子供のための歴史講座21:日清戦争は極東のダメダメ三国の物語

いや〜乱世乱世。1894年8月1日、日本と清国の双方が宣戦を布告して日清戦争が始まった!清国は今で言うなら中国だ。アヘン戦争で疲弊していた清国も、近代化を目指していた日本も引くに引けない大戦だ。



娘「この辺り、ややこしくて面倒なんだよねー」

娘よ。ややこしさに負けてはならんのだ。確かに三ヶ国が入り乱れるからややこしく見えるが、実態はそれほどでもない。

娘「え?なんで三ヶ国?」

日本と清国と朝鮮。

娘「なんで朝鮮?」

日清戦争の舞台は朝鮮半島だから。

娘「えー!日本と中国の戦争を朝鮮でやったの??」

そうだよ。さらに戦争の原因に朝鮮は深く関わっている。そもそも日清戦争は、朝鮮半島を清国と日本で奪い合った結果なのだ。




娘「この時点でややこしいよ」

当時の先進国は世界各国に植民地を増やして、利益を得ていた。大英帝国はアフリカ大陸に巨大な植民地を作り、スペインやポルトガルは南米大陸を植民地にした。残りはアジアだ。イギリスは清国に進出してアヘン戦争を起こしたりした。これをきっかけに欧米列強が中国大陸を虎視眈々と狙うようになったのだ。

娘「日本にペリーさんも来た」

そうそう。そして実は日本も少し前まで中国大陸を狙っていた。

娘「そうなの?」

西郷隆盛は、熱心に中国に攻め込む必要性を説いていた。だけど西郷は西南戦争で死んじゃうし、日本は明治時代になったばかりでお金はないし、軍隊だってサムライだったからね。中国に攻め込む前に、近代化を遂げなければ何も始まらないんだ。しかしそうこうしていると、清国は欧米列強の手に落ちそうな雰囲気だ。このままだと日本も危ないかもしれないが、相変わらずお金はないし近代的な軍隊もない。


※西郷隆盛

娘「どうするの?」

朝鮮を仲間にしようとした。

娘「人頼みなのか!」

ところが当時の李氏朝鮮の人達は日本の話を突っぱねた。だって中国を裏切って日本側につくなんて、恐ろしくてできないんだよ。清国は朝鮮が日本の仲間になったら、ただじゃおかないだろうからね。しかし日本だって、このまま黙ってはいられない。軍艦で朝鮮に向かい、空砲をぶっ放して話を聞けと迫る。

娘「なんかペリーさんと似てる」

そうそう、当時の日本は近代外交なんてもの知らなかったから、アメリカにやられたのと同じようなことをするんだ。しかしこんなことされた朝鮮は、江戸幕府のようにあっさり開国なんてしない。小競り合いが起こって江華島事件に発展する。さらに朝鮮内の腐敗した政治に国民のイライラがピークに達し、暴動まで起こってしまった。清国は暴動鎮圧のために軍隊を送り、日本も自国民保護のために軍隊を送った。


※李氏朝鮮の閔妃(びんひ)

娘「もはや危険な臭いしかしない」

しかし簡単には戦争には発展しない。日本も清国も軍備が揃っていないから、すぐに動けなかったのだ。中国はドイツから軍艦を買って、北洋艦隊を組織して日本に見せびらかしにでかける。長崎にやってきた北洋艦隊は、日本人を戦艦に案内して「どうだ、清国の強大さは!」と見せびらかしたかったのだが、これを見た日本は艦隊のお粗末さと乗組員の練度の低さを見てほくそえむ。

娘「なんで、そんな状態で見せたの?」

どうも清国の皇帝だった西太后の指示だったようで、皇帝は実情を把握してなかったらしい。新調した戦艦を見せびらかしたいだけで、臣下は皇帝に反論できなかったんだ。そして朝鮮で甲午農民戦争という内乱が起こる。朝鮮は清国に助けを求め、清国はすぐさま軍隊を派遣した。ところがこれは日本と清国の間で結んだ、朝鮮内部の問題には軍隊を送らないと決めた天津条約に違反していた。そこで日本も軍隊を送ったんだ。


※清の皇帝 西太后

娘「そして日清戦争が始まる」

その通り。そして日本は最後通牒をしてから軍隊を送ったので、国際世論を味方につけた。なにせ清国は国際条約に違反しているから、日本の台頭が気に食わない国も、日本を支持するしかなかったんだ。しかし朝鮮半島を突き進んだ日本に、平壌の要塞が立ちはだかる。日本は要塞戦は未経験で、攻略の仕方もわからない。ガトリング砲で武装した要塞は、難攻不落に思えた。

娘「特攻しちゃうの?」

当時の日本兵は、そんな無茶をする人たちじゃない。どうしたものかと考えていると、なぜか要塞から白旗があがった。指揮官はとにかく戦うのが嫌だったみたいだね。

娘「まあ、大勢が死ななくて良かったね」

さらに清国が増援のために送った艦隊が日本艦隊と黄海で遭遇する。しかし清国の艦隊から一隻の船が逃げ出して、艦隊の足並みが崩れてしまう。さらに自慢の戦艦は整備が不十分で主砲を打ったら自分の艦橋が壊れてしまった。清国の艦隊の自滅のような形で、日本は勝ってしまった。


※日本艦隊の旗艦 松島

娘「日本は強かった・・・のか?」

よくわからん。とにかく清国の軍隊の練度や装備が酷くて、日本が圧勝したように見えた戦争だ。

娘「まとめると、清国の軍隊がグダグダで」

朝鮮の政治もグダグダになってて、

娘「日本も攻めたいけどお金がないから延び延びになって」

攻めろとか止めろとか議論している間に朝鮮で内乱が起こったから軍隊を派遣したら、戦争に突入していったって感じかな。

娘「みんなグダグダだ」

清国はアヘン戦争で疲弊していたし、この頃はフランスとベトナムで戦争もしていた。国力が尽きていたのが大きいと思う。一方で、日本は近代化を始めていて国力が上昇している時だったから、タイミングが良かったというところだろうね。普通に考えたら、清国のような大国に日本が簡単に勝てるわけがない。

娘「なんだか日本の大勝利って感じでもないんだね」

そう、そして日清戦争は日露戦争のきっかけになった。日清戦争によって日本はロシアという強大な国と対峙することになってしまうのだ。日露戦争も、ややこしそうに見えてそれほどでもないから、また今度話そう。



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