貴乃花親方の改革に足りないのは宣伝力ではないか

日馬富士の事件は、もうなにがなんだかわからないことになっています。貴乃花親方への処分まで声高に言われていて、誰が悪いのかよくわかりません。この問題の背景には、貴乃花親方が進める改革と、相撲協会の貴乃花親方への不信感があるのは間違いないでしょう。

後援会制度のから会員制度へ

貴乃花親方はいくつもの改革を掲げていますが、その中に後援会制度の廃止があります。現在は力士に後援会がつき、力士を支援しています。タニマチと呼ばれる人達も後援会に名前を連ねることもあり、今でも力士にとって彼らが重要な役割を果たしています。

貴乃花親方は、この後援会制度を改めていこうとしています。2000円程度の会費を納めることで、力士を支援することができるシステムです。しかし角界には性急な変化を望まない声が多く、さらにはタニマチ達からの反発も起こっています。それが原因かはわかりませんが、貴乃花親方も自身のタニマチとは疎遠になっているようで、貴乃花部屋が中野から移転したのも、タニマチと関係があるようです。

営業マンとしての貴乃花親方

貴乃花親方は大阪場所では取り組みが終わったら、自ら出口に立ってお客さんに挨拶するなどのサービスを始めていました。さらに東日本大震災の被災した子供達を招待したり、和装で訪れた女性客にはテレビに映る席を確保するなど、細やかな手腕を見せています。

15日間通しの枡席は70万円もしますが、これを購入した人には貴乃花親方が直接届けに行くというサービスまで行い、購入した人を大いに喜ばせていました。平成の大横綱が、自らチケットを持ってくるなど誰も想像しないでしょう。こうした自身の知名度をフルに使い、お客さんを喜ばすためにあの手この手を仕掛けています。

※現役の頃はアイドル並みの人気でした。
また大阪では橋下徹市長(当時)に働きかけを行ったり、ガンバ大阪に協力をお願いしにいったりと、八面六臂の活躍ぶりでした。

八百長の排除

2011年に八百長疑惑が発覚し、相撲の八百長が話題になりました。貴乃花親方は八百長に対して現役の頃から批判的で、八百長を排除する急先鋒でした。しかし勝ち越した力士が、負け越しそうな力士に星を売る行為は長い間行われていたようで、公には八百長を批判しながらも貴乃花親方の行為を煙たく思っていた人は多いようです。

相撲はスポーツなのか、伝統行事なのかが問われることになりました。

貴乃花親方の戦略

相撲人気の陰りに危機感を覚え、さまざまな改革を打ち出す貴乃花親方は、相撲協会にとって煙たい存在なのでしょう。そのため相撲協会よりの人達からは、貴乃花親方を批判するようなコメントが散見されます。そして大きな問題だと思うのは、私たちのような角界の外にいる人達に、貴乃花親方がどのように相撲を変えようとしているのかがわからない点です。

貴乃花親方ほどの知名度と人気を誇りながら、なぜ親方の改革が支持されないのか。それは自分のやりたいことが伝わっていないからだと思います。大衆を味方につけることができず、相撲協会とガチンコで戦おうとしているので、どうしても劣勢になってしまいます。

どちらが正しいのかはわからない

改革の旗手として動いている貴乃花親方ですが、どうしたいのかが見えない以上、貴乃花親方が正しいのか相撲協会が正しいのかはわかりません。貴乃花親方は、単に昭和の古き良き大相撲の時代に戻したいだけだという声もあります。また相撲協会も現状が良いとは思っていないものの、貴乃花親方のような急激な変化は難しいと考えているだけという声もあります。

※ガンバ大阪の試合でちゃんこをふるまう貴乃花親方
優れた営業手腕を発揮している貴乃花親方ですから、自身がやりたいことをもっとアピールする必要があるのではないでしょうか。


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