ドラマ「シャーロック」のファッションを見てみよう

2010年から放送が始まったイギリスBBCのドラマ「シャーロック」は、イギリスにとどまらず世界各国で人気を得ています。同時にこのドラマのファッションへの関心も高く、アメリカのあるテーラーには「シャーロックと同じコートを仕立ててくれ」と注文が殺到したなんてエピソードもあります。そんなわけで、今さらという気もしますが「シャーロック」のファッションを見ていきたいと思います。


ドラマ「シャーロック」とは

コナン・ドイル原作の「シャーロック・ホームズ」の現代版です。主演はベネディクト・カンバーバッチが務め、ワトソン役はマーティン・フリーマンが務めています。現代版らしくワトソンが執筆するのは小説ではなくブログで、ドイルの古典的トリックを現代のものに置き換えて忠実に再現されているのも見どころです。



240を超える国と地域で放送されており、中国をイギリス首相が訪問した際に「次のシャーロックはいつ放送されるのですか?」と質問されて困惑したエピソードもあります。いまやイギリスを代表するテレビ番組であり、世界各国のファンが次のシーズンを今か今かと待ち焦がれているドラマでもあります。

シャーロック・ホームズのファッション

ベネディクト・カンバーバッチによると、このドラマで最も気に入らないのは長髪にしなくてはならないことらしく、ボサボサの長い髪が落ち着かないそうです。そんなホームズはファッションには拘らず、無頓着な人物となっているのですが、女性ファンを虜にするファッションをサラッと着こなしています。



カンバーバッチのスリムな体型を強調するような細身のスーツは、イギリスのスペンサー・ハートのものです。ビスポークもありますが、パターン・オーダーと既製服が有名なブランドで、こちらはチェスター・バリーの職人が作っていることから高評価を得ています。

シャツはドルチェ・アンド・ガッバーナ製で、靴はイブ・サンローラン製、マフラーはポール・スミスで、時計はイギリスのロータリーです。イギリス、イタリア、フランスのブランドが混合で、特にこだわりがないような演出でしょう。靴がサンローラン製という微妙なチョイスも、あんまり深く考えていない感じが出ていますしイギリスらしさを気負っていません。



※ロータリーのシャーロックモデル。


これらを選んだ衣装担当も、服にこだわっていないイメージを大切にしたと言っています。そして最も重要なアイテムのコートですが、これはかなり迷ったようです。当初はプロデューサーのマーク・ゲイティスの私物を使っていたのですが、今では数種類のコートを使い分けています。そして主に使われているのがベルスタッフのコートです。



今ではイギリスの会社ではなくイタリアの会社になったベルスタッフですが、このシャーロック人気に当て込んで、シャーロックコートの名前で微妙にデザインが違うコートを販売しています。いまひとつシャーロックの雰囲気を出せておらず、評価も微妙なようですね。


ジョン・ワトソンのファッション

シャーロックの兄マイクロフトは足を使うことをバカにしますが、元軍人のワトソンは彼らに代わって足を使って動き回ります。シャーロックと違って家柄が良いわけでもないワトソンは、アクティブに動けることを優先したファッションになっています。

※ハバーサックを着るワトソン

最もよく着ている黒のウールコートは、乗秀幸次が展開するハバーサックのもの。ミリタリーテイストが溢れていて、ワトソンの役柄に合っています。そしてバブアーのインターナショナルもよく着ていて、こちらもアクティブな印象を与えますね。

※茶色のバブアー・インターナショナル

※バブアーのインターナショナル


時にはミリタリールックそのままのウールリッチのパーカーも着ていました。

※ウールリッチのパーカー

ちなみにジーンズはユニクロのもので、靴はロークのカントリーブーツを履いています。トリッカーズではなくロークというのが、庶民らしくていいですね。

※ロークのカントリーブーツは、ソールがレザーで踵がラバーでした。
(転倒した場面で確認)

ワトソンのファッションは、服好きではなく実用性本意で選んだイメージが強く、ホームズの手足となって動き回るワトソンをイメージづけています。


マイクロフト・ホームズのファッション

シャーロック・ホームズの兄マイクロフトは、常に三つ揃いのスーツを着ていますが、複数のブランドを着ているようです。政府高官らしくギーブス・アンド・ホークスのスーツも着ていますが、時にはポール・スミスも着ているようです。うーん、ポール・スミスはどうかと思いますね。。。

※こちらはギーブス・アンド・ホークスのスーツ

しかしこのドラマのマイクロフトは、とにかく傘です。傘を持って登場し、戦う際の武器は傘に仕込んだサーベルや短銃で、ネクタイの柄も傘です。なぜ傘に執着しているか不明ですが、マイクロフトには常に傘のイメージがあります。



傘は当然のようにフォックスの傘です。

まとめ

BBCは日本のNHKのような国営放送なので、公式サイトには服のブランドが記載されていません。スタイリストなどのインタビューから、多くのファンは服の情報を得ています。

シャーロックは家柄が良いので、それなりに良いものを着ているのですが、服に関心がないのでバラバラで統一感がないのでしょう。ワトソンは行動と服がマッチしていますし、マイクロフトは身分にふさわしいスーツを身につけています。

このようにファッションも工夫が凝らされていて、だからこそ多くの人の興味を集めているのでしょう。ドラマを見るときにチェックするのも面白いですよ。


関連記事:映画「裏切りのサーカス」に見るファッションの妙


シャーロックが愛用しているエッシェンバッハのルーペです。
にほんブログ村 オヤジ日記ブログ 40代オヤジへ
にほんブログ村

コメント

このブログの人気の投稿

アイルトン・セナはなぜ死んだのか

バンドの人間関係か戦略か /バンドメイドの不仲説

私が見た最悪のボクシング /ジェラルド・マクレランの悲劇

鴨川つばめという漫画界の闇 /マカロニほうれん荘の革命

はじめの一歩のボクシング技は本当に存在するのか?