ドラマ「シャーロック」のコートを考える /シルエットからディテールまで
今さらながら、BBCのドラマ「シャーロック」のコートの話です。以前はシャーロック・ホームズのコートといえばインバネスコートでしたが、現代版のシャーロックはこんなコートを着ています。世界中のシャーロックファンが同じモデルを探しているのですが、あまりに情報が少ないのが現状です。そこでわかっていることを整理してみました。
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① 6つボタンのダブルブレスト
② フラップ付きのパッチポケット。
③ ハンドウォーマー付き
④ 襟はアルスターカラー
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プロデューサーの私物だった
そもそもこのコートはスタイリストが探してきたものではなく、マイクロフト役で出演しているプロデューサーのマーク・ゲイティスの私物だったのです。ゲイティスの私物だったため細かい情報がないのも納得ですがブランド名だけはわかっていて、イタリアのベルスタッフのようです。それなりに古いもののようで、イタリアに移る前のイギリス時代のベルスタッフだと思われます。※マイクロフト役のマーク・ゲイティス(右) |
ディテールの特徴
① 6つボタンのダブルブレスト
② フラップ付きのパッチポケット。
③ ハンドウォーマー付き
④ 襟はアルスターカラー
あとは袖がセットインスリーブになっていますね。襟は割と小ぶりのようですし、胸ポケットはありません。
⑤ 背中はバックベルト付きで、2つボタン。
⑥ プリーツは3本。中央のインバーテッドプリーツは、ベルトの上から入っています。
⑦ 袖はターンナップカフ
1.腰の部分がくびれている:赤のライン
2.ややAラインになっている(裾に向かって広がっている):黄色のライン
3.身頃はまっすぐにカットされている:緑のライン
デザイン的にはかなりカジュアルなコートですね。本家のホームズもインバネスコートというカジュアルなコートだったので、現代版もカジュアルなのでしょう。ざっくり見るとシルエットはブリティッシュ・ウォームやアルスターコートに近いようにも思います。ボタンホールが赤いのは、後からスタイリストが縫ったそうです。
ごらんのように腰のくびれがありませんし、着丈も短く袖もターンナップカフではありません。立体感も乏しく、似て非なるコートです。おそらくベルスタッフには型紙も残っていないのでしょう。バブアー同様、ベルスタッフも多くのモデルを注文に応じて作ってきました。ましてやウールコートはベルスタッフの主力商品ではありません。 ベルスタッフ自身が、このコートのディテールがわからなくても何ら不思議ではないのです。
そしてシャーロックのコートは立体的に作られていて、ウエストの絞りや横から見た時のボリュームもあります。近年の封筒みたいに平面的なコートではありません。既製品で作ると現在ではかなり高価になるでしょう。そのためベルスタッフから、同様のモデルが出るのは望み薄だと思います。
ジーンズの上にセーターを着て、そのまま上から羽織ることもできますし、かしこまった場に行くのでなければスーツの上に着ても大丈夫で通勤用に使うぐらいなら問題ありません。オンオフで着回せるコートだと思います。
ディテールだけ同じの既製品で出てくる可能性はありますが、このようなシルエットの既製コートは最近ではあまり見られません。同じものが欲しい方は、ブリティッシュ・ウォームなどを作ってくれるテーラーに相談するのが確実だと思います。ドラマでも生地を変えて数種類のコートが出てきますが、これもどこかのテーラーに作ってもらったものだと思います。
⑤ 背中はバックベルト付きで、2つボタン。
⑥ プリーツは3本。中央のインバーテッドプリーツは、ベルトの上から入っています。
⑦ 袖はターンナップカフ
シルエットの特徴
1.腰の部分がくびれている:赤のライン
2.ややAラインになっている(裾に向かって広がっている):黄色のライン
3.身頃はまっすぐにカットされている:緑のライン
デザイン的にはかなりカジュアルなコートですね。本家のホームズもインバネスコートというカジュアルなコートだったので、現代版もカジュアルなのでしょう。ざっくり見るとシルエットはブリティッシュ・ウォームやアルスターコートに近いようにも思います。ボタンホールが赤いのは、後からスタイリストが縫ったそうです。
※ボタンもかなり凝ったものです。 |
ベルスタッフのレプリカ
ベルスタッフからmilfordというコートが出ていて、シャーロックコートとして販売しているお店もあるようです。しかしシルエットもディテールも全く異なります。※ベルスタッフのmilford |
ごらんのように腰のくびれがありませんし、着丈も短く袖もターンナップカフではありません。立体感も乏しく、似て非なるコートです。おそらくベルスタッフには型紙も残っていないのでしょう。バブアー同様、ベルスタッフも多くのモデルを注文に応じて作ってきました。ましてやウールコートはベルスタッフの主力商品ではありません。 ベルスタッフ自身が、このコートのディテールがわからなくても何ら不思議ではないのです。
※ベルスタッフはオートバイ用のジャケットが主力商品です。 |
そしてシャーロックのコートは立体的に作られていて、ウエストの絞りや横から見た時のボリュームもあります。近年の封筒みたいに平面的なコートではありません。既製品で作ると現在ではかなり高価になるでしょう。そのためベルスタッフから、同様のモデルが出るのは望み薄だと思います。
各社のレプリカ
複数のメーカーが、このコートを意識した商品を出していますが、魅力的とは言えません。ディテールも異なることが多く、寸胴なシェイプを多く見かけます。なにより価格は高くてもシルエットが平面的で封筒みたいなものが多く、わざわざここで取り上げるほどでもないものばかりです。※既製品の平面的なつくりでは、このボリューム感は出せないでしょう。 |
なかなか実用的なコートかも
シルエットがブリティッシュ・ウォームに似ていると書きましたが、ブリティッシュウォームにはハンドウォーマーがありませんしパッチポケットでもありません。ハンドウォーマーは寒い日にあると便利ですし、パッチポケットも物がたくさん入りそうです。エポーレットがないので肩肘張った感じもなく、カジュアルにサラッと着るには良さそうですね。ジーンズの上にセーターを着て、そのまま上から羽織ることもできますし、かしこまった場に行くのでなければスーツの上に着ても大丈夫で通勤用に使うぐらいなら問題ありません。オンオフで着回せるコートだと思います。
まとめ
シャーロックのコートは、ベルスタッフのもので現在は販売されていません。情報も少なく同型のモデルの古着も見当たらないことから、短い期間だけ限定的に販売されたモデルだと思われます。ベルスタッフはオイルドコットンを使ったバイクウェアを主力商品とするブランドなので、ウールのコートは大変珍しいものです。私は他のメーカーに作らせたOEM品ではないかと思っているのですが、真相は不明です。ディテールだけ同じの既製品で出てくる可能性はありますが、このようなシルエットの既製コートは最近ではあまり見られません。同じものが欲しい方は、ブリティッシュ・ウォームなどを作ってくれるテーラーに相談するのが確実だと思います。ドラマでも生地を変えて数種類のコートが出てきますが、これもどこかのテーラーに作ってもらったものだと思います。
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