プリンセス・プリンセスの楽器パート /再び友人と語ってみた

以前、知人男性Nがプリンセス・プリンセスの「ダイアモンド」のドラムを練習し始めた話の続きです。話はドラムだけにとどまらず、他の楽器パートにも移りました。特にギターの中山加奈子について、あれこれと盛り上がりました。



前回記事
プリンセス・プリンセスを聴きながら楽器の上手さを考えた
SHOW-YAとお友達だった人と80年代を語った
第2次バンドブームについて考える /BOOWYからイカ天まで
歌手が音程を調整するのは反則なのか? /ピッチ調整ソフトの功罪
60年以上続いた音楽バブルの終焉 /なぜ音楽は売れなくなったのか


N「中山加奈子のギターはどうよ。あんまりピンとこないんだけど」
井「うん、わかるわかる」
N「あんまり上手いって感じがしない」
井「リードプレイはヴォーカルの奥井香の方が上手いかもしれない」


パートごとのオーディションで集められたメンバーですが、当初のパートから楽器チェンジを行っています。当初の楽器パートは、

富田京子:ドラムス
奥井香:ベース
渡辺敦子:ギター
中山加奈子:ギター
今野登茂子:キーボード

※奥井香(ピンクTシャツ)はベースを、渡辺敦子(黒Tシャツ)はギターを持っています。

この時点でメインボーカルは決まってなく、話し合いによってヴォーカルは奥井香に決まります。その後、ギターへの自信をなくしていた渡辺敦子が「ベースをやらせてほしい」と言いだし、ヴォーカルとベースの両立は難しいため、奥井香はやったことのないギターとボーカルを引き受けることになります。しかし短期間のうちにギターの腕が急成長しました。


N「プリプリの曲で印象的なギタープレイって、あんまり思いつかないんだよ。ソロをあまり弾かないし、リフはキーボードが多いし」
井「大ヒットした『ダイアモンド』や『19 Growing Up』のリフはキーボードだね」


プリプリのギターソロは印象が薄いですが、大ヒット曲「M」では奥井と中山がユニゾンでソロを、「パパ」では中山が、「恋はバランス」では奥井がソロを弾いています。他にもありますが、全体的にギターを聴かせるソロというよりも間奏といった印象が強い気がします。

※中山加奈子モデルのギター広告

N「中山のギターはギブソンのSGがメインだっけ?」
井「いや、グレコのコピーモデルだよ。ギブソンじゃない」
N「なんか叩き上げって感じ」
井「オーディションでザ・ランナウェイズの『チェリー・ボム』を弾いた人だからな」
N「当時としては尖った女子高生だ」

※ザ・ランナウェイズ

N「中山加奈子ってギターより歌が上手いと思うんだよね」
井「奥井香とは違って、クセのないオーソドックスな歌い方だね」


奥井のヴォーカルはトリッキーな部分がありますが、フロントマンとしてそういう面も必要だと思います。一方で中山はコーラスが多かったので、ストレートに歌うことを求められたのでしょう。



N「ギターが得意な奥井が歌って、歌が得意な中山がギターを弾いていたのか」
井「そこが優等生的なバンドじゃなくて、良かったのかも」
N「歌心があったから、作詞にも活かされたのかな」
井「プリプリの成功要因の一つに、中山加奈子と富田京子というタイプの違う作詞家がいたことを挙げる人もいる」
N「面白いのは男っぽい容姿の中山に乙女チックな歌詞が多くて、女の子している富田に男前な歌詞が多いことだね。『M』みたいな例外もあるけど」


中山加奈子は大ヒット曲「ダイアモンド」、バラードの名曲「ジュリアン」、結婚式でよく使われる「パパ」などの作詞で知られています。ちなみに「ジュリアン」は実在する恋人のことなのか?と当時話題になりましたが、飼っていた猫の名前だと数年前にネタ晴らしをしていました。


中山加奈子のギタープレイは後半になるとどんどん上達しているのがわかり、ちょっと怪しかったコードプレイもぎこちなさが消えていきます。しかしなにより当時としては、日本人女性でギターを持つ姿がさまになっている希有な存在でした。彼女に憧れてギターを始めた女性を私は何人も知っています。そしてギタープレイ以上に、作詞家として名曲を多く残した存在です。多くの曲は今聴いても、十分すぎる輝きを放っていると思います。


「M」と並ぶバラードの名曲「ジュリアン」


結婚式でよく歌われた「パパ」と「ムーンライトストーリー」


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