映画「シャイニング」について考える その2 /編集ミスか意図的か?

※この記事は2016年3月9日に、前のブログに書いた記事の転載です。

前回記事:映画「シャイニング」について考える その1 /オカルトなのか精神病なのか

前回からの続きです。なぜキューブリックは、神を否定しつつ食品庫の鍵が勝手に開く、超常現象のようなシークエンスを挿入したのか?を考えてみます。まず最初に考えられるのは、編集時の混乱です。


1カットのために複数台のカメラを同時に回し、100回以上のリテイクを行う異常な撮影手法は膨大な量のフィルムを生みました。完璧主義者ぶりに堪忍袋の緒が切れた主演のジャック・ニコルソンが「俺が編集する」と言い放ったところ、大型トラック1台分のフィルムがニコルソン邸に送りつけられたそうです。

ジャック・ニコルソンは「完璧主義者が完璧な映画を撮れるとは限らない」と、後にキューブリックの完璧主義ぶりを批判しています。



映画数本分に値するフィルムを数秒間隔で編集する作業の中で、ミスが起こったというのはありえそうな話です。オープニングシーンにヘリの影が映りこんでいる事実も、この説を後押ししています。しかしこのシークエンスは、クライマックスに向けてのスタートを切る重要な場面であり、単純な編集ミスとは考えにくいという声も多くあります。

※オープニングに映りこんだヘリの影

もう一つの説は、精神異常と超常現象を並列させることにより、どこまでが現実でどこからが異常な妄想かわからなくするため、というものです。しかし超常現象を嫌うキューブリックが、あえて超常現象を挿入した理由としては弱いという声が多く出ています。

そしてもう一つの説が、映画の途中までが現実で、途中からはジャックの妄想に変わっているとする説です。食品庫の鍵が勝手に開くのは、この場面が現実ではないことを強調し、さらに精神異常による幻覚でもなく、途中からジャックの意識的な妄想の世界が描かれているとするものです。

※惨殺された双子はダニーの妄想なのか・・・?

次回は、この説を追って行きます。


関連記事:映画「シャイニング」について考える
     映画「シャイニング」について考える その2
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