ジェントルマンズ・ナイフという廃れた文化
ジェントルマンズ・ナイフという言葉は欧米でも死語に近いようで、英語の掲示板でも「ジェントルマンズ・ナイフって何を指すの?」といった質問が出ていたりします。そこで今回はジェントルマンズ・ナイフとは何なのかという話を書いてみたいと思います。
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18世紀半ばといえばジェントリ階級の人々が増えていき、ジェントルマンと呼ばれる人たちが力を持っていた時代ですから、このスイッチブレード式ナイフを発祥と考えるのも間違いではない気がしますが、同じような用途のものはそれ以前から用いられています。
ジェントルマンではなくてもナイフは多くの人が持っていました。上記と同じような理由です。日本でも同様で、小型のナイフを持ち歩くのは当たり前のことでした。日本の子供にいたっては小刀を持たなければ鉛筆を削ることもできず、山に入って竹とんぼを作ったりして遊ぶこともできませんでした。まともに遊びたければ小刀は必需品だったのです。
話をジェントルマンに戻すと、彼らは身分に応じて高価な材料をハンドルに使い装飾を施したものを持ちました。また単なるナイフだけのものや、長短2本のブレードがついたものなど用途に応じて持っていました。これらのナイフはジェントリー階級が衰えていくと同時に廃れていくことになります。
スイス・アーミーナイフは多くの人が持ち歩き、旅行の友にしました。特に空港のお土産屋での売り上げは高く、飛行機に乗る前に買い求める人が多くいました。しかし2000年の911テロの影響により、飛行機内にスイス・アーミーナイフは持ち込めなくなりました。スイス・アーミーナイフを製造していた老舗のウェンガーはライバル会社のビクトリノックスに吸収され、ビクトリノックスはアーミーナイフよりも時計やカバンなどに注力するようになりました。
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ナイフは万能ツールとして、小型のものを持ち歩く人が多いのです。そこでネットで互いのEDCを見せ合いながら、安全で便利なナイフが話題になるようになりました。スイス・アーミーナイフも再び人気が集まっていますが、日本の刃物にも人気が集まっていて、EDC用のナイフとして肥後守を挙げる海外の人もいます。
今や缶切りが必要な缶詰を探す方が大変ですし、チーズは最初から切ってあるものが売られています。ワインもコルクではなくひねれば飲めるようになっているボトルは多くありますし、ビニール袋に詰められたお菓子でさえ、切れ込みがついていて手で開けることが可能です。海外には「ナイフぐらい持ってるだろう」と言わんばかりの商品がたくさんありますが、日本ではそういう商品は不親切だとして売れなくなってしまいます。
ナイフを持っていても使う場がほとんどないくらい、日本は便利にできているのです。ですから海外でジェントルマンズ・ナイフが再注目されつつあっても、日本には無縁のことだと思います。
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その一方で、日本のメーカーが作る美しい仕上げのナイフに注目が集まっていて、日本の職人の技が海外で人気を集めるのは良いことだと思います。刃物を作る職人はどんどん高齢化していて、岐阜県関市など昔からの刃物の町は伝承の危機にあるようです。こういった町が海外からの受注で再度花開いて欲しいと思います。
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イギリスのシェフィールドが発祥?
いくつかの資料によると、ジェントルマンズ・ナイフはイギリスのシェフィールドで作られたのが最初だと書いてあります。確かに18世紀半ばにシェフィールドではスイッチブレードのナイフ(日本では飛び出しナイフと呼ばれる)、つまりボタンを押すとバネで刃が飛び出してくるナイフが発明され、ワンタッチで使える便利さから広く普及しました。18世紀半ばといえばジェントリ階級の人々が増えていき、ジェントルマンと呼ばれる人たちが力を持っていた時代ですから、このスイッチブレード式ナイフを発祥と考えるのも間違いではない気がしますが、同じような用途のものはそれ以前から用いられています。
かつてはナイフの持ち歩きが常識だった
ジェントルマン、つまり紳士の身だしなみとしてナイフを持ち歩いていました。手紙を開ける時、服のほころびから出た糸を切る時、チーズを切り分ける時、ワインのコルクまわりの包みを開ける時など、ちょっとした際に使うためのナイフを持っておくのは常識だったのです。そしてそれらのナイフは威嚇的ではなく、攻撃性もなくエレガントなものだったのです。ジェントルマンではなくてもナイフは多くの人が持っていました。上記と同じような理由です。日本でも同様で、小型のナイフを持ち歩くのは当たり前のことでした。日本の子供にいたっては小刀を持たなければ鉛筆を削ることもできず、山に入って竹とんぼを作ったりして遊ぶこともできませんでした。まともに遊びたければ小刀は必需品だったのです。
※小刀 楽天より
スイス・アーミーナイフの人気
ジェントルマンズ・ナイフは戦後に廃れていきますが、形を変えて生き続けます。ヨーロッパ戦線で戦った兵士が、スイスのお土産屋で売られているアーミーナイフをこぞって持ち帰りました。ナイフ、缶切り、コルク抜きなどがコンパクトにまとめられたスイス・アーミーナイフは世界的なヒットになり、ジェントリーのような上流階級ではなく一般市民に広がりました。豪華な装飾はありませんが実用的で、さらに安価だったことが人気に拍車をかけました。スイス・アーミーナイフは多くの人が持ち歩き、旅行の友にしました。特に空港のお土産屋での売り上げは高く、飛行機に乗る前に買い求める人が多くいました。しかし2000年の911テロの影響により、飛行機内にスイス・アーミーナイフは持ち込めなくなりました。スイス・アーミーナイフを製造していた老舗のウェンガーはライバル会社のビクトリノックスに吸収され、ビクトリノックスはアーミーナイフよりも時計やカバンなどに注力するようになりました。
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アメリカで始まったEDCという考え方
ジェントルマンズ・ナイフに再び注目が集まったのは、アメリカでEvery Day Carry(EDC)、つまり毎日持ち歩くものという考えが出てきてからです。必需品を小さくコンパクトに持ち歩くという考え方で、その中でナイフも再び脚光を浴びました。当然ながらEDCは人によって中身が全く変わりますが、性別も職業も違う人達が互いに自分のEDCをネットに投稿して見せ合うようになると、ナイフを加えている人の割合が結構多いことがわかりました。ナイフは万能ツールとして、小型のものを持ち歩く人が多いのです。そこでネットで互いのEDCを見せ合いながら、安全で便利なナイフが話題になるようになりました。スイス・アーミーナイフも再び人気が集まっていますが、日本の刃物にも人気が集まっていて、EDC用のナイフとして肥後守を挙げる海外の人もいます。
日本では流行らない
刃物の持ち歩きを禁止するに等しい取り締まりが行われている日本では、ジェントルマンズ・ナイフの復活はないでしょう。そもそも日本は日常的が便利すぎて、便利ツールであるジェントルマンズナイフを持ち歩く必要がほとんどありません。今や缶切りが必要な缶詰を探す方が大変ですし、チーズは最初から切ってあるものが売られています。ワインもコルクではなくひねれば飲めるようになっているボトルは多くありますし、ビニール袋に詰められたお菓子でさえ、切れ込みがついていて手で開けることが可能です。海外には「ナイフぐらい持ってるだろう」と言わんばかりの商品がたくさんありますが、日本ではそういう商品は不親切だとして売れなくなってしまいます。
ナイフを持っていても使う場がほとんどないくらい、日本は便利にできているのです。ですから海外でジェントルマンズ・ナイフが再注目されつつあっても、日本には無縁のことだと思います。
現代のジェントルマンズナイフ
Gサカイ リップ ジェントルマンナイフ
岐阜県関市のGサカイが製造している、現代版のジェントルマンズナイフです。ダマスカス鋼を使用しており、見た目に豪華なブレードになっています。カーショウ 2刀ナイフ
カーショウはアメリカのメーカーですが、製造は日本の貝印です。長さの異なる2本のブレードがあるので、用途によって使い分けます。モキナイフ グローリー
岐阜県関市のモキナイフです。グローリーは手の平に入る大きさで、コンパクトで美しいナイフです。関連記事
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まとめ
ジェントルマンズ・ナイフはかつて日本でも使われていたナイフで、欧米では再び脚光を浴びつつあるようです。しかし日本では法律の壁があるうえに、ナイフが必要な場面が限られてくるのでほとんど注目されていません。その一方で、日本のメーカーが作る美しい仕上げのナイフに注目が集まっていて、日本の職人の技が海外で人気を集めるのは良いことだと思います。刃物を作る職人はどんどん高齢化していて、岐阜県関市など昔からの刃物の町は伝承の危機にあるようです。こういった町が海外からの受注で再度花開いて欲しいと思います。
岐阜県関市のモキナイフです。 |
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