メイド・イン・プリズン（刑務所製）/プリズンブルースのジーンズ

- 2月 17, 2018

アメリカ・オレゴン州の刑務所では、受刑者たちがジーンズを生産しています。どの刑務所にもある囚人の生産活動なのですが、一味違うのは、この刑務所では受刑者が製造したジーンズのブランディングに成功していることで、プリズンブルースという名前で一般市場にも販売されていることです。今回は、ひと味違うアメリカ製ジーンズの話です。

モデルも囚人が務める

オレゴン州ペンドルトンのイースタンオレゴン矯正施設では、刑務所内で使う作業服の製造を自分達で行っていました。しかし1990年に刑務所内で使用するだけでなく、一部を外部に半谷することになりました。しかし当時は業者間の競争を暴走させないため、販売するための労働者の最低賃金が決められていました。受刑者が製造すると他の服飾メーカーより遥かに安い賃金で製造できるため、そのままでは販売できませんでした。これを解決したのが、どうやらポートランドで事業を展開する日本人らしいのですが、その経緯は詳しくは知りません。ただ現在で、販促用広告のモデルも囚人が務め、プリズンブルースのブランド化に成功しています。

プリズンブルースの利益は、従来の刑務所同様に受刑者の出所後の手当ての一部に充てられますが、その他ブランド運営費、さらに犯罪被害者支援活動の寄付に充てられています。ジーンズを買うことで犯罪被害者救済の手助けになるという、実に心憎いマーケティングを展開しているわけです。

品質はどうか？

製品としては作業服そのもので、飾り気がなく実用一点張りのつくりになっています。生地のカットはほぼ直線のみで、不慣れな受刑者でも製作できるようになっています。そのためデザイン性はやや低く、つくりは大味で細かいところにツッコミどころがチョコチョコとあります。それが逆にアメリカ製らしさにもなっていて、個人的にはほとんど気になりません。

※膝部分が二重になっているダブルニーモデル

アメリカ製の厚手のデニムを使用し、とにかく頑丈なつくりになっています。おしゃれに着るというより、マッチョな着こなしができるジーンズなのです。もちろんこれを逆手にとって、可愛らしく着こなす女性もいます。ちなみにデザインは、リーバイスのかつての某モデルにそっくりです。型紙をリーバイスから起こしたのではないかと思ってしまいますが、プリズンブルースは「私たちはリーバイスから何も盗んでいない」と潔白を訴える広告を出したこともあります。

商品展開

ジーンズは形状で4種類、色で2種類の展開をしています。
1. サスペンダーボタンあり、ダブルニー（膝の部分が二重）仕様。
2. サスペンダーボタンあり、シングルニー仕様
3. サスペンダーボタンなし、ダブルニー仕様
4. サスペンダーボタンなし、シングルニー仕様

これがインディゴブルーとブラックの2色展開で用意されています。

※こちらはシングルニーで、サスペンダーボタンがない標準的なモデルです。

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※こちらはダブルニーで、サスペンダーボタンがないモデルです。

プリズンブルース PRISON BLUES ダブルニーワークジーンズリジッドブルー (米国製デニムペインターパンツ）

その他、カバーオールやエプロン、シャツやキャップも作っています。このカバーオールもリーバイスの某モデルによく似ています。そのためクラシックな雰囲気のカバーオールになっています。

※黒はここのお店だけの別注品です。私も持ってます。

プリズンブルース PRISON BLUES デニムヤードコート別注リンスドブラック(米国製カバーオールワークジャケット）

※地味に人気があるエプロン

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履き心地はどうなのか？

私が持っているのは、サスペンダーボタンがあるシングルニーのジーンズです。やや広めのわたりから、裾にかけて軽くテーパードしています。作業のために作られていることから、動きやすく変な癖はありません。デニムが厚いのでゴワゴワ感はありますが、これは最初のうちだけです。何度か洗うと、割と柔らかい履き心地を感じると思います。

オーバーサイズを買えば、ヒップホップ系になれそうなデザインですが、ジャストサイズだとワーク系の力強い印象のデザインです。大事に履くというより、ガンガン履いて洗うのを繰り返せるので、ラフに扱えるのが魅力だと思います。

まとめ

労働着として始まったジーンズの歴史を考えると、正当なジーンズだと思います。デザイン性よりも頑丈であることを優先するジーンズは、国産でも出てきていますが少数しかありません。質実剛健なジーンズを求めている方は気に入るでしょう。またクラシカルな雰囲気のジーンズなので、そういった趣味の人にも良いはずです。

現在、リーバイスをはじめとするアメリカ製のジーンズは、かなりの高値になっています。しかしプリズンブルースは1万円を大幅に切る価格帯なのが嬉しいところです。ですからアメリカ製ジーンズが欲しいけど、なかなか購入に踏み切れないという人にとっては魅力的です。難点としては、まず刑務所内の作業者に渡すため市場流通品が少ないことです。気になる方は、見かけたら手に取ってみることをお勧めします。

追記
このジーンズの生地は近年のジーンズにしてはハリが強く、買ってからしばらくはパンと横に張ったようになります。1度洗ったぐらいではハリは落ちないので、ガンガン履いて育てるつもりで使ってください。

※シングルニーのサスペンダーボタンつきモデル。