族だね」

その間にややこしさを増すのが宗教問題だ。イスラエルのエルサレムは、ユダヤ教にとってエルサレム神殿があった聖地だった。イスラム教にとっては、ムハンマドが一夜にして昇天する体験をした聖地になった。キリスト教にとっては、キリストが処刑され復活した聖地になった。

娘「なんと、どの宗教でも聖地なのか」


※エルサレム

そして第一次世界大戦が始まる。その頃、オスマン帝国がパレスチナを支配していた。イギリスはユダヤ人たちに対して、戦争に勝ったらパレスチナにユダヤ人居住区を作る約束をした。こうしてイギリスはユダヤ資本の援助を得て戦争を戦った。1917年のことで、バルフォア宣言と呼ばれる。

娘「ほうほう、イギリスが味方についたか」

しかし1915年にはフセイン=マクマホン協定で、オスマン帝国が負けた後にアラブ人の独立を認めていた。そして1916年にはサイクス・ピコ協定でイギリスとフランスとロシアで中東を分割統治することを決めていた。

娘「イギリス最低!!ん?なんかこの話は聞き覚えがあるぞ」

以前、アラビアのロレンスの時に話したね。長くなったから今回はこれまでにして、第一次世界大戦終結からは、次回にしよう。

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